HOME > U+(ユープラス) > 電子自治体の行政情報化ニュース > 自治体IT革命の今日、明日 第176回 マイナンバーと総合窓口サービス、その1『コンビン交付サービスの今昔』
2015/05/25
マイナンバー運用も残り5ヶ月となりました。マイナンバーの重要キーワードは、「個人番号カード」、「公的個人認証サービス」、「特定個人情報連携」そして「マイナポータル」などと言われております。市区町村にとって、地域住民への行政サービスの向上は、今後の大きなテーマとなりそうです。
以下は7年前(平成20年02月メールマガジンの386号〜より抜粋)の状況です。
https://mypage.mag2.com/mypage/publisher/mngmag/IssueHistoryDetail.do?issueId=6211701
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◎総合窓口サービスとは
○総合窓口とは
総合窓口とは、住民に対して行う各種複数の行政サービスを、1ヶ所で手続き可能とする窓口のことをいう。
住民票や印鑑登録証明書の発行、年金や国民健康保険への加入手続きなど、複数にまたがっていた窓口を、1ヶ所に集約することで住民の利便性・サービスの向上を図ることができる。
窓口の物理的な統合だけではなく、業務処理及び既に個別に構築された業務システムの統合も必要である。個別の業務システムを統合した総合窓口システムの活用によって、「事務作業の高度化」といったメリットが生まれる。
事務の高度化が図られることにより、事務処理時間が短縮され、住民の待ち時間も減少し、住民サービスの向上にもつながる。
1.総合窓口の形態いろいろ
各種証明書の発行や照会、主な異動処理の他に、窓口案内や各種相談の窓口という受付としての役割も期待されている。これらの業務をすべて実施している総合窓口は少ない。一口に総合窓口と言っても、対応している業務はさまざまである。
(1)証明書発行の統合
窓口を訪れる住民の多くは証明書の発行が目的だと言われている。1ヶ所の窓口で複数の証明書を発行するのが、総合証明書発行窓口であり、住民票の写しや印鑑登録証明書、税証明書などの各種証明書の発行を行う。総合窓口により、複数の異なった申請書に住所や氏名を何度も記入し、いくつもの窓口に行く必要がなくなるため、複数の証明書を必要とする住民にとって大変便利なサービスになる。
システムとしても複数の業務システムを立ち上げるのではなく、各業務の証明書発行機能を1つの機能として提供しているものが多い。
(2)資格異動の統合
窓口では転入・転出が住民の異動業務のほぼ半数を占める。転入の際、「住民記録の転入手続きをして、印鑑の登録も行いたい」、「国民健康保険に加入し、年金の手続きをしたい」など複数の窓口で手続きが必要になる場合があり、これらの手続きを1ヶ所の窓口で済ますことができれば、住民の利便性が向上する。
ただし、一人の職員が複数の業務を理解したうえで、すべての業務処理を行うには限界があるため、各課との連携システムを作ったり、あるいは窓口は1ヶ所でも業務ごとに各課の職員が入れ替わり対応しているのが現状のようである。
(3)市民相談
転入や転出などの異動手続きを目的に来庁した住民は、他にどんな手続きをしたら良いのかわからない人も少なくない。総合的な相談窓口を設置することで、住民は安心して手続きの実施やサービスを受けることが可能になる。
このような相談窓口を設置している自治体も多くあるが、窓口では手続きを行う場所を案内するだけで、実際には従来どおり住民が各業務窓口を回る仕組みとなっていることが多い。
また、住民の利便性向上を追求し、平日は役所へ行くことができない多くの住民のために、取り扱い業務を制限するものの土日も開庁して窓口業務を実施している自治体もある。が、人件費など抑制のため、以下の自動交付機導入に代えている自治体が増えているようです。
(4)証明書自動交付機サービス
証明書交付にかかる窓口業務の混雑を緩和するために、住民票の写しや印鑑証明書、税証明書などの各種証明書を発行する自動交付機を設置する自治体も増えている。
この自動交付機については、通常の窓口取り扱い時間に加え、時間外や土曜・日曜・祝日などの閉庁時にも証明書を交付することができるので、住民サービスの向上にもつながる。
自治体によっては、自動交付機の利用にあたり、住民基本台帳カードを活用しているケースが増えつつある。市川市など多くの自治体が、既存の市民カード(印鑑カードなど。)から住基カードへの切り替えを推進している。
設置場所の規制緩和を受けて、本庁舎・支所、公民館や郵便局などへの設置だけでなく、民間のスーパー・ショッピングセンター等の商業施設にも設置することで証明書交付業務サービスの拠点拡大を図り、積極的に住民の利便性向上につなげている自治体もある。
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(以上)
◎コンビニ交付サービスの現在
日本でもコンビニ交付サービスがスタートしました。お隣の韓国では既に実現している行政サービスです。少しずつですが、“韓国に追いつき追い越せ!”です。今後は、更なる証明書の拡大と自宅での証明書の取得サービスの世界と思います。
以下は(財)地方自治情報センター コンビニにおける証明書等の交付(コンビニ交付)より抜粋編集。現在は、J-Lisです。
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○市区町村の方へ、コンビニ交付について
コンビニエンスストアでの証明書交付の導入で、住民サービスの向上と窓口業務効率のアップ、コストの削減を実現できます。
・導入効果
1.住民サービスの向上
住民票の写し・印鑑登録証明書が、最寄りのコンビニエンスストアで取得できるので、住民の利便性が高まります。
2.窓口業務の負担の軽減
コンビニエンスストアのキオスク端末で申請から交付までの手続きすべてを行うため、窓口業務の負担が減ります。
