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第374回 高速道路の速度制限引き上げ?「不法状態」を解消する裏ワザ

2016/03/28

高速道路の速度制限を時速120キロまで引き上げることが検討されているそうだ。ニュース報道によれば、高速道路を走行する自動車は制限速度100キロでも、これをオーバーする自動車は後を絶たず、制限速度は守られていない。

筆者の実感でも、制限いっぱいの時速100キロ前後で高速道路を走行していても、後ろからあおられるし、右側の高速車線の走行車はどんどんこちらを引き離してゆく。120キロ走行くらいが普通ではないかと思う。

つまり、制限速度の100キロというルールは公然と無視された不法状態なのである。警察の取締りを強化するか。情報技術を使えば、速度検知は簡単である。速度取締機の設置を増やせば速度オーバーの自動車を発見してどんどん違反切符を切れば、徐々に速度オーバーは減らせるだろう。

しかし、なぜか、この手は進んでいない。わざわざ情報技術を使わないのである。おそらく高速道路の大渋滞を招くことを心配しているのだろう。かえって追突事故やら何やら、軽い事故が多発して混乱が拡大する懸念がある。

この不法状態を解消する手が、上限を引き上げるという手である。法律を実態に合わせる、というのである。意見はいろいろ分かれるだろう。高速走行で事故が起きると重大事故になって危険だという主張もあるが、不法状態を解消するためにルールを変えるという方法の方が運転愛好家の間では圧倒的に支持が多いだろう。

現在でも、情報技術でできる厳格な取り締まりをせずに、手心を加えているわけだが、不法状態を放置しているのは気持ちが悪い。

似たようなことはいくつもある。電車のシルバーシートの近くでは携帯電話やスマホを使うな、というルールはほとんど守られていない。身につけている医療機器に危険がある、というのが使うな、というルールの根拠だったが、これが信じられなくなった。大勢の人がシルバーシートの付近で携帯電話やスマホを使うようになっても医療機器のトラブルの報告は聞かれない。こうしてルール違反が横行するようになって、シルバーシートのルールも動きつつある。

情報技術は人間が使うものである。これを駆使して速度制限を厳格に運用するか、あるいは運用を手加減するか。さらに手加減しているうちに、ルールそのものに疑問が生じる。社会の仕組みは、情報技術と人間の考え方との微妙なバランスで進化してゆくものなのだろう。

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