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【内田洋行ITフェア2015in東京】 「働き方変革」への継続的な取り組みと実践事例

2016/1/18 [ワークスタイル,セミナーレポート]

ベネッセコーポレーションでは「一人ひとりの学びと成長を一生涯にわたって支援」しています。これはベネッセのお客様向けのみならず、自社の従業員やパートナーにおいても同様のことです。当社の総務部門では、ベネッセグループで働く人の生産性と従業員満足度の向上に目を向け、継続的に様々な取組を実施して参りました。本日は、その取組内容の一例を紹介します。

目次

  • 改革の背景
  • 改革コンセプトへと至る道
  • 働き方を変革するためのオフィス改革
  • 会議室予約システム導入によるコスト削減

内田洋行ITフェア2015 in 東京にて

株式会社ベネッセビジネスメイト オフィスサービス課
柏田 藤子 氏

改革の背景

今回は、私が2012年から取り組んでいる、オフィス改革について紹介します。改革の背景は、大きくは2つありました。

一つ目は、ベネッセコーポレーションは、進研ゼミで知られる通信教育を事業の核として成長してきましたが、急速な少子化によって、このままではビジネスが立ち行かなくなるという危機感がありました。

二つ目は、「世界No.1の教育事業会社になる」というトップからのメッセージでした。今のままの働き方では、世界No.1は無理、これはまずい。組織的な変革が必要だということで、改革のためのプロジェクトがスタートしました。

変革へのアプローチとして、次の3つを柱としました。

(1)成長のための変革

・将来の動向=「デジタル化」「グローバル化」に合わせたビジネスモデルへの転換

・新たな成長事業の創出がしやすい土壌づくり

(2)人材インフラの改革

・変革を後押しする「組織的な変化」を起こす働き方=社員の意識・行動を変えていく

(3)筋肉質化のための変革

・少子化等により、コスト構造が変化(売上・営業利益生産性の低下)

⇒収益構造の抜本的改善

改革コンセプトへと至る道

(2)人材インフラの改革では、若手社員=次世代のリーダーを集めたワークショップを開催しました。3日間缶詰になり、日々働いている中で感じている課題、解決法等について議論しました。

グローバル化、デジタル化という2つの軸で、10年後の教育市場をイメージし、4つのシナリオにまとめました。

グローバル化、デジタル化がどう進むかによって、想定される将来のシナリオ、戦略オプションや人材像が大きくかわってきます。

2022年 世界の教育市場「4つのシナリオ」~2012年時点に、「10年後をイメージ」~

左上の「グローバル学習社会の到来」は、デジタル化はあまり進んでいないが、グローバル化が進んだ場合のシナリオです。国籍等々関係なく学習が進んでいくイメージです。

右上の「だれでもどこでも、3E(every time everywhere every time)教育ビジネス」は、グローバル化、デジタル化が進んだ場合のシナリオです。世界中の教育機関が、ネットワーク化され、フラット化している世界です。

右下の「本のない教室」は、デジタル化は進んでいるが、グローバル化は進んでいない場合のシナリオ。地域別にプラットフォームが整備され、子ども達は紙の教科書ではなく、タブレット端末で勉強しているかもしれません。

デジタル化もグローバル化もあまり進まなかった場合のシナリオが「寺子屋的な教育」。ローカルな環境で、対人、紙、デジタルのハイブリッドな教育が行われているかもしれません。

このシナリオに使った軸をそのまま利用して、2012年現在で、未来の兆しが見えるビジネスをプロットしてみたところ、浮かび上がってきた業界や商品・サービス、ビジネスモデルは、従来私たちがライバルと思っていなかった分野のものばかりでした。私たちが直視しなければならない問題は、少子化だけではなく、これらの新しいライバルたちなのです。従来とは違う闘い方、働き方をしなければ、立ち行かなくなることを目の当たりにしました。

働き方を変革するためのオフィス改革

ワークショップで議論した結果をもとに、どのように働き方を変えていくべきか、方向性を4つにまとめました。

  • 1.求心力となるベネッセDNAの再認識
  • 2.スピード重視のネットワーク組織へ
  • 3.内向き文化からオープン文化へ
  • 4.新たなビジネスモデル創出への挑戦
働き方をどう変えていくべきか?

