HOME > U+(ユープラス) > 電子自治体の行政情報化ニュース > 自治体IT革命の今日、明日 第164回 「番号法と自治体クラウド、その3 『新電子自治体推進指針(2007年03月)』」

U+(ユープラス)

U+のTOPへ

電子自治体の行政情報化ニュース

コラムニストの一覧に戻る

自治体IT革命の今日、明日
第164回 「番号法と自治体クラウド、その3 『新電子自治体推進指針(2007年03月)』」

2014/05/26

 「電子自治体」が言われて15年が経過しました。2000年08月の“IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策などにおける推進に関する指針”そして“電子自治体推進指針”が公表されたのが2003年08月のことでした。
 さらに4年後の2007年に“新電子自治体推進指針”が公表されました。

○電子自治体
 1.IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策などにおける推進に関する指針(2000年08月) ・・・ 前々回
 2.電子自治体推進指針(2003年度08月) ・・・ 前回
 3.新電子自治体推進指針(2007年度03月) ・・・ 今回 <図1>
 4.電子自治体の取組みを加速するための10の指針(2014年〜)

(前回より)
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
  ○IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針
(自治省 平成12年(2000年)8月28日)
1.基本的な考え方
1.質の高い行政サービスの提供
 高度・多様化する住民ニーズに対応
 デジタル・ディバイドの解消
2.社会・経済活動の活性化
 情報通信基盤の整備
3.行政の簡素・効率化及び透明化
 全庁的な情報の共有
 文書管理システムを活用した行政の透明性の確保
 アウトソーシングの積極的な活用
2.今後の課題と基本的方向
1.ネットワークを活用した行政の簡素・効率化及び住民の利便性の向上
 1.行政手続のオンライン化の推進
 2.文書管理システムの導入による情報公開の推進
 3.情報の積極的提供
 4.情報検索システム(クリアリングシステム)の整備
2.高度・多様化する住民ニーズの対応
 1.各行政分野における行政の高度化の推進
 2.情報化を支える職員及び住民の情報リテラシーの向上
3.地域における情報基盤の整備
 1.情報通信基盤の整備
 2.情報通信拠点施設の整備
3.早急に取り組むべき事項
 1.行政におけるネットワーク化の推進
 2.申請・届出等手続のオンライン化の推進
 3.住民基本台帳ネットワークシステムの整備促進
 4.消防防災分野における情報通信の高度化
 5.統合型の地理情報システムの整備
 6.デジタル・ミュージアム構想の推進
 7.歳入・歳出手続、税の申告手続等の電子化
 8.電子機器利用による選挙システムの検討
 9.推進体制の整備
4.コンピュータ・セキュリティ及び個人情報保護
 1.コンピュータ・セキュリティ対策
 2.個人情報保護対策
5.情報化施策を推進する上での留意点
 1.総合的な推進計画の策定
 2.推進状況のフォローアップ等
 3.国、都道府県及び市町村間の緊密な連携
 4.都道府県の役割
 5.知的財産権
 6.労働衛生対策

