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自治体IT革命の今日、明日
第177回 マイナンバーと総合窓口サービス、その2『総合窓口システムアンケート結果より』

2015/06/22

 来年からマイナンバーが施行されます。今までとは違った「総合窓口サービス」の形態が考えられます。

 個人番号カードと公的個人認証そして情報提供ネットワークシステム(情報連携)、マイナポータルなどICT活用により、新たな総合窓口サービスの拡大が期待されそうです。

(以下も5年前の記事です。)
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・週刊「行政情報化推進ニュース」 2010/03/29(no482号)
 『総合窓口システムアンケート結果より』」

 総合窓口システムの目的は2つある。一つが住民サービスの向上、二つが行政事務効率の向上であろう。この二つの目的をともに実現する手段は、情報システムの構築以外にはありえない。総務省による「総合窓口システムアンケート」の結果は、このことを如実にあらわしている。

○総合窓口システムアンケート結果(LASDEC 2010/02/18)

1.総合窓口システムの取組状況
 総合窓口システムを「既に導入済」と回答した団体は全体の約23%(227団体)である。
 また、「検討していない」と回答した団体は約47%(477 団体)である。人口規模の小さい団体ほど「検討していない」と回答した団体が多い。

2.総合窓口システムの詳細
1.導入年月
 「2005年〜」と回答した団体が61.6%と最も多く、近年になって導入への取組が進んでいることが分かる。
 小規模団体ほど、「2005年〜」と回答した団体が多い(人口規模1万人以上町村で約50%)。

2.取扱い業務
 ・「証明書の発行(住民票の写し、戸籍謄抄本、印鑑登録証明書など)」
 ・「届出の受付、処理(転入・転出届、出生・死亡届など)」
と回答した団体は80%を越え、大多数の総合窓口で取り扱われている。
 反面、時間を要する
 ・「相談の対応(子育て、福祉、医療相談など)」
と回答した団体は、約25%に留まっている。
 その他として、
 ・「外国人登録」「国民健康保険」「国民年金」「児童手当」の受付
 ・「税証明」
などを挙げた団体が多い。

 小規模団体ほど、
 ・「相談の対応(子育て、福祉、医療相談など)」
を回答した団体が多い(人口規模1万人以下町村で41.0%)。

3.業務改善
 ・「業務処理フローの見直し、改善を行った」と回答した団体が約60%、
 ・「窓口担当部署と業務担当部署との間で、業務権限の見直しを行った」
と回答した団体が約56%となっている。
 その他として、
 ・「原課職員が窓口に出向く」
 ・「合併を機に業務全体を見直した」
 ・「窓口での申請書の対面交付」
などを挙げた団体がある。

4.組織・人員体制
 ・「原課職員の異動や兼務を実施した」と回答した団体が約49%である。
 ・「臨時職員を採用した」
 ・「民間委託を実施した」 −> 足立区が有名です。
は、それぞれ15.8%、8.6%であり、比較的少ない。
 その他として、
 ・「課の統合」
 ・「ベテラン職員の異動」
 ・「課・係でなく担当制を敷き、柔軟な人員配置変更を実施した」
などを挙げた団体がある。
 小規模団体ほど
 ・「原課職員の異動や兼務を実施した」
を回答した団体が多い(人口規模1万人以下町村で約56%)。
 また、中〜大規模団体(特に人口規模5万人以上の市区)ほど
 ・「臨時職員を採用した」
 ・「民間委託を実施した」
と回答した団体が多い。

5.スペース、レイアウト
 ・「もともとの担当課のスペースを総合窓口に利用・転用した」
と回答した団体が約52%である。
 ・「駅前やショッピングセンターなどに、新たに出張所を開設した」
は4.0%と低い。
 その他として、
 ・「案内板の設置」
 ・「ローカウンター化」
 −> 長岡市事例!
などを挙げた団体がある。

 小規模団体ほど「担当課のスペースを利用・転用」と回答した団体が多い。
また、大規模団体ほど
 ・「呼び出し順や待ち時間などが分かる電子掲示板を設置した」
 ・「フロアマネージャーを配置した」
 −> 豊島区、甲府市、狭山市など
と回答している。

