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自治体IT革命の今日、明日
第143回 国民ID制度と社会保障・税番号制度、その18『地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書、その3』

2012/10/15

「番号制度導入に係る地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書」からの解説の続きです。

○番号制度導入に係る地方団体の税務システムのあり方に関する調査研究結果報告書(平成24年3月30日)
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<目次>
1章 本報告の趣旨 ・・・ 略
2章 番号制度の概要 ・・・ 前々回
3章 地方団体の税務システムの現況 ・・・ 略
4章 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響 ・・・ 前回

5章 システム改修要件 (市町村) ・・・ 今回
(1) 宛名管理システム
(2) 個人住民税システム
(3) 法人市町村民税システム (4) 固定資産税システム
(5) 軽自動車税システム
(6) 収滞納管理システム

6章 システム改修要件 (都道府県) ・・・ 略
7章 地方税務分野における番号制度の導入に伴う費用に関する留意点
8章 地方税務分野における番号制度の導入に伴う便益
9章 今後の検討課題
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(以上)

(前回より)
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○2章 番号制度の概要
(1)マイナンバーを利用する手続きの範囲
・番号を利用する機関、利用する事務を別表形式でマイナンバー法案に規定(第6条第1項、別表第一)
・地方団体が税・社会保障等の分野で条例で定める場合(第6条第2項)
・番号を利用する手続きにおいて必要となる書面の提出等、他人のマイナンバーを利用した事務を行なう場合(第6条第3項)
(2)情報提供ネットワークシステムを介した情報の照会・提供・(第17条第7号、別表第二):
・(別表第二第27号〜29号):
・(第17条第8号):
(3)今後のスケジュール
 今後のスケジュールとしては、以下が予定されている。
・平成26年10月、マイナンバーを通知
・平成27年1月以降、マイナンバー、法人番号を利用開始
・平成28年1月、情報提供ネットワークシステムの運用開始(国の機関間)
・平成28年7月、同上(地方団体)

○4章 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響
(1) 番号制度導入による地方税に係る業務・システムへの影響の概要
(2) 対応の方向性
1.マイナンバー、法人番号を用いた地方税データの管理
(ア) マイナンバー、法人番号の取得
 番号制度で導入されるマイナンバー、法人番号と既存の宛名番号との関係については、既存の宛名番号に追加してマイナンバー、法人番号を保有・管理できるようにすることが適当と考えられる。
2.情報提供ネットワークシステムによる照会・提供への対応
 提供する情報については、個人住民税の税額、所得の額、控除額、扶養関係情報等が想定されており、データ項目としては、「地域情報プラットフォーム標準仕様書」を参考とする。
(3) 想定スケジュールと移行に係る留意事項
(4) 本ガイドライン案における記述の前提となる税務システムモデル
(市町村における税務システムモデル)

 課税管理システム又は税目別個別システムの納税義務者等の宛名情報が宛名管理システムで共通的に管理されており、両システムの情報が宛名番号により紐付けられているものとする。また、課税管理システム又は税目別個別システムの調定情報は、収納管理システムに連絡され、同システムで共通的に管理されているものとする。
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(以上)

「番号制度導入に係る地方公共団体の税務システムのあり方に関する調査研究報告書」からの解説をしたいと思います。今回は、5章 ステム改修要件 (市町村) ついて。

○5章 システム改修要件 (市町村) 
(1) 宛名管理システム
(2) 個人住民税システム
(3) 法人市町村民税システム
(以下略)

(1) 宛名管理システム
ア 番号制度導入における影響の全体像
 宛名管理システムでは、地方税務における納税義務者、特別徴収義務者等、地方税の賦課、徴収等の業務に必要な個人、法人等に対する氏名、商号、事業所名等、住所及び所在地等の宛名情報を管理している。
 宛名管理システムでは、宛名情報と、各税業務の課税情報とを関連付けるために、個人宛名番号、法人宛名番号、共有者宛名番号が用いられている。
 番号制度導入により個人、法人にマイナンバー、法人番号が付与されることになるが、マイナンバー、法人番号を宛名管理システムに記録して管理することがシステム改修を局所化すると考えられる。
注)
 宛名DB = (a)住登住民(外国人含む) + (b)住登外宛名DB
 (b)住登外宛名DB = (c)住登外個人 + (d)法人DB

イ 番号制度導入後の業務の流れ
(ア) マイナンバーの真正性の確認
 番号制度導入後に、マイナンバーの真正性の確認を行なう。
(イ) 法人番号の真正性の確認
 番号制度導入後に、法人番号の真正性の確認を行なう。

(ウ) 宛名管理システムの基本4情報による初期突合とマイナンバーの記録
 番号制度導入後に、宛名管理システムに、「住民」に対するマイナンバーの初期記録を行なう。 ・・・ 参照1
(エ) 宛名管理システムにおける「住登外者」の基本4情報による初期突合とマイナンバーの記録 ・・・ 参照2
 番号制度導入後に、宛名管理システムにおける住登外者の基本4情報による初期突合とマイナンバーの記録を行なう。
(オ) 「法人」の宛名管理システムの基本情報による初期突合と法人番号の記録 ・・・ 参照3
 番号制度導入後に、宛名管理システムの基本情報による初期突合と法人番号の記録を行なう。

