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第405回 メディアの交代

2017/06/19

情報産業界では伝統ある専門紙「日本情報産業新聞」が6月をもって休刊となる。12日付の同紙が発表した。同紙によると、26日付が最終号になる。

同紙は日本の情報化進展のシンボルでもあった東京タワーのオフィス階に本社を構え、日本のコンピューター産業の発展を伝える専門紙として多彩な情報を伝えて来た。「1968年の創刊からほぼ半世紀を数え、この間多くの読者と情報サービス産業界はじめ各界の企業・団体・組織の皆さまに支えていただきました」。

しかし、状況は大きく変わった。かつて日本のコンピューター産業を引っ張ってきた超大手電機メーカーは現在、勢いを失っている。ライバルは米国の大手コンピューター企業ではなく、急進展するベンチャー企業だった。インターネットをベースにした新しいサービスモデルが出現して、産業構造を大きく変容させてしまった。取材対象も大きく変わった。何よりも辛いのは、これまで財政を支えてくれてきた広告スポンサーが元気をなくしたことだ。

「今般紙面を発行し続けることが困難と判断するに到った」という事情は十分に推察できる。

ただ、情報ニーズはある。産業構造が変化しても、企業経営を効率化し、競争力を強化するためには、情報通信技術は欠かせない。ユーザー企業が情報産業の提供する製品やサービスについての情報を求めていることには変わりない。新しい端末機器が登場し、どう使いこなせば良いのか。無線だ、クラウドだ、と利用するサービス形態が変わっても、どんなサービスが出現し、どんな現れているのか、ユーザー企業にとって、企業改革を進める新しい情報に対するニーズは引き続き、大きいものがある。

問題は、その情報を伝えるメディアが紙の媒体であり続けるのかどうかだった。

世界の紙のメディアは電子版へと大きくシフトしている。

日本経済新聞が系列に入れた英国のフィナンシャルタイムズはすでに8割の情報は電子版で提供するようになったと聞いている。米国の有力新聞も電子への比重を高めている。むしろ、先進国では日本のメディアが電子への転換が遅れているのだろう。

状況の変化をしっかり見極めないといけない。

「情報産業新聞」の休刊のニュースは、時代の変化をしっかりと伝えてくれる。

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