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自治体IT革命の今日、明日
第142回 国民ID制度と社会保障・税番号制度、その17『地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書、その2』

2012/09/18

「番号制度導入に係る地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書」からの解説の続きです。

○番号制度導入に係る地方団体の税務システムのあり方に関する調査研究結果報告書(平成24年3月30日)
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<目次>
1章 本報告の趣旨 ・・・ 略
2章 番号制度の概要 ・・・ 前回
3章 地方団体の税務システムの現況 ・・・ 略

4章 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響 ・・・ 今回
(1) 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響の概要
(2) 対応の方向性
(3) 想定スケジュールと移行に係る留意事項
(4) 本ガイドライン案における記述の前提となる税務システムモデル

5章 システム改修要件 (市町村)
6章 システム改修要件 (都道府県) ・・・ 略
7章 地方税務分野における番号制度の導入に伴う費用に関する留意点
8章 地方税務分野における番号制度の導入に伴う便益
9章 今後の検討課題
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(以上)

(前回より)
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○2章 番号制度の概要
(1)マイナンバーを利用する手続きの範囲
・番号を利用する機関、利用する事務を別表形式でマイナンバー法案に規定
(第6条第1項、別表第一)
・地方団体が税・社会保障等の分野で条例で定める場合
(第6条第2項)
・番号を利用する手続きにおいて必要となる書面の提出等、他人のマイナンバーを利用した事務を行なう場合
(第6条第3項)
(2)情報提供ネットワークシステムを介した情報の照会・提供
・(第17条第7号、別表第二):
・(別表第二第27号〜29号):
・(第17条第8号):
(3)今後のスケジュール
 今後のスケジュールとしては、以下が予定されている。
・平成26年10月、マイナンバーを通知
・平成27年1月以降、マイナンバー、法人番号を利用開始
・平成28年1月、情報提供ネットワークシステムの運用開始(国の機関間)
・平成28年7月、同上(地方団体)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(以上)

「番号制度導入に係る地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書」からの解説をしたいと思います。今回は、4章 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響 について。

○4章 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響

マイナンバー法案及び関連法律の整備等法案とそれによる社会保障・税番号制度の導入により、現行の地方税務の流れ、システムの運用等が変わることとなり、地方自治体においては、社会保障・税番号制度導入に向けた対応が求められることになる。
 地方税法、条例による地方税の賦課徴収、調査に関する事務について、マイナンバーを利用することが可能となるとともに、他の情報保有機関との間で、地方税関係情報その他必要な情報を直接やり取りすることが可能となる。
(他の情報保有機関からマイナンバー法別表第二に定める地方税情報の照会があった場合には、その提供が義務付けられる。)

(1) 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響の概要

1.マイナンバー、法人番号を用いた地方税データの管理
(ア) マイナンバー、法人番号の取得
法第6条及び別表第一に基づき地方税分野でマイナンバーを用いることができることとなること、法第5章の規定により法人番号が導入されることを受け、申告書、報告書等の様式を改正し、マイナンバー、法人番号を記載した上で、提出してもらうことが可能となる。地方自治体においては、提供を受けたマイナンバー、法人番号により本人の税情報を管理することができることとなり、地方自治体において、マイナンバー、法人番号と地方自治体が保有する税情報とを紐づけて管理する必要がある。

宛名管理システムでマイナンバーと宛名番号とを紐付けることを基本的なシステム改修の方針とすると、番号制度対応が効率的になる。

(注)
・住登外宛名システムの改修
宛名DBは、(a)住登住民(外国人含む)と(b)住登外宛名DBより成り立つ。(b)住登外宛名DBは、(c)住登外個人と(d)法人DBより成り立つ。
宛名DB = (a)住登住民(外国人含む) + (b)住登外宛名DB
(b)住登外宛名DB = (c)住登外個人 + (d)法人DB
*住登外宛名DB
既存の住登外宛名DBから外国人を除き、住登外個人には「番号」を法人DBには「法人番号」を項目付加する。その上で、異動処理や検索機能を加味しPGを改修する。
(以上)

a 制度導入時
初期突合の方法や初期突合するべき対象となる税情報の範囲は、宛名DBが中心となる。
b 制度導入後
マイナンバーについては、社会保障・税番号大綱において、「『番号』の告知を受ける際、本人確認を行なうとともに、『番号』の真正性を確保する措置を講じるよう努めなければならない。」とされており、法第12条において「個人番号カードの提示を受けること」などの本人確認の措置をとることが求められていることから、本人から個人番号カードの提示を受けて、本人確認及び記載されたマイナンバーの真正性を確保することが原則的な取扱いとなる。

