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自治体IT革命の今日、明日
第201回 「業務改革モデルプロジェクト、その1『窓口業務改革』」

2017/06/05

○業務改革モデルプロジェクト、窓口業務改革の取組み
 総務省は、民間企業の協力のもとBPRの手法を活用しながら住民の利便性向上に繋がる業務改革にモデル的に取り組む自治体を支援することで、汎用性のある改革モデルを構築し、横展開を図る「業務改革モデルプロジェクト」を実施しています。
 現在、総務省行政経営支援室において業務改革モデルプロジェクトが推進されております。BPRの手法を活用した窓口業務改革の取組みを支援するものです。平成28年度は5団体が採用されました。
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei04_02000045.html

1.高山市:
・本庁及び9支所の窓口業務について、BPRの手法を活用した窓口の業務分析を実施、業務の無駄や重複の排除、市の業務範疇の明確化を行い、効率的・効果的な窓口業務のあり方の検討を進める。対象事務は、24の申請・届出受付等事務。
・アウトソーシングや窓口改修は費用対効果を踏まえて検討。アウトソーシングにより、現在、市の窓口業務で活用する臨時職員を当該委託先の正規雇用へ転換することも視野。
2.鳥取市:
 平成31年度からの総合窓口設置に向け、窓口事務処理の段階別(フロント、ミドル、バック)に業務分析、包括的アウトソーシングの導入可能性を検討します。
①業務範囲のあり方及び一括業務委託の市場性
②適切な契約期間のあり方
③総合窓口の本格稼働に向けた準備期間・導入スケジュールのあり方
④段階的な業務内容の拡大のあり方
⑤概算経費のあり方
⑥検認等担い手最適化のあり方
⑦想定されるリスクと対応策など
3.西予市:
 民間事業者、大学研究者らと連携し、BPRのみならず空間最適化も考慮に入れ、以下を検討。
①窓口業務の一元化(総合窓口化)に係る組織及び業務の検討
②手続きのワンストップ化(事務の内部連携、マイナンバー活用)の検討
③高度の審査を要する事務の窓口対応の予約制の導入の検討
④単純手続の申請書等の職員の聞取りによる電子的作成支援の導入の検討
⑤支所窓口と本庁との連携するオンライン窓口の導入の検討
⑥マニュアルの作成と事務の標準化
⑦窓口業務の非常勤化及びマナー強化、又はアウトソーシング化の検討等
⑧マイナンバーカードの活用促進
4.別府市:
・窓口業務を駅近く、市内中心部の中心市街地、百貨店の空きフロアに移転した上、総合窓口化や段階的にアウトソーシングを実施することを検討(第1段階:フロアマネジャー業務、第2段階:住民が行う書類作成補助業務、第3段階:書類受付・内容審査業務)。
・外部資源を市外からではなく、市内の他業種事業者との連携により確保することを検証(受託可能性、サービス水準、教育訓練、コスト比較等)
・タブレット端末を活用した申請サポートツールの用意
5.南城市:
・新庁舎の移転(平成29年12月予定)に併せたインテリジェント型(総合受付かつ総合処理ができる)総合窓口の設置をめざす。
・平成26年度から庁内検討を始め、利用頻度の高い窓口部署を集約してきた実績を活用。
・あわせて組織機構改革やアウトソーシングによる、市民サービス向上と業務改革を推進。

 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei04_02000045.html

 共通のワードは、マイナンバーカード、総合窓口、ワンストップ、申請書の作成支援、オンライン窓口そしてアウトソーシングです。

 今から10年以上前に、公共サービス改革法が改定されました。当時の内閣府のWebサイトより抜粋編集しました。
○公共サービス改革法(平成18年7月施行)
・意義
 今日の厳しい財政事情の中、政府が大きな役割を果たしてきた過去の制度を見直し「簡素で効率的な政府」を実現することは、国及び地方を通じた我が国全体にとって喫緊かつ最重要課題の一つである。今後「簡素で効率的な政府」への道筋を確かなものにするためには、国や地方公共団体が行っている業務について、公共サービスの受益者である国民に対し、より質の高いサービスを提供する観点から、事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分けを踏まえた検討を行った上で、必要な措置を講ずることが重要となっている。
 また、国や地方公共団体が行う業務について、競争を導入することにより、業務の実施主体の切磋琢磨・創意工夫を促すことも、「簡素で効率的な政府」の実現にとって極めて重要である。

・地方公共団体が実施する官民競争入札又は民間競争入札
 地方公共団体の実施する公共サービスは、国民にとって最も身近な公共サービスであり、地方公共団体において官民競争入札又は民間競争入札が実施されることで、公共サービスの在り方に関する国民の関心が高まり、一層の改革が図られるものである。
(1) 地方公共団体の役割等
 法においては、地方公共団体に対し、官民競争入札又は民間競争入札の実施を義務付けてはいない。
 地方公共団体においては、法第5条の規定を踏まえ、公共サービスの受益者である住民の立場に立って、法の基本理念にのっとり、地方公共団体の特定公共サービスに関し見直しを行い、公共サービスの質の維持向上と経費の削減を図る観点から適切な場合には、官民競争入札又は民間競争入札を実施することが期待される。

○「公共サービス改革法」改定
 平成19年12月、公共サービス改革法(基本方針)が改定された。地方自治体関連では、以下の24の窓口関連業務が対象となる。平成18年7月当初の「特定公共サービス」は6つの窓口関連業務であったが、今回の改訂案では18の業務が増え24業務となる。

