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株式会社内田洋行

「Office 365 / SharePoint Online」導入・活用事例
[特別編]自社実践 -- 5年半後の真実

2010年にマイクロソフトのクラウドサービスである「Office 365」(当時「BPOS」)を導入した内田洋行。導入時はすべてのプロセスを社内のメンバーで実施。導入後も、利活用のためのプロジェクト活動を委員会というかたちで継続的に行っています。
5年半にわたる利用・運用のなかで感じてきたこと、取り組んできたこと、そして、5年半の自社実践を経た今、直面している課題やこれからのビジョンを公開。さらに、自社実践に取り組み続ける内田洋行だからこそできるお客様へのご支援についてお伝えします。

導入の経緯と目的

全社統一ツールの導入でコミュニケーションの活性化を目指す

経営管理本部 副本部長 兼 グループ経営推進部長  林 敏寿
そもそもは、村田さんからの「『BPOS』(現「Office 365」)を入れると、営業の対顧客時間がこんなに上がります」という提案からはじまったんですよね。正直なところ、そのときは当時使用していた「Notes」との違いというのは、ピンと来ていませんでした。ただ、柏原孝社長(当時)が、コミュニケーションやチームワーク向上への取り組みに積極的だったこともあり、コミュニケーションの活性化につながるツールであれば、ぜひ導入しようという判断だったと記憶しています。
村田
また、ほぼ同じ時期(2010年2月)に潮見オフィスから移転し、拠点が新川、東陽町、清澄、冬木の4箇所に分散しました。そのタイミングで、コミュニケーションが不自由に感じないようにサポートすることも導入の大きなポイントであったと思います。
その後のグループ会社の再編、また現在、当社が重視しているグループ経営という観点からも、まだ全てのグループ会社へ導入が済んでいるわけではありませんが、共通のインフラが持てたということにも大きな価値がありました。
村田
「Notes」にも掲示板機能はあったのですが、本部によってまちまちに運用していたり、スケジュール管理もやっているところとやっていないところがあったりと、バラバラの状態でした。当時、製品的には「Notes」のほうが優れていると思っていましたが、全社の統一した基盤をつくれるということ、グループワークができるということが「BPOS」導入の「狙い」だったのかなと思います。
太田
当時、マイクロソフトのクラウドサービスである「BPOS」を選んだ理由は何だったのでしょうか?
村田
選んだ理由は、エンジニアの存在ではないでしょうか。それまでもマイクロソフトの製品をサポートしてきたノウハウが社内にありました。また、将来的なIP電話との統合、「Lync(現 Skype for Business)」などのユニファイドコミュニケーション系のアプリケーションを考慮すると、機能の網羅性や連携のしやすさの面で、マイクロソフトのサービスが優れていました。
長門
導入したときは、すべて社内のメンバーだけで稼働させました。そうした経験、また、実践してきたことにより蓄積されたノウハウは、そのあとのビジネスにも確実に活きています。

導入前の課題と導入後の変化

生産性を向上させたスマートデバイスからの接続容易性

太田
導入の目的や期待としては、全社統一のツールを持つということでした。導入前の不便さや課題はどういったところでしたか? また、導入後どのような変化があったのでしょうか?
長門
営業本部 メジャーアカウント&パブリックシステムサポート事業部 ネットワークテクニカルセンター次長 長門 浩二
メールに関しては当時、外部とのやりとりである SMTP のメールと、社内メンバー間でのやりとりである「Notes」メールの2つが存在しており、両方のメールを確認しなければならない状況でした。まずは、それらを統一して1つにするということは「BPOS」に対して大きく期待した部分でした。先ほども出ましたが、スケジュール管理に関しても各部門にてバラバラの管理がされていて、会社全体で共有することはできていませんでした。
私が「Exchange」を利用していたグループ会社に出向していたときは、全て「Outlook」でスケジュールを共有していましたが、内田洋行に戻ってからは「Outlook」のスケジュールを共有できず、一人で使いつづけていました。会議室だけは、別途「Notes」でスケジュール管理・共有をしていましたが、それも自分のスケジュールとは連動していませんでした。あたりまえだけど、便利になりましたよね。
鈴木
利用方法の面では、スマホから利用できるようになったことは、非常に大きな変化でした。例えば、どこにいてもメールがチェックできるようになり、生産性もだいぶ違いますよね。
村田
今ふり返ると、クラウドにするかオンプレにするかは当時大きなテーマでした。導入当時は、クラウドに対して、抵抗感を持つ企業が多くありました。そうしたなかでもクラウドを選んだからこそ、自分たちが手にするPCやスマートデバイスとの接続の容易性や機能の拡張性というものを手軽に手に入れられるようになったことは、大きなプラスであったと思っています。
相原
株式会社内田洋行ビジネスエキスパート ITサービス事業部 インフラサービス部 インフラサービス課 相原 格

