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自治体IT革命の今日、明日
第131回 国民ID制度と社会保障と税に関わる番号制度、その6『人事給与システムと「番号」活用は』

2011/10/31

(前回より)
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移行準備事項は
○地方自治体の制度活用方式は? その為の準備作業は?
 1.住基システムの異動処理
  −> 「符号」活用方式&「変換テーブル」方式
 2.住民登録外(法人)システム
  −> 「法人番号」活用方式
 3.税務システム
  −> 「インターフェースDB」方式
 4.国保・介護システムなど
  −> 「インターフェースDB」方式
 5.人事給与システム
  −> 『番号』活用方式 (注1)
 人事DBの更新&行政手続きなどの処理(PDF 59.6KB)PDF
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(以上)

今回は、人事給与システム(その中で、年末調整処理)と「番号」活用についてお話をいたします。民(個人)−民(法人)−官で利用される代表的なケースです。

○人事・給与システム/年末調整と「番号」活用
・年末調整とは
所得税は、1年分の所得について確定申告をすることによって納税するのが原則である。しかし確定申告では1年間の所得税をまとめて支払うこととなり納税者にとって高額になること、また国(税務署)で個々の納税者(従業員・公務員など)に対応しきれないことなどから源泉徴収義務者(給料・賃金の支払者)が納税者(従業員・公務員など)の給料及びそれに対する所得税等を纏めて調整する制度が出来た。
一般のサラリーマンや公務員は年末調整をすることによってその年の所得税の税額が確定することから、確定申告をする必要はない。
しかし、企業にとって年末調整事務には大きな負荷が伴っている。国民ID(「番号」)制度によりどのように変わるのだろうか?

1.事務処理
年末調整時、企業(役所なども含む)の社員は、申告に必要な証明書類を収集保管し、法定調書に添付して雇用先の企業に提出する。
企業では、年末調整後「源泉徴収票」を国税に、「給与支払報告書」を従業員が居住する市区町村へそれぞれ送付する。 ・・・ 4800万人が対象

2.新たな事務処理(その1)
当面、平成15年度以降の事務処理を想定しています。

<従業員> ・・・  民(個人)
雇用者である企業の人事部門へ下記書類を提出する。
1.扶養控除等(異動)申告書
 −> 扶養者に「番号」付記を義務付け!
2.配偶者特別控除申告書
 −> 配偶者に「番号」付記を義務付け!
3.保険料控除申告書(支払済み保険料領収書を添付)
4.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

<企業など> ・・・  民(法人)
・・・ 「番号」付記が義務付け!
人事DBには、「番号」が項目追加され、異動処理されていることが必須です。(注1)
・例月給与処理にて下記項目を累計
 1.給与所得
 2.社会保険料(健康保険料、厚生年金など、雇用保険料)
 3.所得税の源泉徴収税額
・年末調整処理
 1.源泉徴収票(給与支払報告書)を作成 ・・・ 「番号」付記(参照1)
 2.インターネット経由で国税庁へ電子的に一括送信

<国税庁> ・・・  官
1.KSK(国税総合管理)システムは、「番号」にて納税者を名寄せ処理
2.地方税電子化協議会へ電子的に一括送信

<(社)地方税電子化協議会>
1.納税者を市区町村毎に仕分け処理
2.市区町村へ電子的に一括送信

<市区町村>
1.個人住民税(特別徴収)課税処理
2.企業などへ納税通知書・納付書などを電子的に一括送付

<企業>
1.給与システム(6月を一期に翌年5月分までの特別徴収額更新)
2.例月給与システムにて特別徴収処理
3.市区町村毎に例月一括支払

(以下略)

3.新たな事務処理(その2)
新たな税務申告手続きは? 年末調整事務は無くすことが可能!?
平成18年度以降に「番号法」が改正され、民間企業との番号連携が可能となりそうである。以下のケースはそれ以降の話です。

・新たな事務処理
所得税確定申告に必要な所得(収入)および控除に関する情報(法定調書情報)を、確定申告期間前に各情報発生源(給与支払者、健康保険組合、金融機関等)から国税庁に報告する。

<企業など> ・・・ 「番号」付記が義務付け!
・所得(収入)情報:
 1.源泉徴収票(給報)  <−(給与支払者)
 2.報酬など支払い調書  <−(支払者)
 3.その他収入      <−(保険会社、金融機関など)
・控除情報:
 1.社会保険料      <−(健康保険組合・年金基金、各共済健保・年金など)
 2.生保・損保など保険料 <−(保険会社、各共済など)
 3.住宅ローン残高    <−(金融機関など)
 4.医療費など      <−(医療機関など)
 5.その他
・インターネット経由で国税庁へ電子的に一括送信

<日本年金機構> ・・・ 情報連携基盤により国税庁と連携
・下記情報を国税庁へ送付。
 1.年金保険料
 2.源泉徴収票(公的年金支払報告書) ・・・ 1200万人が対象

<国税庁>
報告を受けた法定調書情報をバックオフィスシステムで、
1.納税義務者単位で管理(「番号」で名寄せ)
2.確定申告のために「マイポータルシステム」で設けられる個人化データボックスへ納税義務者毎にエキスポートする
3.法定調書情報は、「番号」付きで収集された不動産移転登記やゴルフ会員権名義変更等の法定外資料と合わせて確定申告後の税務調査資料として利活用

<納税義務者>
1.マイ・ポータルから自己の法定調書情報を「e-Tax」にインポート
2.マイポータルにない配偶者・扶養控除、事業所得等を追記して確定申告を行う

<国税庁>
1.「e-Tax」による申告内容を法定調書情報と照合・審査する
(配偶者・被扶養者の「番号」を付記することにより被扶養者の所得額確認、また控除対象被扶養者要件の確認も可能である。)
2.審査済みの確定申告情報は「番号」を付記して住民税課税のために「eLTAX」に一括送信する。

<(社)地方税電子化協議会>
 一括受信された確定申告情報はeLTAXによって、
1.納税義務者の1月1日居住地別に仕分けされ、該当市区町村に配分される。
(給与支払報告および公的年金支払報告についても支払者から個別に市区町村へ報告されるのではなく、eLTAXに一括送信し、確定申告と同様にeLTAXから市区町村に配分される。)

<市区町村>
1.住民税課税要件である1月1日居住者であることを「番号」によって住民基本台帳と照合・確認し
2.住民税課税処理を行う。

(以下略)

電子政府・電子自治体の価値あるサービスは、まず企業・法人向けの“義務付けられた行政手続き”のサービス提供からスタートすべきでしょう。
「番号」制度の活用は、それら行政手続きの内『税』を中心としたサービス提供が最初のスタートとなるはずです。官民とも、人事給与システムの一部改修が必要となります。

平成23年10月27日 記

<参考 総務省、番号制度に係る地方税務システム検討会 資料2>

番号制度に係る地方税務システム検討会 資料2PDF

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