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自治体IT革命の今日、明日
第203回 「公共サービス改革とICT、その3『窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン』」

2017/07/31

 梅雨も明け、24節気の「大暑」も過ぎました。いよいよ夏本番です。

(タイトルを以下のように変更しました。)
◎「公共サービス改革とICT、
   その3『窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン』」

(前回より)
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○業務改革モデルプロジェクト、窓口業務改革の取組み
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei04_02000045.html
 高山市、鳥取市、西予市、別府市、南城市など。
 共通のキーワードは、マイナンバーカード、総合窓口、ワンストップ、申請書の作成支援、オンライン窓口そしてアウトソーシングです。
○公共サービス改革法(平成18年7月施行)
・意義
・地方公共団体が実施する官民競争入札又は民間競争入札
○「公共サービス改革法」改定
・24の窓口関連業務
(1)住民異動届に関する業務
(2)住民票の写し等の交付業務(*)
(3)戸籍の附票の写しの交付業務(*)
(4)印鑑登録申請に関する業務
(5)印鑑登録証明書の交付業務(*)
(6)住居表示証明書の交付業務
(7)地方税法に基づく納税証明書の交付業務(*)
(8)戸籍の届出に関する業務
(9)戸籍謄抄本等の交付業務(*)
(10)外国人登録原票記載事項証明書等の交付業務(*)
   −> 中長期在留者に係る住居地の届出(業務名の変更)
(25)特別永住許可等の申請、住居地等の届出及び特別永住許可書等の交付 (注2)
      (平成27年6月4日 新設)
(11)転入(転居)者への転入学期日及び就学すべき小・中学校の通知業務
(12)埋葬・火葬許可に関する業務
(13)国民健康保険関係の各種届出書・申請書の受付及び被保険者証等の交付業務
(14)老人医療関係の各種届出書・申請書の受付及び受給者証等の交付業務
(15)介護保険関係の各種届出書・申請書の受付及び被保険者証等の交付業務
(16)国民年金被保険者の資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項の届出の受理に関する業務
(17)妊娠届の受付及び母子健康手帳の交付に関する業務
(18)飼い犬の登録に関する業務
(19)狂犬病予防注射済票の交付業務
(20)児童手当の各種請求書・届出書の受付に関する業務
(21)精神障害者保健福祉手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(22)身体障害者手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(23)療育手帳の交付業務(市町村の経由事務)
(24)自動車臨時運行許可に関する業務
(注1)(*) ・・・ 当初の6つの特定公共サービス
(注2)(25)特別永住許可等の申請、住居地等の届出及び特別永住許可書等の交付
      (平成27年6月4日 新設)
○「窓口の多様化」とは
“顧客(住民)との接点の場”という意味で、以下のチャネルが考えられる。
・組織
 1.庁舎内窓口        旧来の組織
 2.土・日・祭日の開庁    サービス時間の拡大
 3.総合窓口         ワンストップサービス対応
・代行組織・代行機能
 4.コンビニなど代行機関   サービスの場の拡大
 5.自動交付機、電子ロッカー 場と時間の拡大
・情報伝達手段
 6.電話・ファックス・郵便  旧来の伝達手段
 7.インターネット      PC、携帯電話など
・インタラクティブ(双方向)手段
 8.会議室・掲示板・M/L、SNS・ブログなど
 今後は更なる新たなチャネルが開拓されてくるだろう。
○「窓口サービス」とは
(主な機能は上位4つの機能です。)
 1.各種相談・問合せ機能
 2.各種申請・届出の受付機能
 3.各種証明書の発行機能
 4.苦情の受付機能
 5.意見・要望の収集・活用機能
 6.(意見・要望の)対応機能
 主たる上位4つのサービスの提供チャネルについて。
○窓口サービスと提供チャネル
 平成17年初めの地方自治体(市区町村)導入比率は、以下の通りである。
1.各種相談・問合せ機能
 専門相談窓口の設置         35%
 電話での相談            27%
 ホームページに窓口一覧、FAQ掲載   50%
 携帯サイトに窓口一覧、FAQ掲載    少
 メール、FAXでの個別対応       65%
 他
2.各種申請・届出の受付機能
 電話・FAXでの申請受付        20%
 郵送による受付/受渡し       90%
 インターネットによる申請受付    35%
 申請書のダウンロード        50%
3.各種証明書の発行機能
 郵送による受渡し         (90%)
 コンビニなどでの受渡し       12%
 自動交付機             16%
4.苦情の受付機能
 ホームページに受付掲載など      35%
 携帯サイト              5%
 苦情の処理手続き公開         7%