(イ) 業務効率化のための番号の活用
マイナンバー、法人番号は、納税義務者である個人・企業等、国税当局においても共通して使用されるものであり、地方税の賦課徴収事務において番号を活用することにより、各種課税資料の名寄せの効率化などの効果が期待できる。
そのためには、各地方自治体において、マイナンバー、法人番号による検索機能の追加、業務画面表示・入出力帳票の変更、名寄せキーの追加・見直しなどによりマイナンバー、法人番号を利用して業務を行えるようにする必要がある。

(ウ) 個人情報保護、情報セキュリティの確保
マイナンバーと紐付けられた特定個人情報については、マイナンバー法において従来の行政機関個人情報保護法による扱いよりも手厚い措置を求められている。(法第16条、第22条、第26条)
また、法第15条において特定個人情報ファイルを保有しようとするときは、その前に特定個人情報保護評価をすることとされている。

2.情報提供ネットワークシステムによる照会・情報提供への対応
(ア) 情報提供ネットワークシステムへの接続
法第17条第7号及び別表第二により、情報提供ネットワークシステムを通じた情報の照会・情報提供を行なうことが可能となったことを踏まえ、情報提供ネットワークシステムによる照会・情報提供に対応するため、情報提供用のデータベースやアプリケーションを設けるなど、情報提供ネットワークシステムと接続方法について検討する必要がある。 ・・・ (参照1 APPLIC、中間インターフェース機能)

提供する情報としては、現時点で個人住民税に関する情報が想定されており、データベースの整備が必要となる。

(イ) 照会・情報提供に用いる符号と個人データとの紐付け
情報提供ネットワークシステムによる情報の照会・情報提供を行なう際に必要となる『符号』は情報提供ネットワークシステムから提供されることが予定されており、宛名番号と紐付けて管理する必要がある。

(2) 対応の方向性

1.マイナンバー、法人番号を用いた地方税データの管理
(ア) マイナンバー、法人番号の取得
番号制度で導入されるマイナンバー、法人番号と既存の宛名番号との関係については、既存の宛名番号に追加してマイナンバー、法人番号を保有・管理できるようにすることが適当と考えられる。

a 制度導入時
(a) マイナンバーの初期突合の方法
法の施行に伴う整備法による住民基本台帳の一部改正法により、住民票にマイナンバーが記載され、マイナンバーが住基ネットの本人確認情報として追加されることになる。
したがって、制度導入時にすでに保有している税情報へのマイナンバーの紐付けについては、宛名管理システムが保有している基本4情報と住民基本台帳(又は住基ネット)の基本4情報とを突合して、住民基本台帳(又は住基ネット)の基本4情報と紐付いているマイナンバーを紐付けることとなる。
・市町村の住民に係る税情報とマイナンバーの紐付けについては、宛名管理システムが保有する基本4情報と住民基本台帳の基本4情報はシステム間連携により連動しているケースが多いと想定されるため、マイナンバーの紐付けは正確かつ迅速に行なうことができる。
・住登外者や都道府県の住民については、宛名管理システムが保有する基本4情報と住基ネットの基本4情報とを突合することになる。なお、住基ネットへの照会においては、一括提供することが想定されている。
(b) マイナンバーの初期突合の範囲
市町村の住民については、
・既存住基システムから正確かつ迅速に初期突合が可能。
・個人住民税の情報を情報提供ネットワークシステムを通じて提供するために税情報と符号との紐付けが必要となることにかんがみれば、初期突合を行うことが求められる。
市町村の住登外者住民については、
・宛名管理システムが保有する基本4情報の整備状況によっては突合しない場合があり、その紐付けに負荷が見込まれること
(c) 法人番号の初期突合
法人番号の初期突合については、法人番号の提供方法を踏まえる必要がある。

b 制度導入後
申告者の個人番号カードを確認できる場合は、券面事項とICチップ内の券面事項確認領域内の情報を確認し、申請者のマイナンバー及び基本4情報を確認することにより真正性の確認を行なう。
申告者の個人番号カードを確認できない場合は、宛名管理システムにマイナンバー及び基本4情報を確認し、真正性を確認する。確認できない場合には、既存住基システム、又は住基ネットに照会をして真正性を確認する。

固定資産税(土地、家屋)については、マイナンバー、法人番号を取得するための仕組みを構築する必要がある。
登記済通知書の基本情報をもとに、宛名管理システムを検索し、マイナンバーと紐付けることとなる。
また、住登外者等については、基本4情報を基に住基ネットに照会し、マイナンバーを取得することとなる。
本人確認については、個人番号カードの提示によることを基本としつつ、具体的にはマイナンバー法の施行令で定められる。

