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自治体IT革命の今日、明日
第146回 国民ID制度と社会保障・税番号制度、その21(最終回)『番号制度の過去及び歴史』

2013/01/07

この「番号制度」シリーズも最終回です。

マイナンバー法案は廃案になりましたが、番号制度が否定されたものではありません。行政のサービス化・効率化などへ向け、情報の共有そして組織間連携を避けて通れるものではありません。社会インフラとして大きな期待がされております。

新たな政権(自民党)のもと“新たなマイナンバー法案”が再度通常国会にて提出されることとなるでしょう。

2001年の「e-Japan戦略」から始まった電子政府・電子自治体の姿も、新たなステージ(第3ステージ)に入りそうでした。 ・・・

第1ステージは、(昭和の20年〜30年代に制定された)法律を前提とした、人と紙による“行政手続(サービス)の電子化”でした。“使えない”という評価のステージで、行政サービスとは認知されませんでした。

第2ステージは、2006年度以降現在の姿です。「IT新改革戦略」の形です。しかし、行政内に限定された電子政府・電子自治体の姿のままでもあります。インターネットを利用した“サービス”の形をなさないものです。

今やっと新たな形が模索されてきたことに、大変に喜ばしく感じております。そんな第3ステージの電子政府・電子自治体のあるべき姿のキーワードは、「番号制度(マイナンバー)」でした。 ・・・ リスタートです!

このシリーズの最終回は、番号制度の過去から現在までの歴史をながめてみました。

◎番号制度の過去及び歴史
 1.住民番号制度の歴史と課題、2.納税番号制度の歴史、3.社会保障番号制度の歴史そして4.共通番号制度への政府の対応、5.マイナンバー法案について。

1.住民番号制度の歴史と課題
・1871年(明治04年):「戸籍法(壬申戸籍)」
 農村社会を前提した全国統一の戸籍制度。
  ー> 都市化に伴う住民の移動増大による制度の限界。
・1951年(昭和26年):「住民登録法」
 世帯台帳を法的位置づけ。戸籍簿+住民登録制度へ。
  ー> 届出や台帳の重複、不統一の存在などの制度的不備あり。
・1967年(昭和42年):「住民基本台帳法」
 住民サービスのための台帳として住基台帳を位置づけ。
  ー> 紙の台帳による管理、本人確認の限界。
・1999年:住民基本台帳法改正(住基ネット、2003年08月施行)
 「全国単位での本人確認」、「将来的に弱者のためのセーフティネットとして利用」
  ー> 共通番号としての制約:
     利用業務は法律で厳格に規定、民間利用の禁止、
     その他(ランダムな番号、番号の変更が可能など)。
・2008年3月 住基ネット訴訟、最高裁にて合憲!
  ー> フラットモデルではなく「セクトラルモデル」を条件!
・2009年:住民基本台帳法改正(外国人住民登録、2012年07月」施行。)
・2010年「消えた高齢者問題」発覚
 高齢者の所在・生死不明、年金の不正受給問題の発生。
  ー> 「死亡届」が出されない限り生存していることを前提とした制度の機能不全が露呈。

2.納税者番号制度の歴史
・1968年(昭和43年):佐藤内閣、「各省庁統一個人コード連絡協議会会議」を設置して、国民総背番号制の導入を目指したが頓挫した。
 この頃から、44年間番号を推進しようとしてできなかった。
・1980年(昭和55年):「グリーンカード法案」
 「所得税法の一部を改正する法案」において、「グリーンカード」(少額貯蓄等利用者カード)の導入を決定。
 非課税貯蓄(マル優)の仮名口座の防止。
  −>
 1985年、「海外への資金流出」、「プライバシー保護」などの反対運動により、同法廃止。
・2008年「定額給付金政策」発表
  −>
 すべての国民の所得捕捉ができていないために、所得制限をかけることができず、莫大な経費をかけて全ての国民に給付。

3.社会保障番号制度の歴史
 1961年(昭和36年):個別分野における社会保障番号の導入
・1961年、年金番号、健康保険番号の導入
  ー>
 制度ごとに加入者の番号を独自に付番していたため、転職や退職などで加入制度が変わると、番号が変わることが問題に。
・1997年基礎年金番号の導入
 制度間を移動する被保険者に関する情報を的確に把握することによる届出の簡素化、届出忘れによる未加入者の発生の防止など。
・2007年「消えた年金問題」発覚
  −>
 基礎年金番号という、氏名や住所の異動を管理する台帳の裏づけが無い番号を使っていたため、年金の納付記録が行方不明に。

4.共通番号制度への政府の動き
1.『自民党』
・年金納付記録問題
 2007年09月〜:社会保障番号・カードのあり方検討会
・2008年頃から、政府与野党の議論が本格化
 社会保障国民会議最終報告(2008年・麻生内閣)
 自民党税制改正大綱(2008年)
 安心保障番号/カード(「安心社会実現会議」、麻生内閣「骨太の方針2009」)
・定額給付金
 納税者番号の必要性浮上、給付付き税額控除制度

2.『民主党』
 民主党税制改正抜本改革アクションプログラム、2009年民主党マニフェスト
・新たなICT戦略
 2010年05月:国民ID制度、自治体クラウドなど
・2010年02月〜:社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会
 06月中間とりまとめ。「2011年度中に関連法案の成立、2013年度までに実施」。
・2010年11月11日、「政府・与党社会保障改革検討本部」のもとに、
 「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」設置。
3.『IT戦略、成長戦略における議論』
・新たな情報通信技術戦略:2010年05月決定。
 「2013年度までに国民ID制度を導入」
(制度設計、関連法令の整備、公的ICカードの整理・合理化、システム設計・構築に着手、第三者機関の設立準備の開始)
・新成長戦略:2010年6月18日閣議決定。
 「住民票コードとの連携による各種番号の整備・利用に向けた検討を加速」
 「社会保障や税の番号制度の検討と整合性を図りつつ、国民ID制度の導入を検討」

5.番号制度(マイナンバー法案)
・「国民ID制度における国民IDコード」(IT戦略本部 2010/12/27)
・「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」(社会保障・税に関る番号制度に関する実務検討会 平成23年01月31日)
・「社会保障・税に関わる番号要綱」(平成23年04月28日)
・「社会保障・税番号大綱(案)」(社会保障・税に関る番号制度に関する実務検討会 平成23年06月28日) −> 名称は“マイナンバー”です。
・「マイナンバー法案」を14日に閣議決定。社会保障制度の充実や税の適正な徴収を図るため、平成27年からの「共通番号制度」の導入を目指しており、「マイナンバー法案」は、その中心的な法案です。法案は14日夕方、国会に提出され、今国会での成立を目指します。
・平成24年11月、衆議院解散。マイナンバー法案は廃案となる。

・12月16日の衆議院選挙にて民主党大敗、自民党大勝。新たな政権のもとで番号制度関連法案が再提出か?
・12月26日、第96代内閣総理大臣に自民党総裁阿部晋三氏に決まる。
        総務大臣は新藤義孝氏に!

情報連携を可能とする「番号制度」のリスタートが、新政権に委ねられることとなりました。通常国会にどのような姿の「新マイナンバー法案」が提出されるか注目してゆきたい。

平成25年1月7日 発行

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平成25年初春
諸橋 昭夫

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