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自治体IT革命の今日、明日
第132回 国民ID制度と社会保障と税に関わる番号制度、その7『企業法人向け、従業員のライフサイクルと行政手続き』

2011/11/28

(前回より)
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電子政府・電子自治体の価値あるサービスは、まず企業・法人向けの“義務付けられた行政手続き”のサービス提供からスタートすべきでしょう。
「番号」制度の活用は、それら行政手続きの内『税』を中心としたサービス提供が最初のスタートとなるはずです。官民とも、人事給与システムの一部改修が必要となります。
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(以上)

◎「番号制度、その7『企業法人向け、従業員のライフサイクルと行政手続き』」

○従業員のライフサイクルと行政手続き
1.従業員のライフサイクル
入社、結婚、出産・育児、転勤、家族の異動、病気・怪我、休職、死亡、退職などのイベントがありそれぞれのタイミングで行政手続きが発生する。
2.行政手続きは
<社会保険事務所(日本年金機構)>
「厚生年金保険の手続」
 ・被保険者資格取得届
 ・国民年金被保険者(3号該当)
 ・被保険者資格喪失届
 ・被保険者報酬月額算定基礎届
 ・被保険者住所変更届
<健康保険組合など>
「健康保険の手続」
 ・被保険者資格取得届
 ・被扶養者異動届
 ・被保険者資格喪失届
 ・報酬月額算定基礎届
 ・出産手当金請求書(本人) など
「介護保険の手続」
 ・40歳〜2号被保険者、65歳〜1号被保険者 届
<公共職業安定所>
「雇用保険の手続」
 ・被保険者資格取得届
 ・被保険者区分変更届
 ・高齢者雇用継続給付申請
 ・被保険者資格喪失届
 ・被保険者離職証明
 ・60歳到達時等賃金証明
 ・育児休業給付の申請 など
<税務署(国税庁)>
「給与所得源泉徴収の手続」
 ・給与所得
 ・退職所得等の所得税徴収高計算書
 ・給与支払い事務所開設等届
 ・源泉所得税の納期の特例の承認申請
 ・納期の特例適用者に係る納期限の特例届出
 ・年末調整による不足額徴収繰延の承認申請
 ・源泉所得税の年末調整過納額の還付請求
 ・退職所得源泉徴収票
 ・退職手当金等受給者別支払い調書
 ・報酬・料金等の所得税徴収高計算書 など
<地方自治体>
「住民税特別徴収の手続」
 ・給与支払い報告書
 ・退職所得特別徴収票
 ・給与所得者異動届
 ・特別徴収義務者の所在地等変更届
 ・普通徴収から特別徴収への切替届
 ・特別徴収税額納期特例申請 など
「介護保険の手続」
「後期高齢者保険の手続」(都道府県広域連合)

○「入社」に伴う行政手続きは
企業にとって従業員の入社に伴う手続きには大きな負荷が伴っている。「番号」制度によりどのように変わるのだろうか?

1.現在の事務処理
従業員の資格取得手続を健保組合・社会保険事務所・公共職業安定所にそれぞれ行う。またそれに係る従業員の扶養関係及び扶養者の所得等の確認や証明する書類の収集等の必要が生じる。

<企業など事業主>
1.「健康保険」の資格取得等に係る手続き
  −> 健康保健組合
2.「介護保険」の資格取得に係る手続
  −> 市区町村(広域連合)
3.「後期高齢者保険」の資格取得に係る手続き
  −> 都道府県広域連合
4.「厚生年金保険」の資格取得等に係る手続き
 雇用者に配偶者が存在する場合は、「第3号被保険者」の資格取得手続
  −> 社会保険事務所(日本年金機構)
5.「雇用保険」資格取得手続
  −> 公共職業安定所
6.給与所得源泉徴収に係る申請
  −> 税務署(国税庁)
7.住民税特別徴収に係る申請
  −> (従業員の居住する)市区町村
などを書類にて行っている。