システム運用面で変わったことは、24時間365日で使えるようになったということです。以前は、社内にサーバーがあって、停電対応などで停止すると使えなくなってしまっていましたが、クラウドになり、いつでも使える状態になりました。また、物理的なハードがなくなったことで、システムの運用工数が減りました。例えば、ハードであれば故障したり、リソースが不足したりということが発生しますが、そうしたことをクラウド側にお任せできるということも大きな変化の1つですね。

また、リソースの面では、大きなデータが扱えることもメリットではないでしょうか。以前は、添付ファイルサイズ制限値が低く、個人のメールボックスの容量が少なかったのですが「Office 365」では大容量になり、皆さん容量をほとんど気にせず使えているかと思います。

太田
導入当初25GBであった個人メールボックスは、今は50GBですね。できることや容量が増えていくというのは、クラウドならではですね。

社内への情報伝達の変化

東日本大震災をきっかけに「SharePoint Online」の活用をスタート

佐藤
経営管理本部 広報部 佐藤 将一郎
「Office 365」の活用に広報が関わるようになったきっかけはBCP(2011年3月11日 東日本大震災)でした。全社一斉通知の必要性に迫られたこと、しかも、社内にいなくても情報を得られなければならない状態でしたから、そのときに「Office 365」を使うのがいちばん適切だろうという判断があったのだと思います。それで急遽、1日で情報共有サイト(ウチダ危機管理対策本部ポータル)をつくったんですよね。
太田

そうですね、東日本大震災のときに初めて全社的に「SharePoint Online」を使った気がします。

佐藤
そこからは、必要な情報を全社で共有しようというベクトルが出てきましたね。広報からすると、単に社内への掲示だけではなくて、対外発表したものも社員に知ってもらう必要がありますので、急遽、そうした情報の掲載場所をつくってもらいました。こうしたことを時間をかけずにスピーディにできるというのは、非常に有効であると感じています。
長門

今もポータルに「広報の発信情報」というコーナーがありますが、会社として外に何を発信してきたかをすぐに知ることができるのは、ユーザーとしても、非常に大きな効果があると感じています。

太田

「SharePoint Online」や「Yammer」などの導入効果はどういったところでしょうか?

佐藤
社内でも、年齢層や組織文化などのさまざまな属性により、情報への反応は多様化しています。コミュニケーションのとり方は、多種多様であっていいと思いますし、そうした場合でも「Office 365」はちゃんと全体に情報が伝わりやすい構成にできるのだと思います。例えば、若手の人たちは「Yammer」を頻繁に使っていますけれど、そこでも全社の掲示板の記事をシェアしたりしていますよね。そんなふうに使い方や伝わり方に派生とか余韻があるんです。そういうのは「Notes」の頃にはなかった部分ですね。

社内組織・委員会の役割

“本当の意味での活用”のためにユーザー目線での改善・改良を重ねる

太田

内田洋行での「Office 365」の活用・普及を考えるうえで、IT運用部門の他に、経営企画部門、広報部門、各事業部門も参加した「コミュニケーションインフラ活用推進委員会」の存在は欠かせないものです。委員会の活動はいつ頃はじまったのでしょうか?