○電子自治体推進指針(2003年度〜)
 (総務省自治行政局 平成15年8月)
I.電子自治体構築の基本的考え方
1.電子自治体構築の目的
(1)住民の満足度の向上
(2)簡素で効率的な行政運営の実現
(3)地域の活性化・地域IT産業の振興
2.電子自治体構築の基本的な方向
(1)電子自治体構築のグランドデザインの明確化
(2)利用者の視点に立った電子自治体の構築
  ① 利用者の視点に立った住民本位の行政運営への改革
  ② 住民等利用者への周知・説明の強化
(3)情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底
(4)電子自治体ネットワークの構築のための連携・協力の推進
(5)外部委託(アウトソーシング)等民間活力の積極的な活用
(6)住民と行政のコミュニケーション及び協働(コラボレーション)の拡大
(7)オンラインサービスの普遍的な利用環境の整備(デジタルデバイド対策の推進)
II.地方公共団体における当面の重要課題と取組みの方向性
1.電子自治体の基盤整備と行政手続オンライン化等の推進
(1)電子自治体の構築を推進するための体制の整備等
  ① CIO(最高情報統括責任者)を中心とする全庁的な推進体制の整備
  ② 職員の情報リテラシーの向上及びIT専門人材の育成・確保
  ③ 電子自治体構築計画の策定
(2)ネットワーク基盤及び認証基盤の整備
  ① 庁内LAN及び一人一台パソコンの整備
  ② 総合行政ネットワーク(LGWAN)の構築及び利用の推進
  ③ 住民基本台帳ネットワークシステムの構築及び運用
  ④ 住民基本台帳カードの積極的な活用
  ⑤ 公的個人認証基盤の整備
(3)行政手続のオンライン化の推進
  ① 行政手続の簡素化・合理化の徹底
  ② 申請・届出等手続に関する汎用受付システムの構築
  ③ 電子調達、電子申告、電子決済、電子投票の導入に向けた取組み
  ④ 住民等利用者の視点に立った電子自治体窓口(ポータルサイト)の実現
(4)住民と行政のコミュニケーションの拡大
(5)内部管理業務の電子化の推進
2.共同アウトソーシング・電子自治体推進戦略の推進
(1)電子自治体推進上の課題
(2)今後の取組み
3.情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底
(1)情報セキュリティポリシーの策定・運用と情報セキュリティ監査の推進
(2)個人情報保護法制を踏まえた個人情報保護条例の制定または見直し
(3)情報セキュリティ研修の充実・強化
4.情報リテラシー向上とデジタルデバイド対策等
(1)地域住民の情報リテラシーの向上等
(2)高齢者、障害者、外国人等のための情報バリアフリー環境への配慮
(3)電子自治体サービスへのマルチアクセス環境の整備
(4)インターネット利用環境の整備による地域の情報格差の是正
5.その他の重要課題
(1)電子自治体の構築を見据えた市町村合併への対応
(2)情報システムの調達の適正化
(3)統合型GIS(統合型地理情報システム)の整備
(4)地域文化デジタル化事業の推進
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(以上)

 今回は、3.「新電子自治体推進指針(2007年度〜)」について。

○新電子自治体推進指針
(総務省 2007年03月)

1.重点的な取組事項
 1.行政サービスの高度化
(1)行政手続きのオンライン化の推進
(2)行政手続等のオンライン利用の促進
(3)行政手続等の完全オンライン化の実現
(4)官民連携ワンストップサービスの実現
(5)住民への分かりやすい情報提供と行政の透明性拡大
(6)その他の取組事項(電子投票の導入促進、統合型GISの導入促進)
 2.行政の簡素化・効率化
(1)ITを活用した行政改革の推進
(2)情報システムの見直し、刷新
(3)情報システム調達の透明化・効率化
 3.地域の問題解決
(1)ICTを活用した地域の課題解決
(2)地域の情報格差の解消
2.共通的な推進事項 ・・・ 略
 1.推進体制の強化
(1)電子自治体のITガバナンスの強化
(2)電子自治体の中核を担う人材の育成
 2.共同化・標準化の一層の推進
 3.新しい技術・モデルの活用
 4.情報セキュリティ対策の強化

○新電子自治体推進指針の概要
  〜2010年度までに利便・効率・活力を実感できる電子自治体を実現〜

1.新指針策定の背景
 平成18年1月に「IT新改革戦略」が策定され、「世界一便利で効率的な電子行政」を実現することを目標として掲げた。同年8月には、「地方行革新指針」が公表され、3つの改革が求められている。総人件費抑制改革、公共サービス改革そして公会計改革であり、いずれもICT利活用を前提としたものである。
 現行の電子自治体推進指針の策定(平成15年8月)から、3年以上が経過した。この間、LGWAN、住民基本台帳ネットワーク等の基盤整備、CIO任命や共同アウトソーシングの取組、情報セキュリティポリシー等の整備も進む。
 一方、住民サービスに直結する地方公共団体の電子化が十分ではない等、国民・企業等利用者が利便性・サービスの向上を実感できないていない現状がある。
その他、業務・システムの効率化が不十分。コミュニティ再生、安全・安心な地域づくり等の地域の課題解決にITの有効活用が必要。情報漏洩などへの対策の実効性が不十分。など様々な課題が残る。
 2010年度までに利便性・効率性そして活力を実感できる電子自治体を実現するには、今後の電子自治体の方向性の提示が必要となっている。