3.コスト低減
キオスク端末の管理はコンビニエンスストアで行うため、維持・運用経費が発生しません。
平成21年度は、先行実施団体である東京都渋谷区、三鷹市及び千葉県市川市にお住まいの方が対象で、セブンーイレブンの対象店舗で証明書等の取得ができます。
注)現在のコンビニ交付サービス
・個人番号を活用した今後の行政サービスのあり方に関する研究会(総務省)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mynumber/index.html
・個人番号を活用した今後の行政サービスのあり方に関する研究会(第6回)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mynumber/02gyosei02_03000073.html
・コンビニ交付のイメージ
・資料4 論点整理参考資料(第1〜5回 研究会資料抜粋)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000336710.pdf −> 48ページ参照
・市区町村の参加状況
・資料4 論点整理参考資料(第1〜5回 研究会資料抜粋)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000336710.pdf −> 49ページ参照
1.市区町村のシステムに必要な要件
システム関連資料(仕様等)の提供には、当センターと機密保持契約の締結が必要です。また、ソフトウエアは、当センターと使用許諾契約を締結した市区町村のみに提供しております。
併せて、交付センターへの負担金が必要です。
1.政令市 100 万人以上 10,000千円/年
未満 8,000千円/年
2.市 15万人以上 5,000千円/年
未満 3,000千円/年
3.町村 1,000千円/年
2.ICカード標準システムの基本システムの導入・運用
ICカード標準システムとは、住民基本台帳カードのICチップの空き領域(独自利用領域)を活用し、さまざまなサービスの利用を実現するシステムです。
ICカード標準システムは、住基カードの多目的利用推進のツールとして、当センターが開発し、希望する市区町村に対して無償で提供しています。
ただし、保守料は別途 950千円/年 が発生します。
3.市区町村は、サーバ、クライアント等のハードウェア、ソフトウェア、カードソケット、カードアプリケーション並びに構築等の作業について、調達してください。
○各種証明書を受け取る企業・団体等の方へ
業務で扱う証明書に、新しいタイプが追加されました。偽変造対策・改ざん対策、問い合わせサイトの使用方法を説明しています。
平成22年02月から、住民基本台帳カード(住基カード)を利用することで、住民票の写しや印鑑登録証明書を、最寄りのコンビニエンスストアで取得できるようになりました。証明書のうら面には、偽変造や改ざんを防止する技術が利用されています。
1.コンビニエンスストアで取得された証明書のポイント
・A4サイズの普通紙に印刷
コンビニエンスストアで発行される証明書は、特殊な専用紙ではなく、A4サイズの普通紙に印刷されます。
・市区町村の公印の印刷
市区町村から送られるPDFデータに含まれており、印刷されます。
・おもて面・うら面に地紋を印刷(けん制文字)
おもて面・うら面の両面に、けん制印刷が施された地紋を印刷しています。
コピーした証明書には『複写』という文字が浮き上がります。
・うら面に偽変造・改ざん対策(スクランブル画像、偽変造防止検出画像)
おもて面の地紋印刷に加えて、スクランブル画像や偽変造防止検出画像といった高度な技術を利用して、偽変造・改ざん対策を備えています。
・インターネットで内容チェック
インターネットを通じて、問い合わせサイトにアクセスすることで、証明書の偽変造・改ざんがされていないかのチェックを行うことができます。問い合わせサイトに証明書のうら面に印刷されたスクランブル画像のスキャンデータをアップロードし、復元画像(おもて面と同じ内容)を表示します。
2.問い合わせサイトの仕組み
https://cdid.lg-waps.jp/ic-decryptsv/
証明書のうら面をスキャナで読み取って、インターネット上の「問い合わせサイト」で確認できます。
・問い合わせサイトの使い方
お客さまから受け取った証明書のうら面全体を、スキャナで読み取り、ファイルに保存します。
問い合わせサイトにアクセスし、画面表示に従って保存したファイルを送ります。
暗号を解除した画像が画面に表示されます。証明書のおもて面と見比べて改ざんされていないことを確認します。
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(以上)
○コンビニ交付サービスの今後は?
来年1月以降「個人番号カード」の交付が始まります。そこには「公的個人認証」が標準装備されます。
コンビニ交付サービスも大きく変わろうとしております。
1.公的個人認証方式のコンビニ交付サービス
・資料4 論点整理参考資料(第1〜5回 研究会資料抜粋)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000336710.pdf −> 51ページ
この方式のサービス利用では、条例制定が不要となる大きなメリットが市区町村にはあります。
2.住所地と本籍地が異なる場合の戸籍証明書など交付
・資料4 論点整理参考資料(第1〜5回 研究会資料抜粋)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000336710.pdf −> 53ページ参照
平成18年以降の予定です。その為には、全市区町村が戸籍システムの導入とネットワーク化が推進される必要があります。
次回以降は、マイナンバー施行に伴う総合窓口サービスの拡大可能性、特に(2)資格異動・届出事務、(3)市民相談事務などについて検討してみようと思います。
平成27年05月21日