(イ) 地方税事務における番号活用の場面
地方税法施行規則の改正により、申告書等に書類の提出者その他必要な者(控除対象配偶者、扶養親族等を想定)のマイナンバー等の記載欄を設ける予定であり、それを踏まえた入力帳票とする。
個人情報保護の観点から、プレ申告書、納税通知書、各種証明書等へは原則マイナンバーは記載しないことが考えられる。また、納付書については、現行納付書の番号により管理がなされていることからマイナンバーの記載は不要と考えられる。

(ウ) 個人情報保護、情報セキュリティの確保
特定個人情報保護評価の実施、地方自治体内での情報連携のあり方など、個人情報保護、セキュリティの確保のために必要な対応については、今後の政府における検討を踏まえる必要がある。

2.情報提供ネットワークシステムによる照会・提供への対応
提供する情報については、個人住民税の税額、所得の額、控除額、扶養関係情報等が想定されており、データ項目としては、「地域情報プラットフォーム標準仕様書」を参考としつつ、ユースケースの具体化を踏まえて引き続き検討を行う必要がある。
照会用データの情報更新頻度については、リアルタイムでの更新は基幹システム側の負荷が高くなることから、一定の間隔で定期的にデータの更新がなされる方式が適当と考えられる。

(3) 想定スケジュールと移行に係る留意事項

1.前提 (番号制度(全体)のスケジュール等)
・平成26年10月、マイナンバーを通知
・平成27年1月以降、社会保障・税分野のうち、可能な範囲からマイナンバー、法人番号を利用開始
・平成28年1月、情報提供ネットワークシステムの運用開始(国の機関間)
・平成28年7月、同上(地方自治体)

改正住民基本台帳法については次のとおりとされている。
・平成27年1月以降、「本人確認情報」にマイナンバーが含まれる
(第三号住民基本台帳法施行)

(地方税務分野でのスケジュール)
・平成27年1月 税務分野でマイナンバー、法人番号の利用開始
利用開始以降に提出される各種届出等にマイナンバー、法人番号が記載される。
個人住民税・個人事業税の申告書、給与支払報告書等については、平成27年分所得に係るものから番号が記載される。
法人二税の申告書は、これ以降に開始する事業年度に係るものからマイナンバー、法人番号が記載される。
マイナンバー、法人番号の利用開始に向け、今後、様式に記載事項等を改めるための地方税法施行規則等の改正が予定されており、本改正後には各地方自治体において対応した条例の改正が必要となる。
・平成28年7月 情報提供ネットワークシステムを活用した情報の照会・提供開始

(個人情報保護)
・特定個人情報ファイルの保有・変更にあたっては、特定個人情報保護評価を実施することとされており、その実施時期については、システム開発前に実施することとされている。
・地方自治体の個人情報保護条例についても改正が必要となる。

2.システム改修
(マイナンバー、法人番号の保有、管理、利用に係るシステム改修)
平成27年1月の番号利用開始以降、地方自治体は住基ネットを利用して初期突合を行なうことができるようになる。
そこで、平成27年1月の番号利用開始までに、マイナンバー、法人番号の保有、管理、利用のための改修(データベースへの項目追加、入出力帳票、画面、検索機能等の見直し等)を行なう必要がある。

(情報提供ネットワークシステムに係るシステム対応等)
地方自治体では情報をやりとりするための対応として、照会用データベースを保有するサーバを設置する方法が考えられ、また、照会用データの作成等が必要になることが見込まれる。平成28年7月までにこのシステム対応を行なう必要がある。
情報提供ネットワークシステムの総合運用テストが平成26年度中に開始予定とされていることから、より早期の対応が必要となる可能性もあることに留意が必要である。 ・・・ (参照 APPLIC、中間インターフェース機能)

(4) 本ガイドライン案における記述の前提となる税務システムモデル

(市町村における税務システムモデル)

(注)
 宛名DB = (a)住登住民(外国人含む) + (b)住登外宛名DB
 (b)住登外宛名DB = (c)住登外個人 + (d)法人DB

課税管理システム又は税目別個別システムの納税義務者等の宛名情報が宛名管理システムで共通的に管理されており、両システムの情報が宛名番号により紐付けられているものとする。
また、課税管理システム又は税目別個別システムの調定情報は、収納管理システムに連絡され、同システムで共通的に管理されているものとする。

(参照) 連携インターフェース機能と中間インターフェース機能
APPLIC、自治体クラウド推進事業(団体間の業務データ連携に係る検討・実証)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/index.html

(参照) 「平成23年度 自治体クラウド推進事業(団体間の業務データ連携に係る検討・実証) 成果報告書概要」の22ページ、24ページ
http://www.soumu.go.jp/main_content/000159666.pdfPDF

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