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第371回 マイナンバーで何が変わるのか

2016/02/15

新しいことが始まる時には、必ず、斜に構えて「そんなことをしても何の意味があるのか」と反対する人々がいる。「批判」であるなら議論をして「どういう意味があるのか」を説明することもできるが、独り言のような皮肉を言う人々は厄介である。その独り言も小声ならともかく、大声で人前でいう。昔の姑の嫁いびりのような趣だが、現代では、それをテレビのバラエティ番組でコメンテーターと称する人々が得意げに語るので始末が悪い。

マイナンバーに対する反対の中にはこの種の「皮肉」が混ざりこんでいる。議論しようにも、形勢が不利になるとそっぽを向いてしまうので、いつまで経っても皮肉交じりの反対の姿勢が直らない。

マイナンバーはいくつもの効用があるのだが、たとえば、税の不公平の是正では、巧妙に脱税を繰り返して来た人々にとってはその道を狭める効果がある。脱税の余地のない給料生活者には無縁の話だが、これまで税逃れを繰り返して来た人たちには恐怖である。この人たちの中には「マイナンバーはプライバシー侵害の恐れがある」と議論を一般論に拡散して「プライバシー侵害」という言葉に敏感な国民の不安をあおって味方につけようとする。

しかし、脱税を明らかにされるのを避けるのは「プライバシー権」ではない。プライバシー権は「公序良俗に反しない限り」「公益を著しく侵害しない限り」という範囲の中で主張しうるものである。「脱税」を暴かれることは、プライバシー侵害とは別次元の話である。

もし、現在、税逃れによって未収となっている税金をきちんと納入してもらえば、どれだけの税収増になるか。その試算は難しいが、数千億円 では収まらないだろうという推測もある。実際のところは分からないが、もし、推測通りに兆円単位の税収増につながるなら、それだけでも、面倒くさいマイナンバー制度を実施する価値があると言える。

ただ、かつて、資産隠しを防ぐために「グリーンカード」(貯蓄カードで預金者の名寄せをする)を進めようとして、「所得税法の改正」までしながら、議員立法で廃案に追い込まれた苦い記憶をもつ国税庁は、マイナンバー制度について税逃れを防ぐ効果については慎重で「税負担の不公平の是正」ともって回った言い方をしている。多くの国民にとってはマイナンバーの価値だが、一部の人には「不都合な制度」になるだろう。質的にも恥ずかしくないので、希望しますが、料金は6人で7万円弱です。

考えてみると、情報化の進展というのは、情報を広く共有化して、公平、公正な社会を作って行くものだ。マイナンバー制度も、情報化が進展してゆくのを深く実感させられる事例だ。

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