6.情報システム
 ・「情報システムは変更しなかった」と回答した団体が約40%である。
 小規模団体ほど「情報システムは変更しなかった」と回答した団体が非常に多い(人口規模1万人以下町村で約61%)。

 ・「総合窓口化のため、既存の情報システムに改修を加えた」、
 ・「新たに総合窓口用の情報システムを導入した」、
団体を合計すると同様に約40%であり、総合窓口システムを導入した(又は導入する予定の)団体のうち、約半数が情報システムに関してなんらかの取組を実施している。
 その他として、
 ・「申請書作成用の端末を配置」
 −> 内田洋行・マイナンバー対応「記帳台」!
 ・「情報システムは今後刷新する」
などを挙げた団体がある。

7.その他
 ・証明書等に使用する公印の電子公印化
 ・住基カードの普及に力を入れて、諸証明の自動交付機を導入
 ・休日・夜間を単独で受付可能な窓口の開設
 ・手続き案内表(カルテ)を使った1 フロアでの窓口連携カルテ方式
 −> 甲府市、狭山市など
などを挙げた団体がある。

3.総合窓口システム導入の「目的」
 住民サービスの向上、行政事務の効率化という観点から設計した。
 ・「住民の待ち時間の減少・各課を回る手間の削減」
を重視した団体が極めて多い(98.3%)。
 その他の住民サービス向上に係る選択肢も重視した団体が多い。
 ・「職員の業務時間の削減」は、重視した団体が比較的少ない。

4.総合窓口システム検討・導入の「課題」
 ・「取扱業務の決定、業務処理・フロー等の見直し」
と回答した団体が77.0%と最も多い。
 ・「組織体制の整備、人員の確保」(約65%)、
 ・「研修実施や業務マニュアル整備」(約53%)
となる。
 その他として、
 ・「原課との日常的連携」
 ・「委託事業者の選定」
 ・「住民への周知」
などを挙げた団体がある。
 大規模団体(特に人口規模5〜50万人市区)ほど、
 ・「取扱業務の決定、業務処理・フロー等の見直し」
 ・「組織体制の整備、人員の確保」
と回答する団体が多い。

5.総合窓口システムの導入後の「効果」
 「総合窓口システム導入の目的」とほぼ整合的である。
 目的と効果の差異を見ると、
 ・「住民の待ち時間の減少・各課を回る手間の削減」
 ・「申請の抜け落ちや、誤申請の防止」
 ・「高齢者や障害者等に配慮した窓口レイアウトの実現」
については、目的として重視した団体の割合と、効果があったとした団体の割合がほぼ一致しており、目的どおりの効果を挙げている様子が分かる。
 ・「職員の業務時間の削減」
については、そもそも目的として重視する団体が少ないが、目的と効果の差が大きく、総合窓口システムの導入が職員の業務時間の削減には直接的にはつながっていないことがうかがえる。
 −>
*別の対策が必要である。
 窓口業務の受付件数の1/2以上を占める「証明書交付」の無人化対策が求められる。
 ・証明書自動交付機の導入
 −> 今後は減少しそうです。
 ・コンビニ交付
 −> マイナンバー「個人番号カード」利用で、コンビニ交付サービスは多くの団体が計画しております。
などが考えられる。
 一方、
 ・「身近な出先機関での諸手続の完了」
 ・「職員の業務知識、接遇意識の向上」
については、目的として重視した団体以上に効果があったとした団体が多く、当初目的とした以上の効果が上がっていることがうかがえる。

 その他の効果として、
 ・「異動繁忙時期の対応力の向上」
などを挙げた団体がある。

6.総合窓口システムを「導入しない・検討していない理由」
 ・「業務処理、フロー等の見直しが必要になるため」
 ・「人員を確保することが難しいため」
 ・「スペース捻出やレイアウト変更が難しいため」
が約40%となっている。
 その他として、
 ・「庁舎が小規模で1フロアで対応可能なため」
 ・「新庁舎を建設予定であり、現庁舎での実施は困難」
 ・「原課との業務分担が困難」
などを挙げた団体がある。

