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自治体IT革命の今日、明日
第115回 総合窓口サービスのあり方、その2『証明書交付コスト(no1;自動交付機)』

2010/07/05

◎総合窓口サービスの在り方
 今回は「総合窓口サービスの在り方、その2として『証明書交付コスト(その1、自動交付機)』について。

(前回より)
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ○総合窓口とは
1.総合窓口の形態いろいろ
(1)証明書発行の統合
(2)資格異動の統合
(3)市民相談
そして、証明書交付サービスには、
(4)証明書自動交付機サービス
(5)コンビニ交付サービス

 総合窓口形態の内、(1)証明書発行の統合では、人件費などコスト抑制の観点から、正規窓口職員の減少&民間への移管が検討されるだろう(福岡県・大野城市事例)。さらには、自動交付機の導入などが考えられる。本年2月2日からは、コンビニ交付サービスも開始された。渋谷区、三鷹市、市川市、そして4月6日からは福島県・相馬市でもスタートしたところである。  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 
(以上)

 証明書交付に係る各々のコストについて試算してみる。
◎「総合窓口サービス、『自動交付機交付コストの試算』

<参考>
○証明書交付コスト比較(LASDEC研修資料より:市川市試算)
 窓口交付コスト   −> 725円/1通(大半が人件費です。)
 自動交付機コスト  −> 380円/1通(ハードウェアなどリース料・保守料など維持費)
 コンビニ交付コスト −> 140円/1通(1通120円&負担金など)
 市川市は、30台の自動交付機により47万通もの証明書を交付している。母数が大きいゆえ、各証明書交付コストは一般的に低くなっている。
<以上>

 一般的な中都市(10〜15万人)においては如何なものとなるか、試算を試みたところです。
○自動交付機に係るコストとは?
1.「八王子市調査資料(平成18年12月)」より考察
 東京都下8市(立川市、三鷹市、青梅市、府中市、調布市、小平市、西東京市、東久留米市)における自動交付機導入実績より。(以下、8市の平均)

・試算の手順
A:人口                178千人
B:交付機台数             3.5台
C:ハード/ソフトイニシャルコスト 75115千円
D:年間ランニングコスト       4382千円
 −>
X:5年間総コスト = C + (D * 5)
                 151805千円/5年
Y:年間運用コスト = X / 5                   30361千円/年
 −>
(仮定)
F:証明書総交付件数 = (A * 1.2(注1))通と仮定すると、
                 213600通
L:自動交付機交付率を20%と仮定すると、
   (= (K / F * 100) % = 20%)
K:交付機交付件数 = F * (L/100)通
                  42720通
 −>
M:1通当り交付コスト = Y / K 円
                   ・・・ 『713円』

(注1)
証明書交付件数の対人口比は、一般的に、
 都市部の市: 1.4、
 一般の市 : 1.2、
 町村   : 1.1、
と想定される。

2.「富士通総研調査資料」より考察
 全国28市区町の自動交付機導入実績より。

Y:年間運用コスト         18000千円
F:総交付件数          140000通
L:交付率              23.3%
K:交付機交付件数         32579通
 −>
M:1通当り交付コスト
                   ・・・ 『553円』
3.モデル市の場合の交付コストはいくら?
A:人口                150千人
B:交付機台数               4台
C:ハード/ソフトイニシャルコスト 75000千円
D:年間ランニングコスト       8000千円
 −>
X:5年間総コスト = C + (D * 5)
                 115000千円/5年
Y:年間運用コスト = X / 5
                  23000千円/年
F:証明書総交付件数 = (A * 1.2)通と仮定すると、
                 180000通
L:自動交付機交付率を25%と仮定すると、
   (= (K / F * 100) % = 25%
) K:交付機交付件数 = F * (L/100)通
                  45000通
 −>
M:1通当り交付コスト = Y / K 円
            ・・・ 『511円』

 以下に、上記試算データを参考までに。
○参考資料
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
市区町村|交付機 イニシャル ランニング|証明書   証明書   |交付機 交付率 1通当|
    |台数  コスト   コスト  |      総件数 比率|件数      コスト|
    |   (千円)  (千円)  |    (人口*1.20) |        (円)|
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
多摩地区|03.5   075115   015338 |1住民票 095850 45.0%| 014378 15.0%   |
178  |               |2印鑑  074550 35.0%| 026093 35.0%   |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |6その他  2129 01.0%|           |
 (05年総コスト) 151805   030361/年     213600    | 042720 20.0% 711円
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
FRI調査 04   050000    8000 |1住民票 068000 48.6%| 012240 18.0%   |
100  |               |2印鑑  047300 33.8%| 020339 43.0%   |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |6その他 024700    |           |
 (05年総コスト) 090000   018000/年     140000通   | 032579 23.3% 553円 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
モデル市| 04   075000    8000 |1住民票 081000 45.0%| 016200 20.0%   |
150  |               |2印鑑  063000 35.0%| 025200 40.0%   |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |            |           |
    |               |6その他 036000 20.0%|  3600 10.0%   |
 (05年総コスト) 115000   023000/年     180000通   | 045000 25.0% 511円
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 窓口サービスの一形態である「自動交付機サービス」においては、証明書交付に係る一通当りコストは、おおよそ500円〜700円程度と思われる。

 次回は、コンビニ交付におけるコストについて検証してみたい。

平成22年07月01日 記

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