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第362回 クラウド産業が大きく成長

2015/10/13

クラウドサービス企業の業界団体であるASPIC(ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム=河合輝欣会長)主催の「第9回ASPICクラウドアワード2015」の授賞サービスの発表と表彰式が10月上旬、東京・大手町の経団連会館で開催された。内田洋行の「ウチダ公共クラウドサービス」をはじめ、実績を挙げているサービスが表彰を受けた。表彰されたサービスをみると、日本のクラウドも大きく成長したと感心する。

今回から総務大臣賞が新設されて、初の総務大臣賞はNTTデータの「全曲報告サービス」に決まった。審査委員長を務めた筆者もこの「全曲報告」には最初は戸惑った。タイトルを聞いても何のことやら分からない。じっくりと話を聞いて初めておぼろげながら理解したつもりになった。8年前に開始したこのサービスはNTTの研究所で開発した「フィンガープリント」の技術を使って、放送局が放送した楽曲をネットワークで収集してコンピューターで特色を基に楽曲を特定する。

放送された楽曲を特定すると今度は著作権所有者を探し出して著作権料を支払うという著作権管理の仕組みである。これまで人の耳を使って手作業で行っていた大変なプロセスをICTで大幅に合理化するということである。驚いたのは、クラウドは大手ベンダーでは既存の利益源だった自分の市場を食ってしまう仇敵だとして、当初は、大手企業ほど内部の抵抗が激しく、担当者の苦労するケースが多かった。

その大手ベンダーの中でひそかにクラウドサービスがじわじわと成長していたことになる。こういう例を見ると、実はクラウドサービスは水面下で大きく成長していたことがうかがえる。

著作権管理「フィンガープリント」は以前から利用されている。「指紋」という意味だ。データ量が増大すると精度高く利用できる「パターンマッチング」の技術の一つとして古くから有名な技術だが、この技術を楽曲の分野で応用したわけだが、ビッグデータの時代、他の分野でも幅広く利用できそうである。

MM総研の予測によると、日本のクラウド市場は2019年に2兆円に達しそうだが、こういう水面下のサービスも続々と表に顔を出してきそうだ。

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