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自治体IT革命の今日、明日
第195回 「地方自治体情報化とGIS、その1『GISとは』」

2016/12/12

 地方自治体のGISは、道路、上下水道、固定資産(土地家屋)、都市計画といった特定業務での利用や効率化を目的に構築されてきました。しかし、業務間、部署間で基盤情報が共有されていないことが多いため、データ間の不整合や維持費の重複投資が生じてきました。

〇GISとは
 GISとは「Geographic Information Systems(地理情報システム)」の略です。電子地図データとさまざまな情報を関連付け、地図上に表示させ、作図、編集、検索、分析などを行うシステムです。
・情報の表示
 電子地図を読み込んで画面に表示することができます。広範囲にわたる地図でも、一度に読み込んで、見たい場所へスピーディに移動したり、拡大・縮小することができます。
・情報の関連付けと管理
 地図上の図形とそれに付随する情報を関連付けて管理することができます。例えば、ある建物の電話番号を知りたい場合、地図上でその建物の図形を指定するだけで、電話番号を表示させることができます。
・情報の分析
位置に関する情報を使ってさまざまな分析ができます。例えば、一方通行や通行止めなどの道路交通情報を考慮して、ある区間の最短ルートを探したり、学区の再編や店舗の統廃合の検討に利用することができます。

〇利用分野は多岐に!
 GISは、行政業務、社会インフラ(道路、上下水道、電気、ガスなど)の維持管理、環境調査、地震・津波など自然災害の対策、森林・農地情報の管理、チェーン店の出店計画、エリアマーケティングなど、多岐にわたる分野で活用されています。

〇GISを利用するには
1.GISソフトウェア
 用途や予算に応じて、以下を決めていきます。
 ・市販のパッケージ製品またはフリー製品
 ・パッケージ製品をそのまま使うまたは開発キットを使ってカスタマイズする
 ・運用形態(スタンドアロンまたはクライアントサーバーまたはクラウドサービス)
2.データ(コンテンツ)
 GISで使用されるデータは、地図データと地図以外のデータに分けられます。
 ・地図データ
 デジタル化された地図データ。航空写真データもこれに含まれます。地図メーカーが販売している電子地図が主流ですが、国土地理院の数値情報やOpenStreetMapなど無償で提供されている地図データもあります。
 ・地図以外のデータ
 植生データや気象観測データ、道路や施設などの管理台帳データ、国勢調査データ、固定資産や顧客リストのデータ、携帯電話・スマートフォンや車両の位置情報などがあります。
3.データベース
 MS Access、MS SQL Server、IBM DB2、Oracleなど、地図データとそれ以外のデータを関連付けて格納するDBMS製品です。

 その後、統合型GISの利活用へ進展してきました。

〇統合型GISへ進展
・統合型GIS
 統合型GISとは、主に地方自治体内の部門(都市計画課、道路課、農地課、固定資産課など)において、使用する地図情報(道路、街区、建物、河川など)を統合・電子化し、一元的に維持管理することで、庁内横断型のデータ共用を可能にする仕組み(システム)のことをいいます。

・個別業務GIS
 個別GISは、主に地方自治体内で、道路、上下水道、固定資産、都市計画といった特定業務での利用や効率化を目的に構築された仕組み、あるいはこの仕組みの基盤技術として使われるGISアプリケーションのことをいいます。
 比較的低予算で業務効率や行政サービス向上の実現を見込めますが、業務間、部署間で基盤情報が共有されていないことが多いため、データ間の不整合や維持費の重複投資が生じる可能性があります。

・公開型GIS
 公開型GISは、庁内外のネットワーク上で、Webブラウザを通じてGISを利用可能にする仕組みのことをいいます。「WebGIS」と呼ばれることもあります。
 地方自治体のホームページ上で、防犯・防災情報(危険箇所・避難施設)、福祉・医療情報(福祉施設・病院)、公共物(学校・コミュニティセンター・市役所)、バス停の場所など生活に密着した情報を公開したり、住民からの意見・要望を受け付けることができますので、行政サービス向上や住民との相互コミュニケーションの実現に役立ちます。

〇コンテンツいろいろ
 以下は、EsriJapanサイトを参照。
  http://www.esrij.com/products/data-content/
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・広域地図
 株式会社ゼンリンの地図データなどを加工して、全国シームレスに整備した最新の背景地図データベースです。
プロフェッショナルによるフルチューニングが施されたジオデータベースとマップは、高速で美しい地図描画を実現しています。
・公共地図
 国土交通省国土地理院の数値地図(国土基本情報)、数値地図(空間データ基盤)、基盤地図情報(数値標高モデル)などを用いて、全国シームレスに整備した背景地図データベースです。あらかじめフルチューニングされているため高速で美しい地図描画を実現しています。
・街区レベル住所
 国土交通省の街区レベル位置参照情報、大字・町丁目レベル位置参照情報、総務省統計局の国勢調査 町丁・字等別集計から作成した住所データベースです。ArcGIS 標準のジオコーディング ツールから「住所検索」「バッチ ジオコーディング」「リバース ジオコーディング」 などの機能をご利用いただけます。 ・基本統計
 平成24年経済センサス 活動調査 町丁・大字別集計、平成22年国勢調査町丁・字等別集計(基本指標)、地域メッシュ統計(平成22年国勢調査と平成21年経済センサス基礎調査のリンク結果)、統計でみる市区町村のすがた 2016 を収録した統計データベースです。
・詳細地図
 株式会社ゼンリンの地図データなどを加工して開発された背景地図データベースです。
全国約 1,300 市区町村においては、道路の幅員や建物の形状までを表現した詳細図データを提供しています。高品質かつ高性能な背景地図をすぐにお使いいただけます。
・地形
 国土交通省国土地理院の基盤地図情報を用いて全国シームレスに整備された標高データベースで、地形解析、地形表現などにすぐに使用することができます。10mおよび5mメッシュ(一部地域のみ)数値標高モデル(DEM)と 10m間隔の等高線を収録しています。
・道路網
 住友電気工業株式会社の拡張版全国デジタル道路地図データベース(ADF)を加工して開発した全国道路ネットワーク データセットです。一方通行や右左折禁止、規制速度などの交通規制情報を含みます。ネットワーク解析に必要な設定も完了済みのため、ArcGIS での解析にすぐにお使いいただけます。
・住居レベル住所
 住居(号)レベルまでの全国約3千万件の住所データを格納した加工済み住所データベース(インクリメント・ピー株式会社版)です。ArcGIS 標準ジオコーディング機能を使用することにより、「住所検索」、「バッチ ジオコーディング」など各種住所ジオコーディング機能をすぐにご利用いただけます。
・住居レベル住所+都市地図パック
 住居レベル住所と、インクリメント・ピー株式会社製の都市地図データをセットにしたパッケージです。住居レベル住所の出力結果とぴったり重なる家屋形状入りの背景地図をご利用いただけます。
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(以上)

 次回以降、地方自治体でのGIS利活用事例を紹介したくおもいます。

平成28年12月08日

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