私が経営企画に着任した2013年には、利用状況の報告会が開催されていて、まだ委員会ではなかったですね。
長門
そうですね、当時は「CABIne2(ポータルサイトの愛称)利活用推進会議」と呼ばれていて、2013年1月28日が第1回目でした。第1回目はまず、ポータル本格運用開始後、どれくらいの社員が「ポータル」を閲覧したのかを共有する会議でした。
村田
当時は、単に「立ち上げのためのアングラ的」会議だったんですよね。その後、今のような正式な委員会になったのは、林さんが経営企画にいらしてからですね。
太田

導入時にプロジェクトが立ち上げられることはよくありますが、内田洋行では、導入後も委員会として活動が継続されています。その狙いや期待する部分はどのようなところでしょうか?

導入のときに携わった人がそのまま引き続きやっていると、どうしてもユーザー側とは違った視点になりがちです。ユーザーを差し置いて、自分たちがやりやすいように進めてしまうということにもなりかねません。でも、それでは本当の意味での活用ではありませんよね。そこで、どの立場の人が委員会に参加するのかを検討する際にも、単純に各事業部門の代表が集まるような会議体ではなく、メンバーも選定して委員会にしたいと考えていました。また、先日も大久保昇社長から、もっと、お互い対峙するような立場で「これはできる、できない」といったことを話し合える場のほうがいいのではないかという提言もありました。

太田
委員会に参加されている皆さんは、どのようなことに委員会の効果や有用性を感じていますか?
相原

先日の会議の際にも「ポータルをこんなふうに変えます」という提案をしたのですが、様々な改善案をIT運用部門として社内へ提案したいとは思っていたものの「どこで、誰に言えばいいんだろう」というジレンマを感じていました。やはり、こういう機会があるとすごく提案しやすいですね。

太田
ユーザーの立場からは、今のポータルサイトにはどのような印象を持っていますか?
鈴木
営業本部 情報システム事業部 ソリューション営業部  NET1課 鈴木 理沙
「Yammer」がページに組み込まれたり、他システムへのリンクが文字ではなくタイル状に表示されたりと、少しずつ改良されたことで大変見やすくなり、必要な情報に早くアクセスできるようになりました。ただ一方で、文書を探したいときにとりあえず検索窓からキーワードで探そうとしてもヒットしなかったり、更新日が古くこれが果たして最新版なのかわからなかったりと、少し不便に感じているところもあります。
太田
検索は課題になりそうですね。そこは委員会でも検討しないといけないところかもしれません。現在もポータルは改修中で、もう少しでより使いやすくなる予定です。
長門
ポータルについては、短いスパンで改良・改善を重ねることができていますよね。

委員会の運営については、そうした小さな変更や改良がやりやすいように、細かな意思決定はすぐにできる体制であることが大切です。同時に、それとは別に、大きな変更を社内行政手続き的に通すためのルートもはっきりさせておく必要があると考えています。

5年半を経ての実感 -- 効果と今後の課題

全社統一の基盤づくりが完了 データを効果的にマネージメントするステージへ

太田
「Office 365」を利用してかれこれ5年半くらいになりますが、改めてよかったことを教えてください。
佐藤
同じ会社のなかでも、立場が違えば、情報の流し方や情報の内容への価値観も違ってきます。ただ、どちらかの立場が強いから、どちらかが譲歩しなければいけないということは、ほとんど見受けられないですよね。システム上、いろいろなスタンスや価値観のものが同居できるということが、組織の活性化のうえでは、効果があったのかなと感じています
村田
営業本部 営業統括グループ 第2企画部長 村田 義篤
1つには「Office 365」をインフラとして基盤を統一できたということです。「Notes」や各本部でバラバラだったアプリケーションやデータの移植が1つずつ進んで完了しました。そして今は、肝心要のデータ登録の方法、もっと言うと文書のつくり方から掲載も含めて、まちまちになってしまっていて、先ほどお話しにあったように、検索したいものが出てこないという新たな課題に直面しています。段階としては、ようやくデータをマネージしていく段階にまで来られたかと思っています。そうした課題に対しては、文書管理規定や、それをベースに簡単なルール、お作法的なことから整理をしてあげると、みんな取り組みやすいのではないかと思います
鈴木

5年経って、まわりのユーザーを見ていると、詳しい人と、最低限のことしか把握していない人との情報格差が出てきたように思います。例えば、「Skype」でビデオ会議に参加するということも普段から「Skype」を使わない人では、その発想すら選択肢にあがらないと思います。

