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自治体IT革命の今日、明日
第136回 国民ID制度と社会保障と税に関わる番号制度、その11『マイナンバー法案、当面の利用範囲は?』

2012/03/19

○概要
国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図り、もって国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的として、行政機関等に係る申請、届出その他の手続に関し、適切な管理の下に個人又は法人等を識別するための番号を利用し、効率的かつ安全に情報の授受を行うことができるようにするために必要な事項を定める。
http://www.cas.go.jp/jp/houan/120214number/gaiyou.pdfPDF

(前回より)
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◎「マイナンバー法」
○導入スケジュール
・第1段階
 2014年6月以降に番号割り当て通知開始予定。
・第2段階
 2015年1月のマイナンバーの利用開始予定。
 申請者に対して番号カード(ICカード)の交付も始めるため、新しい公的個人認証システムが稼働する予定。
・第3段階(その1)
 2016年1月の情報連携基盤と「マイポータル」運用開始予定。
・第3段階(その2)
 2016年7月の地方自治体がLGWAN経由で情報連携基盤接続開始予定。
 住民に直結した行政サービスを担う地方自治体がLGWAN経由で情報連携基盤につながるのは、2016年7月を予定。
○マイナンバー法案
第一章 総則(第一条―第三条)
 (目的、定義、基本理念)
第二章 個人番号(第四条―第十三条)
 (決定、通知、変更、利用範囲、告知・提供の制限、等)
第三章 特定個人情報の保護等
 (特定個人情報保護評価、情報連携、行政機関個人情報保護法等の特例、等
 第一節 特定個人情報の保護(第十四条―第十八条)
 第二節 情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供(第十九条―第二十三条)
 第三節 行政機関個人情報保護法等の特例等(第二十四条―第三十条)
第四章 個人番号情報保護委員会
 (組織、指導・助言、勧告・命令、規則の制定、等)
 第一節 組織(第三十一条―第四十四条)
 第二節 業務(第四十五条―第五十条)
 第三節 雑則(第五十一条)
第五章 法人番号(第五十二条―第五十五条)
 (指定、通知、等)
第六章 個人番号カード(第五十六条)
 (個人番号カード)
第七章 雑則(第五十七条―第六十一条)
 (事務の区分、等)
第八章 罰則(第六十二条―第七十二条)
附則
○関連整備など法案について
・住民基本台帳法の一部改正について
・公的個人認証法の一部改正について
・地方公共団体情報システム機構法案
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(以上)

○マイナンバーの利用範囲
 −> 別表1:93業務が「番号」活用、別表2:116業務が「符号」連携
http://www.cas.go.jp/jp/houan/120214number/gaiyou.pdfPDF

1.「番号」活用は、
 第6条1号にて、“別表1”の93業務を規定。
また同条2号にて、“地方自治体の条例”に定める業務を可能とする。

第二章 個人番号、(利用範囲)
第六条 “別表第一”の上欄に掲げる者は、同表の下欄に掲げる事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。
2 地方公共団体の長その他の執行機関は、福祉、保健若しくは医療その他の社会保障、地方税又は防災に関する事務その他これらに類する事務であって“条例で定めるもの”の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用することができる。
3 (略)

2.「符号」連携は、
 17条7号及び19条にて、“別表2”の116業務を規定。

第三章 特定個人情報の保護等、第一節 特定個人情報の保護、(特定個人情報の提供の制限)
第十七条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
(一〜六 略)
七 “別表第二”の第一欄に掲げる者(「情報照会者」)が、政令で定めるところにより、同表の第三欄に掲げる者(「情報提供者」)に対し、同表の第二欄に掲げる事務を処理するために必要な同表の第四欄に掲げる特定個人情報(情報提供者の保有する特定個人情報ファイルに記録されたものに限る。)の提供を求めた場合において、当該情報提供者が“情報提供ネットワークシステム”を使用して当該特定個人情報を提供するとき。
(八〜一三 略)