○コンビニ交付サービス
 「窓口のワンストップサービス、『コンビニ交付が始まる!』」
・2010年のことです。
 市川市、渋谷区、三鷹市がスタートしました。

 現在は、マイナンバーカード利用のコンビニ交付サービスが開始されております。
○J-LISのコンビニ交付サイト
 https://www.j-lis.go.jp/rdd/card/convinikoufu/cms_93097920214.html
○業務改革モデルプロジェクト事業委託予定団体一覧(総務省 17/06)
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000488046.pdf
 北海道北見市、千葉県船橋市、滋賀県彦根市、滋賀県草津市、大阪府河内長野市、福岡県須恵町、熊本県宇城市の7団体に決定しました。
 今年度の特徴は、
1.マイナンバーカード利用の窓口受付支援
2.共同化を含めた窓口事務のアウトソーシング
です。公共サービス改革法及びその改定により多くの窓口事務のアウトソーシングが可能となっています。
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(以上)

◎地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000441007.pdf

 平成28年12月14日
 総務省行政管理局公共サービス改革推進室

目次
第1章 総論
1 背景
2 当室のこれまでの取組
3 民間委託における課題
4 本ガイドラインの位置づけ及び対象業務
5 用語の定義
第2章 民間事業者に委託することが可能な業務範囲
1 現状と課題
2 窓口業務の民間委託に関する各府省庁通知
3 各省通知が示す委託可能範囲の整理
第3章 労働関係法に留意した適正な請負・業務委託について
1 現状と課題
2 告示及び参考資料
3 窓口業務における留意事項
第4章 個人情報保護
1 現状と課題
2 民間委託に際して講ずるべき措置等を規定した法令及び通知等
3 具体例
第5章 民間委託をより効果的にするための工夫例および留意事項
1 工夫例
2 留意事項
第6章 公共サービス改革法34条特例に基づく民間委託について
1 公共サービス改革法34条特例に基づく民間委託について
2 実施例
<以上>

 以下ガイドラインの概要です。
○民間委託における課題
 窓口業務の民間委託に当たっては、依然として様々な課題が指摘されている。
具体的には、
・法令上、委託が可能な業務と行政が自ら執行すべき業務の切り分けについて業務ごと、地方公共団体ごとに試行錯誤しながら整理している実態があること
・窓口業務のノウハウが職員個人に蓄積され、組織的・体系的に共有されていない場合や、作業手順や運用等が自治体ごとに異なる場合など、民間事業者の参入障壁となっていること、わゆる偽装請負の問題が懸念されることなどが挙げられる。

○窓口業務の民間委託に関する各府省庁通知
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000442600.pdf
・窓口25業務
 新たに、「特別永住許可等の申請、住居地等の届出及び特別永住許可書等の交付」追加
 市町村の出張所・連絡所等における窓口業務に関する官民競争入札又は民間競争入札等により民間事業者に委託することが可能な業務の範囲等について
(平成27年6月4日)

○労働関係法に留意した適正な請負・業務委託について
・昭和61年労働省告示第37号。以下「37号告示」
 市区町村職員が、受託者である民間事業者の労働者を指揮命令の下で業務処理を行わせたと認められる場合には、契約形態にかかわらず実質的に労働者派遣法の労働者派遣に該当する(いわゆる「偽装請負」)。
 この場合、当該契約に係る事業を行っている民間事業者(派遣元)は、労働者派遣事業の許可が必要となるなど派遣元事業主として、市区町村は派遣先として、労働者派遣法の規制を受けることとなる。

・窓口業務における留意事項
 窓口業務の民間委託をする際には、労働者派遣に該当しない態様によって委託の契約を締結し、遂行しなければならない。
(1)適正な民間委託のための業務の設定
 ・自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材又は材料若しくは資材により、業務を処理すること、
 ・自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること(37号告示2条2項ハ)。
(2)明確な業務範囲の設定
(3)十分な能力を有する民間事業者の選定
(4)事業の始期における引継ぎ
(5)官民職員の執務スペースの区分
(6)業務遂行中の職員の関与

○個人情報保護
(1)委託の導入に係る審査及び承認手続き
(2)事業者の選定基準
 以下の事項を調査し、事業者の安全性、信頼性等を確認し、事業者を選定すること。
 ・ 経営の健全性、安定性、営業規模、営業地域等
 ・ 業務完遂能力、要員の技術力、教育体制等
 ・ 個人情報保護措置及びセキュリティ確保の措置の実施状況等
 ・ 損害賠償のための財務力
 ・ 社会的信用をき損する行為の有無等
 ・ セキュリティ管理システムに係る国際規格の認証取得状況等(推奨)
(3)遵守事項の説明
(4)責任体制の明確化
(5)安全性および信頼性を確保するための措置
(6)システム端末の管理
(7)書類、データ等の適切な管理

○公共サービス改革法34条特例に基づく民間委託について
 公共サービス改革法34条においては、一定の条件の下、5つの窓口業務について、職員が常駐しない態様による民間委託が実施できることとしている。
 具体的には地方公共団体の出張所、公民館等の公共施設のほか、コンビニエンスストア、ショッピングセンター等の民間施設内に窓口を設置することも可能である。
・委託可能範囲は「交付の請求の受付」および「証明書等の引渡し」に限定されるものであり、交付審査および端末操作は本庁等の職員が自ら実施すること。

平成29年07月27日

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