HOME > U+(ユープラス) > 電子自治体の行政情報化ニュース > 自治体IT革命の今日、明日 第167回 「新地方公会計制度、その2『地方公会計の推進に関する研究会報告書』」
2014/08/18
今回から、新たな地方公会計制度についてです。
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○現会計制度は
1.現会計制度
・現金主義
・単式簿記
2.根拠法
・憲法 85条 ・・・「国費の支出は〜」
・財政法(昭和22年) 2条1項
・・・ 支出とは、〜 現金の支払いをいう。
3.課題
・資産・負債というストック情報の欠如(現金のフロー情報のみ)
・非現金情報(減価償却費、引当金など)が未計上
−> 行政サービス事業費の総コストが把握できない!
−> 行政経営改革のマネージメントが欠如!
4.公会計改革へ向けた法律
・行政改革推進法(平成18年06月)
62条08項 ・・・ 企業会計の慣行〜
−> 発生主義、複式簿記へ
5.総務省、地方行政改革指針(平成18年08月)
・公会計改革指針 ・・・ 財務書類4表の作成を義務付け!
(〜平成21年09月までに)
基準モデルと改定モデルを提示
・・・が、大半(80%以上)が改定モデル
○東京都の公会計制度
・「東京都の新たな公会計制度」(東京都の新たな公会計制度 解説書 より抜粋)
行政運営に、経営の視点を確立することは不可欠となってきた。行政と民間との協働、住民に対する説明責任を果たすことなどが求められている。多くの自治体において財務諸表を作成しているが、官庁会計(単式簿記・現金主義会計)による決算数値を組み替えたものである。しかし、作成時間がかかり、個別事業ごとに作成することは困難である。
・官庁会計の問題点
単式簿記・現金主義会計とは、現金という一つの科目の収支のみを記帳する会計方式である。内在する問題点は、
1.現金以外の「資産」「負債」の情報が蓄積されない
「ストック情報の欠如」
2.非現金情報(減価償却費、引当金、金利など)が蓄積されない
「コスト情報の欠如」
の2点であり、結果として、
3.総合的な財務情報の説明が不可能
「説明責任の欠如」
4.正確なコスト分析による事業評価が不可能
「マネージメントの欠如」
の問題点が指摘されている。
・複式簿記の目的とは
1.財政状態の把握(貸借対照表:B/S)
2.経営管理(損益計算書:P/LL)
3.外部への報告(B/S、P/L、キャッシュフロー計算書:C/F、株主資本等変動計算書:NWM)
と言われている。
・経緯
平成14年5月 石原都知事の表明
平成14年9月 「東京都の会計制度改革に関する検討委員会」の設置〔(外部専門家(公認会計士)及び都部長級職員より構成し、東京都会計基準等を検討〕
平成14年10月 財務会計システムの基本構想着手
平成16年1月 システム開発(基本設計)着手
平成17年8月 東京都会計基準の策定・発表
平成18年3月 新財務会計システムの稼働
平成18年4月 新公会計制度の導入
平成19年9月 新システムによる初の財務諸表(平成18 年度決算)の発表
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(以上)
○地方公会計の推進に関する研究会報告書
・今後の新地方公会計の推進に関する研究会(第26回)(総務省 14/03/24)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chikousuiken/02zaisei07_03000090.html
・地方公共団体における財務書類の作成基準に関する作業部会報告書
・地方公共団体における固定資産台帳の整備等に関する作業部会報告書
・地方公共団体からの主な意見
・今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書(案) ・・・ 参考1.
・今後の地方公会計における整備促進のスケジュール ・・・ 参考2.
1.今後の地方公会計における整備促進のスケジュール
・今後の地方公会計における整備促進のスケジュール http://www.soumu.go.jp/main_content/000281821.pdf
この3月に、研究会報告書が公表されたところです。年内を目処に、新基準の周知及び要領などの策定を進める予定です。
平成27年01月、新基準による地方公会計整備の要請を地方公共団体にする予定であります。
準備期間は3年を基本とする、とされています。この間に、要領などの改訂、財務書類の活用に関する研究会、説明会の開催を計画しております。
早ければ、平成30年04月から本格稼動となるのでしょう。平成29年度までに平成28年度決算に係る財務書類を作成することが必要です。
2.今後の実務上の課題と対応
1.固定資産台帳の整備
2.複式簿記の導入
3.活用の充実
4.人材の育成・教育
3.固定資産台帳の整備
・地方公共団体における固定資産台帳の整備等に関する作業部会報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000281818.pdf
債権・債務改革と公共施設管理の観点からも、まず実施すべき課題は、固定資産台帳の整備です。
・整備状況(平成25年03月31日)
整備済み 307団体(17.9%)
整備中 613 (35.9%)
未整備 791団体(46.2%)
・整備目的
固定資産台帳とは、「固定資産の管理のために使用する補助簿であって、品目ごとに取得価格、償却額計算に必要な要素、償却額、同累計、償却後の帳簿残高、廃棄または売却に関する記録などを記入する。固定資産台帳は種類別に土地台帳、建物台帳、機械台帳、備品台帳などに分けることができる。」とされている。
現行制度上、公有財産台帳や個別法に基づく道路台帳などの各種台帳を備えることとなっている。しかし、保有するすべての資産を網羅的に把握する固定資産台帳については、必ずしも整備が前提とされていない。
財政状況を正しく把握するためには、正確な固定資産に係る情報が不可欠となる。新基準に基づく財務書類の整備にあたっては、資産の状況を正しく把握することや、他団体との比較可能性を確保することが重要である。
・整備手順
(今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書 56ページ)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000287808.pdf
0.庁内の体制整備
1.計画・準備
2.書式の作成
ー> ここまでは、半年から一年です。
3.資産の棚卸し
4.データ作成
5.データ統合
6.開始時簿価の算定
7.固定資産台帳の作成
ー> 3.〜7.の作業期間は一年以内で完了すべきである。
平成26年08月11日
<参考>
1.地方公会計研究会報告書概要
http://www.soumu.go.jp/main_content/000287809.pdf
2.整備促進のスケジュール
http://www.soumu.go.jp/main_content/000281821.pdf