第二節 情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供、(情報提供ネットワークシステム)
第十九条 総務大臣は、個人番号情報保護委員会と協議して、情報提供ネットワークシステムを設置し、及び管理するものとする。
2 総務大臣は、情報照会者から「第十七条第七号」の規定により特定個人情報の提供の求めがあったときは、次に掲げる場合を除き、政令で定めるところにより、情報提供ネットワークシステムを使用して、情報提供者に対して特定個人情報の提供の求めがあった旨を通知しなければならない。
 次に掲げる場合とは、
一 別表第二に掲げるものに該当しないとき。
二 情報照会者の保有する特定個人情報ファイル又は情報提供者の保有する特定個人情報ファイルについて、第十五条(第三項及び第五項を除く。)の規定に違反する事実があったと認めるとき。
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(特定個人情報保護評価)
第十五条 行政機関の長等は、特定個人情報ファイルを保有しようとするときは、当該特定個人情報ファイルを保有する前に、個人番号情報保護委員会規則で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を評価した結果を記載した書面(「評価書」)を公示し、広く国民の意見を求めるものとする。
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○市町村における「番号」活用の利用範囲
 第6条1号、“別表1”にて93事務を規定する。ここでは民間活用などは定められず。住基ネットの二の舞にならないことを願う。
 また、国交省管轄の“自動車登録・変更手続き”や法務省管轄の“固定資産(不動産)登録・変更手続き”なども定められていない。地方自治体での自動車税や固定資産税の事務量・事務コストを考慮すれば早急に追加すべき事務と思われる。

1.市町村関連の19事務
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No  |別表1|市町村など   |対象事務
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01   08   市町村長
 児童福祉法による障害児通所給付費、特例障害児通所給付費、高額障害児通所給付費、肢体不自由児通所医療費、障害児相談支援給付費若しくは特例障害児相談支援給付費の支給、障害福祉サービスの提供、保育所における保育の実施又は費用の徴収に関する事務
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02   12   市町村長
 身体障害者福祉法による障害福祉サービス、障害者支援施設等への入所等の措置又は費用の徴収に関する事務
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03   34   市町村長
 知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)による障害福祉サービス、障害者支援施設等への入所等の措置又は費用の徴収に関する事務
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04   41   市町村長
 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)による福祉の措置又は費用の徴収に関する事務
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05   49   市町村長
 母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)による保健指導、新生児の訪問指導、健康診査、妊娠の届出、母子健康手帳の交付、妊産婦の訪問指導、低体重児の届出、未熟児の訪問指導、養育医療の給付若しくは養育医療に要する費用の支給又は費用の徴収に関する事務
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06   56   市町村長他
 子どものための手当の支給に関する法律による子どものための手当の支給に関する事務
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07   68   市町村長
 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)による保険給付の支給又は保険料の徴収に関する事務
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08   70   都道府県知事又は保健所を設置する市長
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)による入院の勧告若しくは措置、費用の負担又は療養費の支給に関する事務
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09   76   市町村長
 健康増進法(平成十四年法律第百三号)による健康増進事業の実施に関する事務
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10   10   都道府県知事又は市町村長
 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)による予防接種の実施、給付の支給又は実費の徴収に関する事務
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11   16   都道府県知事又は市町村長
 地方税法その他の地方税に関する法律及びこれらの法律に基づく条例による地方税の賦課徴収又は地方税に関する調査(犯則事件の調査を含む。)に関する事務
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12   19   公営住宅法に規定する事業主体である都道府県知事又は市町村長
 公営住宅法による公営住宅の管理に関する事務
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13   18   社会福祉協議会
 社会福祉法による生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業の実施に関する事務
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14   59   市町村長又は後期高齢者医療広域連合
 高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付の支給又は保険料の徴収に関する事務
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15   27   都道府県教育委員会又は市町村教育委員会
 学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)による医療に要する費用についての援助に関する事務
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16   30   市町村長又は国民健康保険組合
 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)による保険給付の支給又は保険料の徴収に関する事務
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17   35   住宅地区改良法に規定する施行者である都道府県知事又は市町村長
 住宅地区改良法による改良住宅の管理若しくは家賃若しくは敷金の決定若しくは変更又は収入超過者に対する措置に関する事務
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18   44   都道府県知事又は市町村長
 母子及び寡婦福祉法による配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの又は寡婦についての便宜の供与に関する事務
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19   84   都道府県知事又は市町村長
 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)による自立支援給付の支給又は地域生活支援事業の実施に関する事務
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*市町村計  19事務(内、都道府県兼 09事務含む)

都道府県関連の27事務(内、市町村兼 09事務含む)を含め、地方自治体計では37事務が対象となります。
 市町村計   19事務(内、都道府県兼 09事務含む)
 都道府県計  27事務(内、市町村兼  09事務含む)
 地方自治体  37事務

上記37事務に加えて、社会保障、地方税若しくは防災に関する事務その他の地方公共団体が条例で定める事務に「番号」活用が可能となる。「番号」活用が推進されそうです。

次回はマイナンバー法“別表2”と「符号」連携事務について整理したい。

平成24年3月15日 記

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