2.新電子自治体推進指針の概要
 住民視点と費用対効果の視点、民間事業者やNPOとの連携推進を前提とした取組方針が謳われ、重点的な取組事項と共通的な推進事項が取りまとめられる。
 今回の指針の特徴的な点は、ベンチマーク指標の設定であろう。総務省において毎年度推進状況をフォローアップし施策にフィードバックすることにした。

3.重点的な取組事項
1.行政サービスの高度化
(1)行政手続きのオンライン化の推進
 2010年度までに全ての地方公共団体において、行政手続等のオンライン化を実現する。
(2)行政手続等のオンライン利用の促進
 2010年度までにオンライン利用率を50%以上とする。
(3)行政手続等の完全オンライン化の実現
 申請から手数料の納付、証明書等の受領まで、行政手続等の一連の手続きをオンライン上で完結可能にする。

・現状・課題
 現在、電子申請においては、証明書等の交付申請はオンラインで可能であるが、その受取のために、一度は役所に行く必要がある。また、手数料がある手続において電子納付が実現されていない場合には、窓口に行って支払う必要があったり、添付書類が電子化されておらず、申請時の添付書類を別途送付する必要がある行政手続等も存在する。
 今後、電子申請において国民や企業の利便性をさらに向上させるためには、申請から手数料等の納付、証明書等公文書の受領までオンライン上で完結可能にすることが必要である。
・地方公共団体に期待される取組
 1.添付書類の廃止・電子化の推進
 2.手数料等の電子納付の推進
 3.証明書等の自動交付機設置等の拡大
 電子交付の実現については様々な課題を解決する必要がある。このため、まず、証明書等を受け取る手段を多様化し、住民の利便性の向上を図ることも重要である。このような観点から、公的証明書の受領のために役所に出向かずとも、最寄りの駅やコンビニエンスストアなど住民が立ち寄りやすい施設において受取ができるよう証明書自動交付機や証明書の受取窓口の設置等を推進する。
・総務省の施策の方向性
 証明書等の電子交付等を実現するための制度面、運用面、技術面の検討

・「住民基本台帳カードを活用した自動交付機導入推進事業」、「ICカード標準システム実証実験事業」、「住民基本台帳カードの多目的利用普及促進広報事業」の実施団体公募について(LASDEC 07/03/01)
 http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/frame.html?url=rdd/icc/info/h19koubo/index.html

(4)官民連携ワンストップサービスの実現
 地方公共団体と民間企業との協力による官民連携ワンストップサービスを実現する。
(5)住民への分かりやすい情報提供と行政の透明性拡大
 住民の視点からホームページを刷新・改善することにより住民への分かりやすい情報提供や行政の透明性の拡大を推進する。
(6)その他の取組事項(電子投票の導入促進、統合型GISの導入促進)

2.行政の簡素化・効率化
(1)ITを活用した行政改革の推進
 ITを活用し、全体最適化の見地から業務の効率化、組織の見直し等の行政改革を進める。
(2)情報システムの見直し、刷新
 既存の情報システムの運営経費縮減、効率的・効果的な情報システムへの見直し、刷新を行う。
(3)情報システム調達の透明化・効率化
 情報システムの調達改革を進め、適正な価格で高い品質のシステムを調達する。

3.地域の課題解決
(1)ICTを活用した地域の課題解決
 ICTを活用し、官民協働により、安全・安心な地域作りをはじめとする地域の課題解決に積極的に取り組む。
(2)地域の情報格差の解消
 ブロードバンド・ゼロ地域の解消、携帯電話の利用可能エリアの拡大により、地域の情報格差を解消する。

4.共通的な推進事項 ・・・ 略
 1.電子自治体の推進体制の強化
 2.共同化・標準化の一層の推進
 3.新しい技術・モデルの活用
 4.情報セキュリティ対策の強化

 マイナンバー法19条7号(別表2)事務においては、“3.重点的な取組事項−1.行政サービスの高度化−(3)行政手続等の完全オンライン化の実現−現状・課題”に係る課題の多くが解決するでしょう。行政手続きの多くが添付書類が不要となる。3年後の7月以降のマイナンバー制度の目玉でもあります。

平成26年05月22日

<図1> 電子自治体推進指針(2007年03月)
平成20年4月 総務省資料より

上記のコラム購読のご希望の方は、右記の登録ボタンよりお申込みください。

登録はこちらから