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自治体IT革命の今日、明日
第148回 オープンガバメント、その2 『米国政府におけるオープンガバメントの取り組み』

2013/03/04

(前回まで)
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○電子行政推進に関する基本方針(IT戦略本部、平成23年08月03日)
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pdf/110803_denshi.pdfPDF
・電子行政推進の意義
・電子政府と電子自治体の連携
・民間との連携
・目指すべき電子行政の姿
・5つの重要施策
 1.政府におけるITガバナンスの確立・強化
 2.国民ID制度、企業コード等
 3.行政サービスのオンライン利用
 4.行政サービスへのアクセス向上
 5.オープンガバメント
 (1)基本的考え方
 (2)行政情報の公開・提供
 (3)国民の意見の収集と政策形成過程への参加
 (4)推進体制
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(以上)

 今回は、米国におけるオープンガバメントの取り組みについて。

○米国政府におけるオープンガバメントの取り組み

 まずは、クラウド戦略についてです。
1.政府のクラウド戦略
・「クラウドコンピューティングイニシアティブ(Cloud Computing Initiative)」
 2009年年3月5日、ヴィベック・クンドラ氏(Vivek Kundra)が米連邦政府CIO兼行政予算管理局電子政府推進室長に就任。
 連邦政府の各機関が本格的にクラウド導入に取り組むための「クラウドコンピューティングイニシアティブ(Cloud Computing Initiative)」を掲げ、サービス提供を通じて、インフラ、情報、ソリューションを政府横断的に共有するための取り組みを推進。

・連邦政府のクラウドコンピューティングの枠組みの提示
 2009年5月、連邦調達庁のGSA(General Service Administration)はクラウド事業者に対してRFI(Request for Information)を出し、クラウドの導入を検討を始める。
 2009年8月、RFQ(Request for Quotation)を発表。
 SLAでは99.95%のAvailabilityが確保などのルールが盛り込まれ、連邦政府のクラウドコンピューティングの枠組みが示された。

・連邦政府のクラウドポータル「Apps.gov」を開設
 2009年9月15日、クラウドベースのITサービスを提供する「Apps.gov」を開設。
「Apps.gov」は政府機関向けに提供するクラウドサービス
 「Business Apps」
 「Productivity Apps」
 「Cloud IT Service」
 「Social Media Apps」の4つのカテゴリで提供。
 連邦調達庁のGSA(General Service Administration)は、サービス事業者と調達契約を結び、提供可能なサービスを「Apps.gov」に掲載し、調達の一元化を図る。

・「Cloud First Policy(クラウド ファースト ポリシー)」の採用を発表
 2010年11月、「Cloud First Policy(クラウド ファースト ポリシー)」の採用を発表。
 効率的なIT投資を行うため、システムの更改の際に、クラウドのオプションが存在する時は、クラウドをデフォルトとして採用することを義務付ける」と宣言。

・「Federal Cloud Computing Strategy」
 2011年2月8日、「Federal Cloud Computing Strategy」を公表し、政府のクラウド戦略の全体の方向性が示される。

・連邦情報セキュリティマネジメント法(FISMA)の基準
 マイクロソフトやグーグル、アマゾン、IBMなどのクラウドサービス事業者は、連邦情報セキュリティマネジメント法(FISMA)の基準を満たす政府向けのクラウドサービスの提供を発表。

 そしてオープンガバメントの取り組みについて。
2.「Open Government Initiative」
・2009年1月20日、オバマ大統領、透明性とオープンガバメントに関する覚書の「Transparency and Open Government」(3つの基本原則)を発表。
 (1) 透明性
 (2) 市民参加
 (3) 官民連携
とオープンガバメントに関する3つの基本原則を表明。
(1)Transparency(透明性)
 政府は、国民に対する責任を果たすために、情報をオープンにし、提供しなければならない
(2)Participation(国民参加)
 政府は、知見を広く国民に求め国民の対話を行い、利害関係者グループ外の人々に政策立案過程への参加を促さなければならない
(3)Collaboration(官民連携)
 組織の枠を超えて政府間および官民連携し、イノベーションを促進しなければならない