1 は当社の強みなので、守って行きたいところです。

2 は、弊社の、決定が遅い、変革がしづらいという弱点を克服するための施策です。

3、4 は、これまでにない全く新たな試みでした。

この4つの方針から、オフィスコンセプトを導き出し、実際のオフィス空間に展開していきました。

働く環境・オフィスコンセプトと実施策

この結果、次の5つのスペースが開設しました。

「Area Benesse 多摩センター店」=お客様×オフィスを施策としたオープン・イノベーションの場

「FPark」=SECIモデル☓脳科学を施策とした社内専用オープン・イノベーションの場

「EdTechLab」=教育☓IT(EdTech)をテーマとしたオープン・イノベーションの場

「ココラボ」=外部☓つながりをテーマとしたオープン・イノベーションの場

「史料館」=歴史☓想像力をテーマとしたオープン・イノベーションの場

「Area Benesse 多摩センター店」はお客様が気軽に立ち寄れる場で、お客様と直接交流することで、お客様のニーズや困りごとを実体験できる場となっています。

「FPark」は、野中郁次郎氏(知識経営の生みの親として知られる経営学者)のSECIモデルと、脳科学の視点を取り入れたスペースで、音、香り、色温度によってストレスを低減させ、様々な意見が言いやすい、議論が起こりやすい環境をつくりました。ぶらぶら歩く、カフェで軽いミーティングをする、一人で考えを深める、集まって議論するなどのスペースがあり、場の目的に合わせた什器を設置しています。部や課を超えたコミュニケーション、偶発的なコミュニケーションが生まれ、創造性が高まる場として、利用者にも好評です。

「EdTechLab」は、若手のインキュベーション施設で、外部の人を巻き込みながら、新たなサービスを生み出し、ベネッセの新たな事業へとつなげることが期待されています。

「ココラボ」は、ノマド的な働き方をする人が気軽に立ち寄れるオープンなスペースで、この場が他部署の人や外部パートナーとの出会いの場ともなり、コラボレーションや働き方の変革につながることが期待されています。

「史料館」は、ベネッセの発祥の地、岡山にあり、ベネッセの原点を感じながら、創造活動を行う場です。

会議室予約システム導入によるコスト削減

もう一つの課題、(3)筋肉質化のための変革は、コスト削減が大きなテーマの一つでした。具体的に取り組んだのは、会議室 × SmartRooms による、効率的な会議室予約と会議の可視化でした。

2011年に、神保町、初台、笹塚、東京都内にあったオフィスが統合することになり、賃料が高いため、可能な限り無駄なコスト削減しなければなりませんでした。

まず見直されたのが、共用スペース、中でも、会議室の有効活用です。

弊社では、会議室は常に満杯で予約が取れないにも関わらず、実際は使われていない会議室も多いという実態がありました。

そこで、会議室予約システム「SmartRooms」を導入し、会議室の予約実態と利用実態の調査・分析を行いました。

その結果、[1] 空予約が多く空いているのに使えない会議室がある、[2] 実際には1時間の予約でも長めの時間予約をする傾向があり、余った時間が無駄になっている、[3] 5~6人の会議が多く、20人部屋、30人部屋が無駄になっている、という3点が判明しました。

SmartRooms」を導入後は、予約時間を10分過ぎても入室がない場合、自動キャンセルになります。キャンセルになった会議室は、部屋前の端末を直接操作して予約できるようになり、会議室の利用効率が向上しました。その他にも、ログ機能を活用して、今後の会議室再編の際に、活かしていきたいと考えています。

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