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自治体IT革命の今日、明日
第120回 自治体クラウド、その1 『クラウドコンピューティングとは』

2010/11/19

 クラウドという言葉が多少先行している。が、次のように考えられる。
コンセントを挿せば「電気」が得られる、蛇口を捻れば「水」が出る。モバイル端末からは「公共サービス」を受けることができる。
19世紀に工業社会が起こり、「自家発電」にて産業が成り立っていた。20世紀には、巨大な発電所が建設され、すべての企業に「配電ネットワーク」により電気を供給することが普通となった。情報社会においても、21世紀中には、巨大なIDC(サーバー群)により、多くの企業(行政も含む。)は「情報ネットワーク」により多くの情報及びサービスを提供できる社会になるようである。ユーティティコンピューッティング社会であり、クラウドコンピューティング社会になると想定される。

 クラウドコンピューティングとは、新たな技術ではなく、「ネットワークを介し、サービスを提供するサーバーを意識せずに機能を利用するというコンセプトの下に構築された情報システム群」といわれている。また、クラウドとは、"さまざまな「デバイス」から「サービス」を受けられる"ことを言う。

 クラウドコンピューティングを語るとき、やはりコンピューター(情報)とインターネット(通信)の進化と歴史を観る必要がありそうです。
○情報通信の歴史
・1960年〜 汎用機(メインフレーム)時代
集中運用管理
タイムシェアリング ・・・ 仮想化!?
 <3つの課題/目的>
 1.コスト効果
 2.リテラシー対応
 3.情報の集中化と共有化
・1980年〜 PCの時代
クライアントサーバ
分散運用管理
・1995年のエポック
1.Windows95 −> TCP/IP通信のダイアルアップ機能がバンドル
2.サンマイクロシステムズ −> Java
・1989(1993)年〜 インターネット新時代
  1.Webとブラウザ
  2.ブロードバンドの普及
・2005年
  「Web2.0」 −> 消費者向け無料サービス
・2008〜 クラウド時代
  「パブリッククラウド」 −> 企業向け有償サービス

 2005年9月、ティム・オライリーが「Web2.0とは何?」なる論文が発表さ、以降「Web2.0」なる言葉が流行る。
 翌年8月、Google社エリック・シュミットCEOが講演の中で、「新しいコンピューティングサービスは、どこか"雲"の中にあるサーバーから始まる。」「PC、Mac、携帯電話などどんなディバイスからでも、適切な(Webブラウザー)アクセス手段があれば利用できる。」と発言する。 ・・・

○「Web2.0」と「クラウド」の歴史
1.パブリッククラウド企業
 1994年 アマゾンドットコム創業
 1995年 ヤフー創業
 1998年 グーグル創業
 1999年 セールスフォースドットコム創業
 <Web2.0>
 2004年 グーグル:Gmail
 2006年 アマゾン:AmazonS3
 <クラウド>
 2006年 アマゾン:AmazonEC2
 2008年 セールスフォース:Force.com
 2008年 グーグル:Google App Engine
 2010年 マイクロソフト:Windows Azure

2.違いとは?
・Web2.0
 消費者向けの無料サービス
 −> グーグル:Gmail、Map
    You Tube、flickr など
 グーグル社の検索連携広告モデル以外は収益性なし!
・クラウド
 企業向けの有償サービス


○クラウドコンピューティングとは  一般に、ASP・SaaS技術、グリッドコンピューティング、仮想化技術等を用いて構築された情報システムを、利用者が対価を支払った上でインターネットを通じてサービスとして利用するという利用形態を指す。

(参考)  現在、地方自治体の情報システムにおいては、ハードウェア、ソフトウェア及びデータを自ら保有・管理している場合が多いが、クラウドコンピューティングの利用形態を導入することにより、自ら保有・管理をすることが困難な小規模団体等においても情報化の推進が可能となる。
 −> 自治体クラウド/プライベートクラウド(公設民営IDC)か?

1.サービスの提供方法(提供する層によって3種類)
 1.アプリケーションサービス層
  SaaS(Software as a Service)
 2.ミドルウェア・プラットフォームサービス
  PaaS(Platform as a Sarvice)
 3.ハードウェア・オペレーティングプラットフォームサービス
  IaaS(Infrastructure as a Service)

2.利用形態
.パブリック・クラウド
 外部で管理しているサービスをインターネットを介して利用する。
  1.アプリケーションサービス(「SaaS」)
    salesforce CRM
    Google Apps
  2.ミドルウェア・プラットフォームサービス(「PaaS」)
    force.com
    Google App Engine(GAE)
    Microsoft Windows Azure
  3.ハードウェア・オペレーティングプラットフォームサービス(「IaaS」)
    Amazon EC2、AmazonS3
    中国無錫(商業用クラウド・コンピューティングセンター)
    富士通&Niftyクラウド
・プライベート・クラウド
 内部で管理しているサービスを専用線等を介して利用する。
  1.企業・研究所
    各企業
  2.学校
    九州大学   (先端技術学習クラウド・コンピューティング環境)
  3.行政クラウド ・・・ 勿論これからの話である。
    霞が関クラウド
    自治体クラウド
・ハイブリッド・クラウド

3.クラウドとは、
 1つは、「ハードウェアの管理が高度に抽象化される」
  −> 仮想コンピューティング
 2つは、「インフラのコストが変動的な事業運営費として扱われる」
  −> 固定費から変動費になるということで、外部化しないとできない
 3つは、「インフラの能力は拡大縮小自由自在」

 プライベートクラウドを考えると、このうち2つめと3つめのことが解決しない。これは外部化することで初めて可能になるわけですから、クラウドをパブリックとプライベートに分けて、プライベートだけがはやってしまうというのは問題がある。

−> 自治体クラウドは、ハイブリッドクラウドへ!

 国内メーカー系クラウド戦略の多くは、プライベートクラウド戦略を掲げる。さらには、自治体クラウドも、公設民営のIDCによるプライベートクラウドである ・・・

 次回以降、自治体クラウドの在り方について考察してみたい。基幹系業務システム、内部系業務システム、情報系システム(庁内職員向け、地域住民向けポータル)そして電子自治体フロント系サービスシステムのクラウドの在り方などについて考えてみる予定です。

平成22年11月18日 記

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