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【内田洋行ITフェア2016in東京】 Office 365 を活用したテレワークの実践で見えてきた新しいワークスタイルとは?

2017/1/20 [ワークスタイル,セミナーレポート]

内田洋行は2010年にクラウドサービス Microsoft Office 365(当時 BPOS)を導入し、現在まで利活用推進を社内のメンバー中心に実践してきました。Lotus Notes からの移行や、社内委員会が進めてきた活用への取り組みとともに、Office 365 に次々追加される新たなサービスの内容やその実例について、今後さらに注目度が高まるテレワークを実践するための方法をご紹介します。

目次

  • 導入の経緯
  • 定着・活性化に向けた体制・活動
  • 利用状況の可視化と分析
  • 将来のテレワークへ向けて

内田洋行ITフェア2016 in 東京にて

株式会社内田洋行
ネットワークビジネス推進部課長 山口 了以

Microsoft MVP 太田 浩史

内田洋行では、2010年の会社の分散移転に伴い、社内コミュニケーションの見直しを検討し、Office 365(当時 BPOS)を導入することになりました。すでに利用は6年以上にわたっています。当初の導入、活用の時期を経て、現在ではテレワークの実現など新たな段階へと踏み出そうとしています。

導入の経緯

2010年の導入にあたっては、まずは社内でどういったコミュケーションがとられているか、ツール導入でどれだけの効果が出せるのか、を調査しました。1日のうち50%ぐらいは人とのコミュニケーションに時間を割いていること、ツール別では電話とメールで50%が使われていることなどがわかりました。

さらに使用の多い部署へ聞き取り調査を行いました。要望として「全国各拠点のWi-Fiを統一してどこに居ても社内ネットワークを使えるようにしてほしい」あるいは、「いつでもどこでも印刷できるようにしてほしい」といった意見が出てきました。

最終的には、将来の目標を「どの拠点、どの場所にいても、いつもと同じ方法、環境で、同じ情報が利用できる」という点におき、コストや期間を試算した上でクラウドサービスの導入を決めました。

Office 365 に決めたポイントとしては、

1.メールの他に文書管理、情報共有、Web会議と、さまざまな機能がついていた。

2.社内では Office が使われていたので Outlook と親和性があった。

といったことが挙げられます。

2,000名のユーザーで導入したのですが、当時としては数千人でクラウドサービスを採用するという例は少なく、日本マイクロソフトからニュースリリースも出ました。

導入に際しては、まずはユーザーの多いメールや予定表から稼働させ、その後に他の機能を導入するといった移行計画を立てました。

定着・活性化に向けた体制・活動

導入後は、さらに使ってもらうために何をしたらいいか、というところから活動を始めました。利用状況を見ていきながら、計画を立てて、策を打っていきました。当時の活動主体は Office 365 導入時のITチームを中心とした有志のメンバーでした。しかし、そもそもどんなコンテンツが社内にあって、それをどういうふうに共有していったらいいか、など、なかなか見えてきませんでした。

そこで自分たちだけでなく、業務でそういったコンテンツを作って共有していた社内の人をまずは味方につけようと考えました。そのために、会社からも活動を公式に認めてもらい、委員会という形として組織し、社内からの協力を得やすい体制作りを行いました。

結果として、経営企画、広報、製品企画やマーケティングといった事業部門スタッフ、営業などの現場社員が味方になってくれました。彼らが持っているコンテンツをIT運用部門が「こういった機能がありますよ」「こういった使い方ができそうですよ」といった形でアドバイスすることで、活性化を図りました。

このとき、以下の2点を痛感しました。

1. 「コンテンツとそれを作る人と一緒に活動する」ことで、初めてツールが活きてくる。

2. 社内に情報共有を定着させていくには、まずは社内にどんなコンテンツがあるかを理解する。

情報発信・共有の中心となっているポータルでは、社内で作り出されるコンテンツに応じて、柔軟にコンテンツを入れ替えながら運用しています。

やがて Office 365 に動画を共有できる機能 Office 365 ビデオが追加されました。当初は、「社内に共有したい動画なんてあるのか」と思っていたのですが、実は社内には動画でのコンテンツが多くありました。たとえば、過去のイベントの様子、社内の研修会、広報誌を作るときのインタビューの様子などです。

