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第341回 外気利用、省電力データセンターへの期待

2014/12/22

先日、クラウド関連のセミナーに参加した機会に最近のデータセンターのトレンドを調べてみると、少し驚かされた。最新のデータセンター、計画中のデータセンターは省電力の工夫が徹底してきている。

ヤフーのデータセンター部門が新設した福島県白河や北九州の施設では、外気による冷却の工夫によって電力使用量を従来の施設に比べて冷却用90%節減した、と発表しているし、コンテナ型データセンターの日本での草分けであるIIJの島根県出雲の施設も外気利用でPUE(電力使用効率)が1.2未満だという。北海道石狩市にあるさくらインターネットでも外気利用ほかの工夫で状況によってはPUEが1.1程度になるという。

PUEはサーバー稼働電力などコンピューター機能に使う電力に対して、そのセンターで使用する総電力量が何倍か、で示すので、究極の理想は1になるが、サーバーが発生する高熱を冷やすためにクーラーに大きな電力を使うので、総使用量はサーバー稼働電力の1.1倍(PUE=1.1)強から2.5倍(同2.5)というような数値になる。従来型では2倍以上(同2.0)が普通で、1.6倍(同1.6)なら優秀と言われた。それが外気利用で一気に1.2前後まで下がってきたのである。

現在、青森県むつ小川原に計画中の青い森クラウドベースでは、外気のほかに雪氷の冷熱を利用する技術を開発して、サーバー冷却のための電気使用をゼロにする計画だという。冷却以外に照明など必要な電気もあるので、PUEが1ということにはならないが、照明などもLED利用で省電力が進んでいるので、限りなく1に近づきそうだ。

従来型ではPUEが2以上だったというのは、サーバーを冷やすクーラーの電力量が多く、施設全体の電力使用の50%以上を占めていたからである。外気利用でサーバーを冷やし、使用電力を減らせば、データセンターの使用電力は大きく節減できる。

データセンターコストのかなりの部分をサーバー冷却のための電力料金で占めていた、といっても大げさではないと言われてきたが、新タイプのデータセンターは運用費の大幅なコストダウンが実現できる。特に、東日本大震災以降、電力料金が高騰しているので、こうした省電力型のデータセンターの競争力が際立ってくる。

日本社会全体としても、電力消費量の大きなデータセンターが省電力型に切り換われば、環境対策に大きく貢献しそうである。

このアイデアは他の省電力の工夫としても大きなヒントになる。まだまだ、省電力の余地はたくさんありそうだ。

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