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【内田洋行ITフェア2015in東京】 お客様が語る「案件発生~売上まで一貫した管理を実現したクラウド型ERP活用事例」

2016/1/5 [ERP,セミナーレポート]

私たちは、長年利用してきたオフコンをクラウド型のパッケージシステムに変更しました。その理由や、システム選定時や導入時に考え、行った取り組み、導入後に表れた成果、改善された課題などについて導入ユーザーの立場からお話ししたいと思います。

目次

  • 旧システム時代の課題
  • 新システムで実現したいポイント
  • システム選定までの流れとクラウドを選んだ理由
  • 導入スケジュールと稼働後の変化
  • 苦労した点と今後の展望

内田洋行ITフェア2015 in 東京にて

日本体育施設株式会社
取締役 技術本部 部長
田中 孝二 氏

旧システム時代の課題

日本体育施設株式会社は、専門性のある建設業の会社で社員は100名ほど。おもに屋外の運動施設をつくっています。競技場のスタンドの部分ではなく、選手が走るトラックの部分をつくります。これまでに国立競技場、日産スタジアム、2002ワールドカップのさいたまスタジアムなどを施工してきました。10年ほど前からは管理部門にも力を入れ、広島のマツダスタジアムやJリーグのスタジアムの天然芝管理、公園の管理なども行っています。

2012年にシステムの入れ替えを検討し始めるとき、大きくわけて2つの課題がありました。

(1)各部門で情報が個別に管理されていた

以前は、経理に関わる業務のみをオフコンで管理していたため、営業案件や工事に関わる業務は個別に各部署で管理されていました。そのため、異なる部門で共通に管理すべき情報が、二重に管理されるような状態でした。

入れ替える前は、各支店・部署の案件情報や工事情報を所属長が取りまとめ、月に1回本社に報告して、本社総務グループが集計し役員会議資料を作成していました。そのため、集計作業に非常に手間がかかるだけでなく、各支店・部署の数字は月に1回しか正しく把握できませんでした。

(2)決算予想値と決算結果に差異が出ていた

今後発生する予定の原価や、決算日近辺で完成予定の工事が、実際に完成するか繰越工事となるかといった情報がつかみづらく、予想していた数字と実際の決算数字と差異が発生する原因となっていました。

決算の段階においては数字がまとまるので、次期にはこういう取り組みをしようという答えは出せるのですが、期中においては経営判断に必要な情報が取り込めなかったのです。

決算になって数字が動くこともありました。完成予定の工事が来期に繰り越すということもあり、決算業務が始まって2カ月、3カ月というところでようやく数字が決まるという状態でした。

新システムで実現したいポイント

(1)各部門で個別管理している情報の統合
部門で分断されているシステムから、一貫した管理ができる一体型のシステムに変更するということです。

(2)決算予想値と決算結果の差異の改善
期中でも精度の高い予測数値を基に経営会議を行えるようにするために、このことが必要でした。

(3)採用するシステムが当社業務に適合していること
できるだけ標準機能が当社の業務に適合しているものを採用することにしました。

(4)将来的なシステム拡張にも柔軟に対応できること
システムの利用範囲を徐々に拡大していく予定なので、容易に機能追加などができることが望ましいと考えていました。今後、会社が伸びていき、事業所を増やすことも考えると、柔軟性を欠くシステムでは困ります。

システム選定までの流れとクラウドを選んだ理由

当社のシステム要望および既存システム機能に対して、各社のパッケージソフトがどのくらいの適合率を示すか判断しました。ついで、それぞれのベンダーにデモと提案を、さらに社長を含めた役員を対象にもプレゼンテーションをしてもらいました。このときにオンプレミス(自前サーバー)にするか、クラウドを活用したシステムにするかを検討しました。最後に、コンサルタント的な立場の第三者にも意見をもらい、最終的に内田洋行の「PROCES.S」を選びました。

クラウドのほうが初期費用は安く抑えられますが、ランニングコストは高くなります。オンプレミスはソフトを購入するので初期費用が高くなりますが、その後の保守に関してランニングコストを抑えることができます。迷いましたが、サーバーを置く場所の管理とか将来のことも考えて、クラウド型を選びました。

導入スケジュールと稼働後の変化

2012年の12月からシステム変更に取り組み始め、運用を開始したのが2014年10月ですから、思いのほか時間がかかりました。これまで私たちが使っていたオフコンは、COBOLというプログラム言語を使用し、手探りでシステムを作ってきました。費用をかけて変える必要があるのかという意見もあり、説得するのに多少の時間がかかりました。2014年の消費税アップも影響したと思います。手探りで作り込んだシステムでは、消費税のアップに関連する操作が煩雑になり、経理事務の作業が心配だという認識が広がったのです。

選定後は、旧システムと新システムとのギャップをどのように埋めるか、それに非常に神経を使いました。経理の担当者がすべてを把握しているわけではないので、いろいろな部署・部門の意見を聞きながら、導入するシステムをどのようにしていくか検討しました。それから運用開始まで10カ月ぐらいかかりましたが、実際に手を動かす事務担当者にも理解してもらうために、全国の支店を回って教習に力を注ぎました。

従来のオフコンは経理の担当者だけが動かしていたので、工事担当や営業の社員は、自分たちには関係ないという感覚でした。PROCES.Sは、営業の案件管理を行う機能も備えています。そのため、営業マン、各支店の事務担当、入金管理部門の人たちも扱うようになり、営業活動から受注、工事の登録、さらに工事の完成まで一貫した管理を全社として実現できるようになりました。

システムの入れ替え前の課題は、次のように改善されました。まず、部門毎の数字が把握できるようになったことで、通常工事を行っている部門と指定管理業務を行っている部門の数字を分けて把握できるようになりました。

新しく決めたルールに沿って拠点からも随時情報が上がってくるようになったので、決算がスピーディーになり予想数字の精度も向上しました。今後は、運用を浸透させることで更なる改善を図っていきたいと考えています。

苦労した点と今後の展望

テスト稼働の段階だけでなく、本格稼働してからもたくさんの不明点がありました。その際に、わからないと思った人が問い合わせて答えを得るだけではいけないと考えました。質問票を作り、それを経理のグループで取りまとめ、情報を共有できるようにし、同じミスが異なる場所で起きないような取り組みを進めました。

オフコンからのデータの移行には、苦労しました。COBOLのプログラムがわかる人も少なく、時間がかかってしまいました。なんとか内田洋行さんに協力していただきながらオフコンに入っていたデータを移行する作業を完了しました。

最後に今後の展望について簡単にお話しして、締めくくりたいと思います。

PROCES.Sから出た数字を加工して、会議資料にできるようになり資料作成の手間が削減されましたが、もう少しスピーディーに、資料をつくる人の手を煩わせない方法を追求していこうと考えています。

東京本社の社員の理解度と支店の社員の理解度には、少しギャップがあります。出向いていって説明することも必要ですが、努力と工夫を重ねることで、これはカバーできると思っています。

当社は、アメーバ経営(※)を目指しています。新システムの導入により、各部署がどういう形で会社に貢献しているか、誰から見てもわかるようになりつつあります。それで差をつけるのではなく、互いに切磋琢磨して会社全体のポテンシャルを上げていけるように、このシステムを上手く活用していこうと考えています。

(※)アメーバ経営:京セラ名誉会長・稲盛和夫が考案した管理会計手法。6~7人の小集団(アメーバ)からなる組織をつくり、アメーバごとに時間あたりの採算の最大化をめざす。

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