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第402回 7月24日はテレワークの日

2017/05/08

「働き方改革」の柱の一つである「テレワーク(在宅勤務、オフィス外勤務)」の推進に新しいアイデアが登場している。連休前に政府が発表した「7月24日はテレワークの日」のキャンペーンだ。東京オリンピックの開会式が開かれる予定の7月24日に注目してテレワークを普及させようという試みである。今年の7月24日から実施の予定で、首都圏で参加する企業を募集している。

開会式の会場は都心である。2020年の7月24日の当日は金曜日、首都圏の交通機関の大混雑が予想される。その大混雑を避けるためにその日は多くの企業に在宅で勤務してもらえないか。テレワークを推進する総務省は国土交通省と連携してこの日を「テレワーク・デイ(テレワークの日)」とし、その実験を今年から始める。

具体的には、テレワークの日にはオフィスに出勤せずに自宅で業務に当たるように仕組みを作るように企業に働きかける。

テレワークの試みはここ2、3年で産業界に広がりを見せ始めている。海外では長期休暇やテレワークは制度として定着している企業が多い。外資系企業では本社の仕組みを日本法人にも適用させるよう指導しているので、日本の外資系企業は早くから全社的にテレワークを採用してきている。これを横目に見て長い間、国内の大手企業は「日本社会では難しい」とテレワークには冷淡だった。しかし、時代は変わりつつある。若いITベンチャーでは「自由なワークスタイル」を求めてテレワークを取り入れるところが目立っている。

大手企業でもテレワークを採用せざるを得ない事情も多くなった。優秀な戦力である女性社員が結婚、出産、育児で退職してしまう。これを引き留め、あるいは休職中の穴を埋めるためにテレワークを採用し始めた。この勢いに乗って、育児は女性だけの仕事ではない、として、男性社員もテレワークを求める動きも広がっている。さらに両親の介護である。

これは男性社員も直撃している。介護に割く時間が増えて来て、オフィスに出勤して業務に当たることが難しい社員が目立ってきた。重要な地位にある幹部社員が「介護」の問題で退職するようになってきたのである。長い間、「家族より仕事優先」が常識だったが、明らかにその価値観が揺らいでいる。その打開策として、自宅にいながら業務を執行できないか。テレワーク需要が広がった。

さらに、テレワークを出産、介護などの条件に限定した時代は終わりつつある。

安倍内閣が打ち出した「働き方改革」では、もっと一般に働き方の自由度を拡大し、その手段の一つとしてテレワークが推奨されるようになったのである。

テレワークに慎重だった国内の大手企業も動き出さざるを得なくなった。業務に支障がないところ、職位を対象に試験的に採用、今年になって、より広い職場で週に1日、など条件をつけてテレワーク採用に乗り出している。大手製造業の事務部門を皮切りに、まず無理だと思われていた金融機関や行政機関のフロント部門でも事例が増えている。

こうした動きに弾みをつけるのが「テレワークの日」の制定である。

東京オリンピックは日本社会の「働き方改革」まで推進しようとしている。

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