こうした対応は、コンテンツを作成するユーザーと IT チームが一緒になって進められたことでできたものだと考えています。

社内SNS の Yammerについても100を超えるグループができており、そうした様々なグループに対して情報発信ができるツールとして機能しています。「ポータルに載っている記事を共有する」「社外のニュースサイトの記事を共有する」などいろいろな使われ方をしており、社内外の情報が流通しています。実は Yammer については、このような使われ方が定着していくまで1年から1年半を要しています。

6年以上にわたる利用の間に、Office 365 は、個人、グループ、組織やチームなど、いろいろな形での情報共有が可能になり、新機能もどんどん出てきました。それに合わせて、新しい使い方を考えていくという視点に立って利活用を進めました。

利用状況の可視化と分析

最近の Office 365 の動向でもありますが、ユーザーの利用状況に関するデータを様々得られるようになりました。そうしたデータを用いて、どういった人が、どの機能を使い、どういったコミュニケーションを行っているかを可視化し、把握しようといった活動を進めています。

たとえば、Skype for Business の例です。データを基に可視化することで、誰が1対1の利用が多いのか、複数人での利用が多いのかが一目でわかるようになっています。その他、組織単位でも、どの部署がよく使っているか、といった利用状況が可視化でき、把握することができます。これにより、事務スタッフ職の利用が多いとか、在宅勤務者によく使われている、といった傾向が見えてきます。

さらにこういった利用の多いユーザーには、ヒアリングを行ない、どういった業務で使っているか、使い始めたきっかけは何か、困っていることはないかなど、より具体的な利用方法を調査しています。私たちは、こうした活動から利用方法やメリットをまとめた社内事例を作成し、それを他のユーザーへ横展開しようと考えています。

将来のテレワークへ向けて

ここからは、利用者の視点で Office 365 の機能を使い、テレワークへ向けてこんな活用をすれば非常に便利である、ということをお伝えしたいと思います。

テレワークには、以下のようなメリットがあるといわれています。

  • 1. 環境負荷削減
  • 2. 地方の活性化
  • 3. ワークライフバランスの向上
  • 4. リスク分散
  • 5. オフィスコスト削減
  • 6. スタッフの生産性向上

使われ方として、大きく2つの流れがあります。

  • (1) 場所の制約を超える
  • (2) 時間の制約を超える

(1)は従来型のテレワークです。例えば、Skype for Business という機能があります。

自分は喫茶店にいて、オフィスにいる部下の提案書を Skype でレビューしながら情報共有する、といった使い方ができます。対面の方が意図が伝わるかと思いきや、実際に使ってみると、Skype の方がコミュニケーションは断然早く進みます。無駄なことは言わず、用件だけを伝える、要点を絞るといった意識が自然と働くようです。また、レビューを行いながらインスタントメッセージを使って指摘事項を書くようにすれば、ログとしても残せるため、後から見返すことができ、部下はログを基にレビュー内容を確認しながら作業を行うことができます。

今は、在宅勤務社員とのミーティング、あるいは地方の支社や顧客へ向け、現地営業のコーディネイトなどにも使っています。

(2)は、個人間というよりもチーム全体での活動についてです。Office 365 の新しい機能である Office 365 Groups や Plannerを利用しています。

Office 365 Groups は、メールやファイル共有、予定表などの Office 365 で提供される機能を統合的に利用できるもので、チームでの情報交換や資料共有などに役立ちます。特にタスク管理ができる Planner という機能が大変便利です。

Planner では、チームが抱えるタスクのひとつひとつがカードになっており、ドラッグアンドドロップなどの簡単な操作でタスクの追加や担当者への割り当てなどができます。さらには進捗状況がグラフ化され可視化されることにより一目で把握できます。未着手のタスクや進捗が遅れているタスクなどがわかり、誰がどこでつまずいているかを把握し、チームの作業全体をすぐに再調整するといったことも可能です。

チームでの作業は、従来Excelで作成していたようなしっかりとした工程表がなくても全体の進捗状況がわかる非常に便利な機能です。実際にPlanner の利用により、情報の共有が迅速にできるようになったので、課題点が早く見つかり、業務スピードがアップしました。

Office 365 にはこれからも新たな機能やサービスが追加されていくことと思いますし、それを期待しています。今後も、こうした機能を社内のユーザーとともに試行錯誤しながら使っていき、社内事例化などの取り組みを行いながら活用を進めて行きたいと考えています。

また、こうした社内事例は積極的に社外に対しても発信していければと考えていますので、ぜひ今後も情報交換をさせて頂ければと思っています。

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