(2) 個人住民税システム
ア 番号制度導入における影響の全体像
 番号制度導入により、市町村に提出される書類にマイナンバーが記載されることから、マイナンバーをキーとして、給与支払報告書等と申告書との名寄せがより正確かつ効率的に行えることが期待される。
 また、納税義務者本人以外に、控除対象配偶者、扶養親族、青色事業専従者を特定するにあたり、マイナンバーを利用することが想定される。
 また、これまで照会文書で取り交わしていた情報授受を、番号制度導入後は情報提供ネットワークシステムを介して他団体との情報連携により行なうなどで、業務が効率化することが想定される。

イ 番号制度導入後の業務の流れ
 個人住民税では納税義務者、扶養親族、控除対象配偶者、青色事業専従者等を特定する場面においてマイナンバーを利用することができる。また、特別徴収義務者の特定においてマイナンバー、法人番号を利用することができる。

(ア) 番号制度導入後の個人住民税の課税準備の流れ
 市町村の個人住民税の申告書提出対象者及び特別徴収義務者を前年実績から抽出し、個人住民税の申告書及び給与支払報告書の提出を依頼する業務について。
(イ) 番号制度導入後の「給与支払報告書」の受付事務の流れ
 給与支払者からの給与支払報告書を受付し、課税資料として登録する業務について。
(ウ) 番号制度導入後の「公的年金等支払報告書」の受付事務の流れ
 公的年金等支払者からの公的年金等支払報告書を受付し、課税資料として登録する業務について。
(エ) 番号制度導入後の「申告書」の受付事務の流れ
 納税義務者からの個人住民税の申告書及び確定申告書を受付し、課税資料として登録する業務について。
(オ) 番号制度導入後の賦課決定事務の流れ
 給与支払報告書、公的年金等支払報告書、個人住民税の申告書、確定申告書等、さまざまな課税資料を名寄せし、賦課を決定する業務について。
(カ) 番号制度導入後の他団体への連絡事務の流れ
 住登外者に課税する際に、地方税法第294条第3項に基づき住民基本台帳に記録されている住所地の市町村へ課税について連絡を行なう場合の通知(294−3通知)及び市町村による所得の計算に係る税務署への通知に係る業務。

(3) 法人住民税システム
ア 番号制度導入における影響の全体像
 法人住民税は、申告納付方式を採用しているため、番号制度導入によって届出書や申告書にマイナンバー、法人番号が記載され、市町村では申告書等の処理作業でマイナンバー、法人番号を利用し管理することが想定される。
 法人住民税の納税義務者は、市町村内に事務所若しくは事業所又は寮等を有する法人(地方税法第294条)とされているため、これら法人にマイナンバー、法人番号の提供を求め、徴収等の事務にマイナンバー、法人番号を利用することが想定される。

注)法人番号と企業コード
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○法人等に付番する番号
・次に掲げる法人等に対し、「法人番号」を付番。
 登記のある法人等については、法務省が有する会社法人等番号を基礎として付番。
 登記のない法人等に対しては、国税庁において、登記のある法人等に係る番号と重ならない番号を付番。
 (1)国の機関及び地方公共団体
 (2)登記所の登記簿に記録された法人等
 (3)法令等の規定に基づき設置されている登記のない法人
 (4)(1)から(3)に掲げる法人等以外の法人(国税に関する法令の規定により法人とみなされる者を含む。)で、国税・地方税の申告・納税義務、源泉徴収義務若しくは特別徴収義務若しくは法定調書の提出義務を有し、又は法定調書の提出対象となる取引を行うもの
・ 「法人番号」の付番の所管は、国税庁とする。
・法人等の支店・事業所については、付番は行わない等。

○企業コードの体系案
「企業コードの体系案」図は、下記URLの資料13ページに掲載されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/denshigyousei/dai24/siryou1_2.pdfPDF

イ 番号制度導入後の業務の流れ
 番号制度の導入により、申告書に法人番号が記載されるため、法人住民税では法人、事業所の特定と納税義務者の特定の場面において法人番号を利用することが想定できる。
(ア) 番号制度導入後の法人住民税情報の整備の流れ
 法人からの設立等の申告書から、法人住民税情報を整備する業務について。
(イ) 番号制度導入後の法人住民税の申告に係る事務処理の流れ
 納税義務者からの法人等市民税の申告書(地方税法321条の8)から、法人住民税に関する申告について。
(ウ) 番号制度導入後の法人住民税に関する情報のやり取りの流れ
 法人税に関する書類の供覧等(地方税法325条)、従業者数の修正・決定等(地方税法321条の146項)について。

平成24年10月11日 記

<参照>
○地方公共団体における番号制度の活用に関する研究会(第4回)(総務省 12/06/27)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/bangou_katsuyou/02gyosei02_03000046.html

参照1 「住民」
・宛名管理システムの基本4情報による初期突合とマイナンバーの記録(上記URL掲載「資料4」の83ページ)

参照2 「住登外」
・宛名管理システムにおける「住登外者」の基本4情報による初期突合とマイナンバーの記録(上記URL掲載「資料4」の85ページ〜)

参照3 「法人」
・「法人」の宛名管理システムの基本情報による初期突合と法人番号の記録(上記URL掲載「資料4」の87ページ〜)

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