 小規模団体ほど
 ・「人員を確保することが難しいため」
 ・「現在の方式で十分であると感じているため」
と回答した団体が多い。
 また大規模団体ほど
 ・「スペース捻出やレイアウト変更が難しいため」
と回答した団体が多い。

7.総合窓口システムについての「意見」
1.総合窓口システムに対して、様々な課題を認識している(約140 団体)
 ・「担当課における配置スペースの捻出」
 ・「担当職員の教育」
 ・「複雑化している業務制度への習熟」
などに対する課題意見が挙げられている。

2.総合窓口システムの必要性が少ない小規模団体が多い(約80団体)
 特に小規模団体において、総合窓口の必要性を感じていないという意見が多く、特に人口規模1万人以下の町村では、総合窓口システムについて「検討していない」と回答し、かつ自由回答の記載があった団体のうち、約半数が必要性がないと感じている。
 ・「当町の窓口はコンパクトであり、1フロアで大体の用事は足りる状況である」
 ・「元々、一つの窓口で多くの事務を兼務している」
 ・「人口規模を考えると、総合窓口に複数の担当者を設置するほどの窓口業務のボリュームが無く、投資効果に見合うだけの住民サービスが得られない可能性がある」
といった意見が挙げられている。

3.「総合窓口システム」の定義が曖昧(約30件)
 小規模団体においては、庁舎レイアウトの関係などから、特に目立った取組をせずとも、
 ・「実質的に」総合窓口サービスを提供できている
という側面によるものと考えられる。

<考 察>
1.総合窓口システムの導入は、住民サービス向上に高い効果
 総合窓口システムを導入した団体に対して、導入前の目的と導入後の効果について、それぞれ「目的とした」「効果があった」と回答した割合を比較すると、
 ・「住民の待ち時間の減少・各課を回る手間の削減」
 ・「身近な出先機関での諸手続きの完了」
 ・「申請の抜け落ちや誤申請の防止」
など、主に住民サービス向上についての項目で、効果を感じた団体の割合が目的とした団体の割合を上回っている。また、
 ・「職員の業務知識、接遇意識の向上」についても同様である。
反面、
 ・「職員の業務時間の削減」
については下回っており、必ずしも行政事務の効率化につながっていない場合も多いことが分かる。
 総合窓口システムの効果は、行政事務の効率化より、住民サービス向上に高い効果を示していることが伺える。
 −> この課題対策が、情報化手段で解決へ!
2.小規模団体は、実質的に総合窓口サービスを提供できている団体が多数存在
 総合窓口システムへの取組は、小規模団体(主に町村)ほど少なく、特に人口規模1万人以下の町村では約70%が「検討していない」と回答している。

 また、検討していない理由として、小規模団体ほど
 ・「現在の方式で十分であると感じているため」
と回答している団体が多い。

 ・庁舎の1階に窓口と原課が配置されている、
 ・一人の職員が窓口を含む複数業務を担当している
など、
 ・「実質的な総合窓口」の状態にあることも大きな理由であると考えられる。

3.導入には業務面及び組織・人員面が主な課題
 総合窓口システム導入における課題として、
 ・「取扱業務の決定、業務処理・フロー等の見直し」
 ・「組織体制の整備、人員の確保」
といった、業務面及び組織・人員面の課題について回答した団体が多い。
 それに対し、業務面は「業務処理フローの見直し、改善」、組織・人員面は「原課職員の異動や兼務を実施」などの取組を実施している団体が多い。
 また、中・大規模団体(主に市区)においては、「臨時職員の採用」「民間委託」など、外力の活用により、人員を確保している傾向がある。

4.「情報システム」の窓口対応システムの構築が非常に重要である。
 総合窓口システムの目的は2つある。一つが住民サービスの向上、二つが行政事務効率の向上であろう。この二つの目的を共に実現する手段は、情報システムの構築以外にはありえない。
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(以上)

 6年前のアンケート調査ですが、現在市区町村が抱えている総合窓口サービスのあり方と大きな変化はないようです。

 しかしマイナンバー運用、特に2017年7月から実施予定の情報提供ネットワークシステムによる他団体との情報共有には大きな期待がある。

平成27年06月18日

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