2.「番号」制度導入による従業員の入社に伴う新たな手続きは?
・『企業(法人)ポータル』:
 共通企業(法人)コードの導入を前提として以下の機能を持つ。
 1.行政手続アクセスポイントの一元化
 2.プッシュ型サービス
 3.行政よりの通信物の電子化(ペーパーレス化)
企業(法人)ポータルから、「行政手続き(事業者)ポータル」を選択する。その後「入社」イベントを選択し、下記(注1)の処理をワンストップで実施する。
・『事業者ポータル』:一元化された行政アクセスポイント
事業者ポータルは事業者が行う行政手続を事業者の目的に応じてワンストップ化し、ナビゲーションする機能を持つ。
事業者の人事労務に関する手続のうち、被用者の入社などライフサイクルイベントに係る手続をナビゲーションにしたがってワンストップで行う。

以下に入社に伴う処理を示す。

<従業員> −> 企業など事業主に提出・・・(「番号」付記を義務付け!)
1.健康保健被扶養者異動届け
2.給与所得扶養控除申告

<企業など事業主>
1.人事給与システムにて、人事DBに「番号」を含め新従業員が追加される。

(注1)「入社」イベント手続き処理
2.「事業者ポータルサイト」より、  1.被用者に関する行政手続きが被用者のイベント(入社、転勤、退職等)単位で用意される。
 2.イベントに必要な手続のデータは雇用者の「人事システム」からインポートするためのAPIが用意される。
 3.複数の手続に共通する項目の殆どはインポート可能であり、各手続の個別項目の一部を補完的に入力する。
 4.各所管機関へ情報が転送され、ワンクリックで手続が完了する。

3.処理内容
・「厚生年金(国民年金2号)被保険者資格」 −> 日本年金機構 へ転送
(基礎年金番号と標準報酬月額が通知 <− 日本年金機構 より)
(配偶者があり収入等の要件を満たす場合は)
 「国民年金3号被保険者の資格」取得/種別変更 −> 日本年金機構

・「健康保健被保険者資格」 ー> 健康保健組合または協会けんぽ へ転送
被用者が国民健康保険被保険者であった場合は、被用者の「番号」によって居住地市区町村に国民健康保険被保険者の資格喪失を通知し、被用者による市区町村への手続を省略する。

・「介護保険被保険者資格」 −> 市区町村(広域連合) へ転送
(40歳以上の再就職従業員など)

・「雇用保険被保険者資格」 −> 公共職業安定所 へ転送
被用者が失業給付を受給していた場合、「番号」による資格取得手続により失業認定報告書による再就職の報告および雇用者の採用証明は不要となる。

・「給与所得源泉徴収」届出 −> 税務署 へ転送

・「住民税特別徴収」届出 −> 市区町村 へ転送
被用者の住民税未納分を特別徴収する場合、転勤による特別徴収異動届(特別徴収未納分)または住民税特別徴収切替依頼(普通徴収未納分)に「番号」を付記して1月1日居住地市区町村へ送信する。
市区町村は「番号」によって納税義務者を特定し、雇用者に未納分特別徴収の納付を通知する。

結果として、下記のような手続きが実現するでしょう。

3.「番号」制度により変わる手続き
1.「事業者ポータルサイト」により被用者に関る行政手続を確実かつ効率的に雇用者が行うことを支援する。
2.転職(再就職)の場合、関係機関間で「番号」によって被用者を共通に識別し相互に情報連携することによって、年金未加入期間や健康保険・雇用保険の未加入状態を防止する。
また、前職場での未納分住民税特別徴収も「番号」によって確実に引継ぐことができる。
3.健康保険や所得税・住民税の被扶養者を「番号」で識別し「生計関係」として統合的に登録し、被扶養者の要件確認に供し、被用者による証憑資料の添付を廃止する。 ・・・

平成23年11月24日 記

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