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【ウチダ食品・物流フォーラム2016】 パワーユーザーへの自由分析環境の提供による経営のスピードアップ化

2016/4/20 [食品,セミナーレポート]

牛角、土間土間、温野菜等、数多くの飲食店の経営を軌道にのせている株式会社レインズインターナショナル。海外を含めた、1,300 店舗におよぶ店舗の売上分析や、それらの店舗からの食材発注分析に「Dr.Sum EA」を利用しています。本セミナーでは、経営のスピードアップを実現する上で、なぜDr.Sum EA を採用したのか。そして、本社のパワーユーザーに対し自由集計を行える環境を整えることで見えてきた業務メリットなどを含めてご紹介します。

目次

  • BIツール導入の経緯について
  • BIツール導入の6カ条
  • 「Dr.Sum EA」導入
  • 現在までの導入結果
  • 活用帳票の例
  • 業務メリット
  • 今後の活用について
  • 海外店舗の活動
メイン

ウチダ食品・物流フォーラム2016 にて

株式会社レインズインターナショナル
取締役事業支援本部本部長
大場 良二 氏

レインズインターナショナル様のご紹介

元々は不動産業でしたが、1996年1月に三軒茶屋に開店した、牛角の前身「焼き肉市場七輪」をきっかけに外食産業へ進出。現在は、牛角(600店)などの飲食店経営を中心に、正社員約600人・アルバイト約6,000人、国内約1,250店舗・海外9カ国で約90店舗を展開されています。また、フランチャイズ(FC店)の店舗向けに、食材や備品の販売も手掛けています。

BIツール導入の経緯について

BIツール導入以前は、FC店を含む1,250店舗の売上はPOSシステムから、勤怠、発注データはそれぞれ別システム、別データセンターで保管されていました。さらに本社ではそのデータを参照するため、別々のアプリケーションを使っていました。データ件数は、ひと月分で売上データ1,900万件、勤怠4万件、発注250万件と膨大で、月間データを分析するにしても、ユーザー側の環境では困難でした。また、これらのデータはそれぞれの相関性が高いにも関わらず、システムが異なるため、データを紐づけて見ることはできませんでした。

売上、発注、勤怠のシステムはそれぞれ定型帳票を何十種類と持っていますが、既存の定型帳票だけでは分からないことも多々あり、必要に応じてデータ加工をしていました。加工方法は次の3つです。

1つめは、システム部に依頼する方法です。これはシステム部門の負担が大きいだけでなく、資料が出てくるまでに時間がかかります。2つめは、店舗のレシート明細を加工する方法です。レシート1枚で 約10~20個の明細があり、その生データをダウンロードして、加工し直して使います。3つめは、新帳票の開発という方法ですが、帳票開発をITベンダーに依頼するため、開発コストや開発期間も必要になり、手軽にできるものではありません。

これらの分析における問題を解決し、「ユーザー側で自由にデータを抽出・加工できる仕組み」として、BIツールの導入を決断しました。

実は、過去に海外のインテリジェンス性の高いBIツールを導入して失敗した経験があります。失敗理由は「設計」「メンテナンスの難しさ」「操作性」「データ取り込み時間」などでした。

BIツール導入の6カ条

その反省も含めて、“BIツール導入注意点6カ条”を決めました。

  • (1)高速
  • (2)簡易的
  • (3)インストール不要
  • (4)低コスト
  • (5)設計
  • (6)運用負荷がかからない
  • 「Dr.Sum EA」導入

    この6カ条を踏まえて導入したアプリケーションは「Dr.Sum EA Premium」です。データをWebブラウザやExcelで集計できる「Dr.Sum EA Datalizer for Web」(以下、for Web)と「Dr.Sum EA Datalizer Express for Excel」(以下、for Excel)も使っています。

    月間1,900万件のデータは、年間では2億件になります。これを串刺しで分析しようとすると、エンタープライズ(Dr.Sum EA Enterprise)版でないと処理ができませんが、費用対効果が見えづらくなり、簡単には導入ができません。そこで、ユーザーに聞き取り調査をした結果、明細データを用いた分析や計算に、1カ月分以上のデータを使うことは少ないと分かりました。テーブル(表やチャート)を1カ月ごとに分けるとデータは2,000万件以下になるので、比較的安価なPremiumバージョンで十分対応できるようになります。

    導入後は、店舗で登録した売上、勤怠および発注データを一元管理することができ、ユーザーは統一されたアプリケーションでデータの閲覧が可能となりました。店舗データはASPの売上管理システム「Tasty Qube」を使い、発注は「Link Cafe」を使っています。ユーザーはそれぞれのデータを定型帳票で参照できますし、それとは別に、Dr.Sum EAのサーバーへデータをすべて集約しているので、分析帳票や別の視点でデータを見たい場合には、直接、for Webとfor Excelを使って見ることが可能です。