・24の窓口関連業務
(1)住民異動届に関する業務
(2)住民票の写し等の交付業務(*)
(3)戸籍の附票の写しの交付業務(*)
(4)印鑑登録申請に関する業務
(5)印鑑登録証明書の交付業務(*)
(6)住居表示証明書の交付業務
(7)地方税法に基づく納税証明書の交付業務(*)
(8)戸籍の届出に関する業務
(9)戸籍謄抄本等の交付業務(*)
(10)外国人登録原票記載事項証明書等の交付業務(*)
(11)転入(転居)者への転入学期日及び就学すべき小・中学校の通知業務
(12)埋葬・火葬許可に関する業務
(13)国民健康保険関係の各種届出書・申請書の受付及び被保険者証等の交付業務
(14)老人医療関係の各種届出書・申請書の受付及び受給者証等の交付業務
(15)介護保険関係の各種届出書・申請書の受付及び被保険者証等の交付業務
(16)国民年金被保険者の資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項の届出の受理に関する業務
(17)妊娠届の受付及び母子健康手帳の交付に関する業務
(18)飼い犬の登録に関する業務
(19)狂犬病予防注射済票の交付業務
(20)児童手当の各種請求書・届出書の受付に関する業務
(21)精神障害者保健福祉手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(22)身体障害者手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(23)療育手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(24)自動車臨時運行許可に関する業務

注)当初の6つの特定公共サービス(*)

○窓口サービス、総合窓口とは
 総合窓口とは、住民に対して行う各種複数の行政サービスを、1ヶ所で手続き可能とする窓口のことをいう。
 住民票や印鑑登録証明書の発行、年金や国民健康保険への加入手続きなど、複数にまたがっていた窓口を、1ヶ所に集約することで住民の利便性・サービスの向上を図ることができる。
 窓口の物理的な統合だけではなく、業務処理及び既に個別に構築された業務システムの統合も必要である。個別の業務システムを統合した総合窓口システムの活用によって、「事務作業の高度化」といったメリットが生まれる。
 事務の高度化が図られることにより、事務処理時間が短縮され、住民の待ち時間も減少し、住民サービスの向上にもつながる。

1.総合窓口の形態いろいろ
 各種証明書の発行や照会、主な異動処理の他に、窓口案内や各種相談の窓口という受付としての役割も期待されている。これらの業務をすべて実施している総合窓口は少ない。一口に総合窓口と言っても、対応している業務はさまざまである。
(1)証明書発行の統合
 窓口を訪れる住民の多くは証明書の発行が目的だと言われている。1ヶ所の窓口で複数の証明書を発行するのが、総合証明書発行窓口であり、住民票の写しや印鑑登録証明書、税証明書などの各種証明書の発行を行う。総合窓口により、複数の異なった申請書に住所や氏名を何度も記入し、いくつもの窓口に行く必要がなくなるため、複数の証明書を必要とする住民にとって大変便利なサービスになる。
 システムとしても複数の業務システムを立ち上げるのではなく、各業務の証明書発行機能を1つの機能として提供しているものが多い。
(2)資格異動の統合
 窓口では転入・転出が住民の異動業務のほぼ半数を占める。転入の際、「住民記録の転入手続きをして、印鑑の登録も行いたい」、「国民健康保険に加入し、年金の手続きをしたい」など複数の窓口で手続きが必要になる場合があり、これらの手続きを1ヶ所の窓口で済ますことができれば、住民の利便性が向上する。
 ただし、一人の職員が複数の業務を理解したうえで、すべての業務処理を行うには限界があるため、各課との連携システムを作ったり、あるいは窓口は1ヶ所でも業務ごとに各課の職員が入れ替わり対応しているのが現状のようである。
(3)市民相談
 転入や転出などの異動手続きを目的に来庁した住民は、他にどんな手続きをしたら良いのかわからない人も少なくない。総合的な相談窓口を設置することで、住民は安心して手続きの実施やサービスを受けることが可能になる。
 このような相談窓口を設置している自治体も多くあるが、窓口では手続きを行う場所を案内するだけで、実際には従来どおり住民が各業務窓口を回る仕組みとなっていることが多い。

 また、住民の利便性向上を追求し、平日は役所へ行くことができない多くの住民のために、取り扱い業務を制限するものの土日も開庁して窓口業務を実施している自治体もある。が、人件費など抑制のため、以下の自動交付機導入に代えている自治体が増えているようです。
(4)証明書自動交付機サービス
 証明書交付にかかる窓口業務の混雑を緩和するために、住民票の写しや印鑑証明書、税証明書などの各種証明書を発行する自動交付機を設置する自治体も増えている。
 この自動交付機については、通常の窓口取り扱い時間に加え、時間外や土曜・日曜・祝日などの閉庁時にも証明書を交付することができるので、住民サービスの向上にもつながる。
 自治体によっては、自動交付機の利用にあたり、住民基本台帳カードを活用しているケースが増えつつある。市川市など多くの自治体が、既存の市民カード(印鑑カードなど。)から住基カードへの切り替えを推進している。
 設置場所の規制緩和を受けて、本庁舎・支所、公民館や郵便局などへの設置だけでなく、民間のスーパー・ショッピングセンター等の商業施設にも設置することで証明書交付業務サービスの拠点拡大を図り、積極的に住民の利便性向上につなげている自治体もありる。

 今、自動交付機サービスに代わってコンビニ交付サービスが主流となっています。

平成29年06月01日

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