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自治体IT革命の今日、明日
第125回 自治体クラウド、その6『東日本大震災から学ぶクラウド活用』

2011/05/10

(前回より)

自治体業務とクラウドコンピューティング(NISTモデル)との関係

(以上)

今回は、東日本大震災から学ぶクラウド活用について。

○東日本大震災復旧・復興へ向けてのICT対策は?
まずは被災者へ向けたWebサイトの立上げでしょう。情報提供は必須の行政サービスです。

1.情報提供(広報・広聴)対策
(1)多様なメディアによる住民への情報伝達システムの確立。
Twittetr、Facebookと自治体Webサイトとのリンク
(2)復旧、復興情報のきめ細かな提供
被災地のニーズ把握。
(3)住民ニーズのきめ細かな把握
行政だけでは不可能で、特に住民自治組織、NPOとの連携が必要。
情報が、住民の末端にまで行き届くような仕組みの構築。
(4)避難者、移転者等の把握
各種支援策の周知・広報。
*仮設住宅、復興住宅情報
*災害情報(原発も含む)
(5)広域情報の住民への提供
諸制度、諸計画、危険情報、原発問題、産業情報等。
(6)域外移転者への情報提供
近隣自治体、県、国、各種機関、住民自治組織、MPOなどとの緊密な情報交換の仕組みを構築する必要がある。

2.被災自治体への強化支援対策
(1)役所機能の復旧(役所施設の回復。窓口サービスの復旧。)
喪失職員の補充(予算支援、他自治体、県、国からの人員派遣、新規雇用)。
業務に関するスキル、ノウハウの伝達。
(2)住基、外国人、戸籍、固定資産(土地・家屋)データのリカバリー、行政資料の回復
(3)住民の確認、確定 −> 「被災者台帳」による安否情報の確定を!
定住、移転、居留、施設入居等さまざまな移動の把握。
(4)被災状況の把握と対策
−> 「被災家屋台帳」などによる状況把握と対策対応!
(5)被災自治体の横の連携
・情報・ノウハウ交換、人員交流、サービスの共同実施など
 合併でない、強力な連携制度の構築
・緊急時における行政活動の支援
 法制度、ルールの適切かつ柔軟な適用、新規立法
 他自治体による代理・代行の実現!

3.各種特例措置
(1)各種公証(住民票、印鑑証明、外国人登録、免許証等)
(2)納税、社会保険料等、各種公共料金など納期限延長または減免措置
(3)その他
官民にわたる各種期限の緩和
各種資格等の緩和

何はさておき、被災者支援が求められる。住基、外国人そして家屋(一棟)データより、「被災者台帳」と「被災家屋台帳」の整備が必要です。

・阪神大震災の経験を生かした「被災者支援システム」
地方自治情報センターがオープンソース化(日経BP 11/03/23)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110323/358631/
財団法人 地方自治情報センター(LASDEC)が東日本大震災の発生を受け、「被災者支援システム」をオープンソース化し公開している。同システムは阪神・淡路大震災で利用されたシステムをベースにしており、LASDECでは「地方公共団体だけでなく、広くICT事業者などに利用してほしい」としている。
平時からの準備が必要です。起きてからでは数倍の負荷がかかりますし、被災者支援活動そのものが遅れるようです。地方自治体の情報部門の方々の大きな役割です。実効性あるICT対策が求められるようです。

○東日本大震災から学ぶクラウド活用
地方自治体業務のうち、4.フロント業務サービスが重要な役割を果たします。
・パートナー戦略サービス(e-Democracy)
7.電子広報・提供
8.電子公開
9.電子公聴・相談
この中では、7.電子広報(提供)と9.電子公聴(相談)のクラウド活用が考えられそうです。

1.クラウド活用
−> パブリッククラウド、プライベートクラウドどちらも可能
 「不特定多数の人々や大規模な業界団体などに提供される」パブリッククラウド!
−> 国内外IDC どちらでも可能
NISTモデルの(1&2)、特に(3)のパブリッククラウド運用が重要!

2.情報系業務システムとの関連
7.電子広報(提供)サービス及び9.電子公聴(相談)(双方向コミュニケーション)サービスは、情報系業務のSNS等(Facebook、Twitter、その他)の利活用が期待されている。パブリッククラウド/SaaS(NISTモデル:(3))の代表的なサービスでもある。

○パブリッククラウドに移行可能な「情報系アプリケーション」
1.電子メール            Gmail、Windws Live Mail
2.オフィスアプリケーション     Google Apps、Windows Live
3.Webホスティング        Amazon Web Services(AWS)
                   (S3・sDB・EC2)
4.動画ホスティング         Ustream、YouTube
5.遠隔会議             V-CUBE
6.CRM              Salesforce CRM
7.開発テスト環境          Google App Engine(GAE)、
                   Force.com、Azure
8.その他(SNS、共有など)    Facebook、My Space、
                   Twitter、Skype、
                   Dropbox、Evernote

東日本大震災にて、初めてインターネットがライフラインと認識されました。その中でもソーシャルメディア(SNS)が災害時の社会インフラとなったのも今回が初めてでした。

○ネットはライフライン!?
1.ネット企業の対応
・グーグル    「Google Person Finder」
・自動車業界   「自動車通行実績情報マップ」
・Ustream TVニュースのストリーミング配信
・radiko  インターネットラヂオ 放送エリア制限の解除
・Skype   インターネット接続の無料化
・ヤフージャパン 東日本大震災「写真保存プロジェクト」

2.社会インフラとなったSNSなど
・Twitter
・Facebook

3.社会貢献活動(CSR)の一環として生まれた「本当に使えるサービス!」
・Skype   即接続!(2000年ハイチ地震時通信手段の断絶という教訓)
・YouTube NHKとの連携で避難所映像の提供!
     (阪神淡路大震災時の被災者の要望)
・アマゾン    「ほしい物リスト」(物資供給サービス!)
・radiko  インターネットラヂオ(放送エリア制限の解除!)

平成23年5月6日 記

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