・各省庁への「オープンガバメント指令」
 2009年12月8日、オープンガバメント指令(Open Government Directive)を発表。
 本指令では行政管理予算局(OMB)が各連邦機関に対して、行政の透明性を高める目的で、オープンガバメントを進める責任者の決定や、連邦機関が提供する統計データなどの価値の高いデータを誰でも入手できるようにすること、オープンガバメントサイトを立ち上げるアクションプランを迅速に策定し発表するなどのオープンガバメントプランの作成を指示。

・「オープンガバメント・ダッシュボード」
 10の評価基準で評価した情報が公開されている。
 1.高価値データの公開
 2.データの信頼性
 3.ウェブページの公開
 4.市民の意見の採用
 5.オープンガバメントプランの評価
 6.オープンガバメントプラン作成手順
 7.透明性
 8.市民参加
 9.協業体制
 10.フラグシップイニシアチブ(野心的なプロジェクトを具体的な実行状況

・国民によるオンライン嘆願受付「We the People」
 2011年9月、「We the People」を開設。
 国民がオンライン上で自由に嘆願書を作成することができ、国民が個人レベルで一般からの署名を募集をすることができる。署名が150人に達すると、その嘆願書がサイト上で一般公開される。公開後の30日以内に2万5,000人以上の署名を集めることができれば、ホワイトハウスの政策立案者によって検討されるようになっている。 ・・・

・Digital Government
 2012年5月、「Digital Government: Building a 21st Century Platform to Better Serve the American People」を発表し、オープンガバメント、オープンデータに向けた取り組みを加速させています。
3つの柱と10の戦略
 1.国民がいつでも、どこでも、どのようなデバイスからでも、政府のデジタル情報にアクセスできること
 2.技術の進化に政府側も対応し、デバイス、アプリケーション、データを管理調達できること
 3.政府が保有するデータをイノベーションの促進とサービス品質向上に役立てること
の3つを柱とし、10の戦略をあげています。
 1. オープンデータとコンテンツおよびWebAPIの新しいデフォルト化
 2. 既存の高価値データおよびコンテンツのWebAPIを通じての提供
 3. デジタルサービスイノベーションセンターとアドバイザリーグループの設立
 4. デジタルサービス提供の改善のための政府機関横断のガバナンス確立
 5. 組織全体でのアセット管理と調達モデルへの移行す
 6. モダンなツールと技術の採用によるより良いデジタルサービスの提供
 7. カスタマー向けのモバイル活用の優先順位の引き上げ
 8. サービス提供改善のためのパフォーマンスと顧客満足の測定
 9. 安全安心な技術の採用の促進
 10. セキュリティとプライバシーのプロセス見直しと合理化

 最後にオープンデータの取り組み及び情報公開法&著作権法について。
3.米国政府におけるオープンデータの取り組み
・オープンデータ
・「Data.Gov」 http://www.data.gov/
 2009年5月、オープンガバメントの施策の一つとして、政府や自治体などが保有する統計データの利活用の促進事業で、膨大で貴重なデータをオープンフォーマットやアプリケーション開発に利用できる形式で公開する「Data.Gov」を開設。
 「Data.Gov」は、オープンデータ推進の代表的な取り組み。

・「Data.Gov」から提供されるデータ
 1.生データ(Raw Data)
 2.分析ツール(Tool)
 3.地理データ(Geo Data)
 2009年5月の開設当時は47のデータでスタート、現在は40万を超えるデータが公開されている。
 「Data.Gov」は、多くの政府機関や自治体がデータを公開し、2013年1月現在で、米国内37州、24都市、177の行政機関が参加している。

・米国における情報公開法と著作権
情報公開法
・1966年、「情報自由法(FOIA)」
・1996年、「電子情報自由法(EFIA)」
 電子情報を対象とし、公開可能なものは全て電子化
 請求者の望むフォーマットで提供
著作権
 米国政府が作成した情報(オープンデータ)は、著作権法の保護対象外
  −> 政府情報(オープンデータ)を活用したビジネスが発生!

平成25年02月28日

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