長門
人に依存した部分はありますよね。SE同士では、インスタントメッセージ(IM)を頻繁に使っていますが、SEと営業間でも IM でのやりとりがあるのでしょうか?
鈴木

SEさんからは、よく IM をもらうのですが、営業同士だとまだ電話でのやりとりが多いですね。

長門
そうなんですね。私は電話を使う機会はかなり減りました。
太田
営業本部 営業統括グループ 第2企画部 企画課 太田 浩史 (司会)

内田洋行内でIMがどのくらい利用されているかを確認したのですが、年間でだいたい54,000回くらいとなっています。そのなかで、頻繁に使っているアクティブユーザーは、だいたい20%=400人くらいなので、利用者をもっと増やしていきたいですよね。

佐藤

掲示板での情報発信、共有については、ビジュアル化も課題だと思っています。インターネットなどでは、写真や映像など、ビジュアル化されたものを日常的に目にするのに、社内ではいまだに文字情報が圧倒的に多いのが現状です。社長の映像が流せるとか、ライブ配信ができるとか、「Office 365ビデオ」や「Skype 会議ブロードキャスト」などの新しい機能の活用には、非常に期待を寄せています

内田洋行だからできるお手伝い

新しいサービスをいち早く自社実践 お客様ごとに最適な有効活用策をご提案

太田
「Office 365」だと、個人で利用する機能も多く、それらを1人ひとりにうまく使ってもらえるよう、支援していく取り組みも必要だと考えています。鈴木さんは、ユーザーとしてどういう支援が受けられたらうれしいですか?
鈴木
ただマニュアルを「掲示板にアップしたので見てください」というやり方では、見ない人はずっと見ないと思うので、そうではない別のやり方でフォローしていただけるほうがうれしいですね。研修などの機会に人から説明してもらえるのがいちばんいいのかなとは思いますが、今も、詳しい人たちが「Yammer」で「こうすると便利!」などのお役立ち情報を上げてくださっていて、私自身よく見ていますし、とても助かっています。
太田

そうですね。ちょっとした工夫ですごく便利に使えることも多いので、そうした情報をお客様向けにご用意するのもいいかもしれませんね

また、お客様からは、特に「SharePoint」を使いこなせていない、という声が多く聞かれます。「SharePoint」に限った話しではないかもしれませんが、やはり、情報を集め共有するための基盤なので、機能を知ることも必要ですが、そこで何のコンテンツを共有するかが、より重要だと思います。そういった意味では、まず先にコンテンツから考えたほうがいいのではないかと、5年間運用してきたなかで感じています。

村田
「SharePoint」では、主な利用例として、「全社掲示」や「社内ニュース」があります。これらをオフィス内で「人が集まる場所でサイネージ」として表示させることも可能です。他にも、会議資料の準備から保管までを「SharePoint」や「Office 365」の機能を利用することで、ペーパーレス化の実践、さらには、サテライトオフィスまで含め、さまざまな「働き方」の提案を行うことができます。
太田
「Office 365」や「SharePoint」は発展途上のサービスであり、次々と新たな機能が提供されています。お客様としては、それらをどう理解し、活用していけばよいのかも非常に悩まれているポイントだと思います。
村田

内田洋行では、新しいサービスをいち早く自社で実践することにより、そのメリットやデメリットおよび有効利用策を迅速かつ的確にご提示することができます。お客様の「SharePoint」の有効活用を継続的に支援できることが、私たちがご提供できる最大の価値であると考えています。

長門
もちろん「SharePoint」に限らず、これまでの実践のなかで課題に自ら向き合ってきたからこそ、お客様の真の課題を引き出すことが可能となります。さらに、その課題を解決することが、私たちの実践で得られた経験をお客様に還元できる大きなポイントであると考えています。例えば「改善・改良を重ね運用してきた機能、仕組み」や「活用を目的とした全社横断推進チームの運用体制」を「テンプレートの提供やセミナー、個別のコンサルティング」を通じてご提供しています。内田洋行では、今後も引き続き自社実践を行い、そこで得た知見・ノウハウをお客様ごとに、より最適なソリューションとして迅速にご提供していきます。

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※ 本事例の内容、組織名・役職は2016年6月現在のものです。

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