HOME > U+(ユープラス) > 電子自治体の行政情報化ニュース > 自治体IT革命の今日、明日 第114回 総合窓口サービスのあり方、その1『総合窓口サービスとは』
2010/06/07
◎総合窓口サービスの在り方
今回は「総合窓口サービスの在り方、その1として『総合窓口サービス』について。
○総合窓口とは
総合窓口とは、住民に対して行う各種複数の行政サービスを、1ヶ所で手続き可能とする窓口のことをいう。
住民票や印鑑登録証明書の発行、年金や国民健康保険への加入手続きなど、複数にまたがっていた窓口を、1ヶ所に集約することで住民の利便性・サービスの向上を図ることができる。
窓口の物理的な統合だけではなく、業務処理及び既に個別に構築された業務システムの統合も必要である。個別の業務システムを統合した総合窓口システムの活用によって、「事務作業の高度化」といったメリットが生まれる。
事務の高度化が図られることにより、事務処理時間が短縮され、住民の待ち時間も減少し、住民サービスの向上にもつながる。
1.総合窓口の形態いろいろ
各種証明書の発行や照会、主な異動処理の他に、窓口案内や各種相談の窓口という受付としての役割も期待されている。これらの業務をすべて実施している総合窓口は少ない。一口に総合窓口と言っても、対応している業務はさまざまである。
(1)証明書発行の統合
窓口を訪れる住民の多くは証明書の発行が目的だと言われている。1ヶ所の窓口で複数の証明書を発行するのが、総合証明書発行窓口であり、住民票の写しや印鑑登録証明書、税証明書などの各種証明書の発行を行う。総合窓口により、複数の異なった申請書に住所や氏名を何度も記入し、いくつもの窓口に行く必要がなくなるため、複数の証明書を必要とする住民にとって大変便利なサービスになる。
システムとしても複数の業務システムを立ち上げるのではなく、各業務の証明書発行機能を1つの機能として提供しているものが多い。
この延長線上に、自動交付機サービスさらにはコンビニ交付サービスが位置する。
(2)資格異動の統合
窓口では転入・転出が住民の異動業務のほぼ半数を占める。転入の際、「住民記録の転入手続きをして、印鑑の登録も行いたい」、「国民健康保険に加入し、年金の手続きをしたい」など複数の窓口で手続きが必要になる場合があり、これらの手続きを1ヶ所の窓口で済ますことができれば、住民の利便性が向上する。
ただし、一人の職員が複数の業務を理解したうえで、すべての業務処理を行うには限界があるため、各課との連携システムを作ったり、あるいは窓口は1ヶ所でも業務ごとに各課の職員が入れ替わり対応しているのが現状のようである。
ICTシステム化によるヘルプ機能(支援機能)は必須となる。
(3)市民相談
総合的な相談窓口を設置することで、住民は安心して手続きの実施やサービスを受けることが可能になる。が、このような相談窓口を設置している自治体も多くあるが、窓口では手続きを行う場所を案内するだけで、実際には従来どおり住民が各業務窓口を回る仕組みとなっていることが多い。
また、住民の利便性向上を追求し、平日は役所へ行くことができない多くの住民のために、取り扱い業務を制限するものの土日も開庁して窓口業務を実施している自治体もある。が、人件費など抑制のため、以下の自動交付機導入に代えている自治体が増えている。
(4)証明書自動交付機サービス
証明書交付にかかる窓口業務の混雑を緩和するために、住民票の写しや印鑑証明書、税証明書などの各種証明書を発行する自動交付機を設置する自治体も増えている。
この自動交付機については、通常の窓口取り扱い時間に加え、時間外や土曜・日曜・祝日などの閉庁時にも証明書を交付することができるので、住民サービスの向上にもつながる。
自治体によっては、自動交付機の利用にあたり、住民基本台帳カードを活用しているケースが増えつつある。市川市など多くの自治体が、既存の市民カード(印鑑カードなど。)から住基カードへの切り替えを推進している。
設置場所の規制緩和を受けて、本庁舎・支所、公民館や郵便局などへの設置だけでなく、民間のスーパー・ショッピングセンター等の商業施設にも設置することで証明書交付業務サービスの拠点拡大を図り、積極的に住民の利便性向上につなげている自治体もある。
(5)コンビニ交付サービス
別途マガジンでお話をいたします。しばらくお待ち願います。
(財)地方自治情報センター主催の「電子自治体推進セミナー」が、平成22年04月15日に開催されました。(住基カードを活用したコンビニ交付についてより抜粋)
*証明書一通あたりのコスト比較は?(市川市における経済効果より)
(1)窓口交付 : 725円
(2)自動交付機 : 380円
(3)コンビニ交付: 140円 ???
このことは何を意味するのであろうか。
総合窓口形態の内、(1)証明書発行の統合では、人件費などコスト抑制の観点から、正規窓口職員の減少&民間への移管が検討されるだろう(福岡県・大野城市事例)。さらには、自動交付機の導入などが考えられる。本年2月2日からは、コンビニ交付サービスも開始された。渋谷区、三鷹市、市川市、そして4月6日からは福島県・相馬市でもスタートしたところである。
次回以降、証明書交付に係る各々のコストについて試算してみる。
平成22年06月03日 記