    ユーザーへの普及手順は次の通りです。

    第1ステップは、「Web版を全ユーザーに浸透させる」ことでした。

    第2ステップは、「Web版を使い込んだパワーユーザー(ITリテラシーの高いユーザー)へExcel版の提供」です。

    最後の第3ステップは、「本社ユーザーの全員がExcel版を活用する」ですが、ここは未だに実現できていません。これをあきらめずに推進することが社内リテラシー向上につながると考えています。

    現在までの導入結果

    1,250店舗、1,900万件の1カ月分の”店舗別粗利”を明細から集計試算する場合、for Excelを使うと10秒かからずに集計ができます。for Web は各部署のキーマン1名に対して1時間程度の説明をしました。インターフェースもわかりやすいため、全社員問題なく活用できるようになりました。冒頭の海外システムの場合には、3日研修しても上手く使えませんでした。「Dr.Sum EA」導入直後はバタつきもありましたが、導入後1カ月程度で安定稼働しており、システム的なエラーは一度も発生していません。1カ月経過した段階で、システム部へのデータ抽出依頼は激減しました。

    活用帳票の例

    外食の売上データ集計は時間帯で集計することがあります。この”時間帯別”は、一般的にはお客さまが会計した時間がデータへ反映されます。18時に入店し、2時間食事をされ20時に退店された場合、“時間帯別売上”は全額が20時で計上されます。これが今までの一般的な、外食の売上管理システムでした。しかし、「店のピークはいつなのか?」というと、会計した「20時」ではありません。入店の「18時」が店のピークです。入店後のファーストオーダーやセカンドオーダーあたりが、一番データ件数が多く、そこから先はどんどん注文数が減り、会計30分前にはデザート程度しか注文がありません。それが一般的な外食であり、会計時間で”時間帯別”の売上を見ても、その店のピークは分かりません。ファーストオーダーと呼ばれる、いわゆる初期会計の時間で「帳票を組み直そう」という話が出ても、なかなか世の中にあるシステムではこの機能を持っていません。「Dr.Sum EA」を使えば、そのデータをユーザーが手軽に作れます。

    業務メリット

    ユーザーからの声をいくつかご紹介します。

    「以前は大量の明細データをダウンロードして自分のPCでやっていたが、「Dr.Sum EA」の導入で、手間が軽減され、分析時間を大幅に削減できた」

    「いつでも、どこでも、分析データを参照・取得できるので、業務効率が大幅に向上した」

    「誰にでも簡単にデータ分析ができ、個人のノウハウに依存しなくなった」

    当社は複数のブランドをもっており、ブランドごとに施策や商圏を検討するため、分析作業に時間がかかっていました。その工数が削減できたメリットは大きいです。また、今までシステム部へ依頼して、システム部の工数に依存していた作業が、好きな時に、出したいものを自分で出せるようになりました。データ分析では個人に依存せず、サーバー側にノウハウを依存できるようになりました。

    今後の活用について

    「Dr.Sum EA」は当社の方針にとてもマッチしているツールです。「朝令暮改」という四字熟語があります。一般的には、方針がコロコロ変わってあてにならない、というネガティブな意味で使われますが、

    【朝決めた内容を、間違いに気づいたら、夕方にはすでに改善を始める】

    という改善の速さを表す言葉として、当社では良い意味で捉えています。周辺環境のスピードが上がっている昨今、特に外食産業は「産業の寿命が短い」と言われています。1ブランドの寿命は5年〜10年という短い業界で、常に良いものをお客さまに提供していくためには度重なる方向修正が必要です。改善に次ぐ改善の連続です。当社にとって、会社の考え方に合わせて、自分で分析軸を自由に変えられるシステムは、とてもありがたいと思います。それをシステム部門が全部担うことは難しく、各担当部門がしっかりと回せることが必要なので、社内リテラシーを上げていく教育を今後も継続していきます。

    海外店舗の活動

    海外は9カ国約90店舗で展開していますが、共通したPOS導入ができていません。国ごとにメーカーが異なり、場合によってはスタンドアローンで独立して動いています。この状況では、海外店舗の売上データを今すぐ一括して本部で管理することは難しいですが、徐々に展開を始めています。例えば、店舗数の一番多い台湾では自動的にデータを抜き、データベースに展開して、帳票類をすべて「Dr.Sum EA」の中で処理を行っています。海外店舗のデータ分析に関しても、すべて国内で自動的にできるように、内部のシステム部門で設計をしています。システム部門員は、店舗からあがってきたスタッフで構成され、開発者ではありませんが、それでも十分に設計が可能なシステムです。

    今後は店舗活用も視野に入れていきたいと思います。

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