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自治体IT革命の今日、明日
第196回 「地方自治体情報化とGIS、その2『政策支援GISと官民データ活用推進基本法』」

2017/01/16

 「官民データ活用推進基本法」が成立、AIや IoTも法律で初めて定義
(日経BP 16/12/09)
 http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/tk/PPP/news/120800115/

 基本的な施策としては、行政手続きなどでのオンライン利用の原則化、国・自治体のデータの容易な利用(オープンデータ化)、マイナンバーカードの普及・活用などのほか、国・自治体のデータの活用を促すために、システムの規格整備や互換性確保、業務の見直しなどの措置を講じるとしている。 ・・・

〇官民データ活用推進基本法
・AI、IoT、クラウドを法律で初めて定義
 官民データ活用推進基本法は、国・自治体・民間企業が保有するデータを、AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングス)、クラウドなどの先進的なITも活用することで、少子高齢化が急速に進む中にあっても、地域経済の活性化や新ビジネスの創出、国際競争力の強化などによって、活力ある社会を実現することを目的としている。

 ITインフラの整備を主眼に2001年に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)がクラウドやAIを想定していなかった点を補完するとともに、マイナンバー法や改正個人情報保護法、サイバーセキュリティ基本法のようにデータを保護するための法整備を優先したことで後手に回っていたデータの「利活用」のための環境を整える狙いがある。

 AIは「人工知能関連技術」として、「人工的な方法による学習、推論、判断等の知的な機能の実現及び人工的な方法により実現した当該機能の活用に関する技術」と定義。またクラウドは「クラウド・コンピューティング・サービス関連技術」として、「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機(入出力装置を含む)を他人の情報処理の用に供するサービスに関する技術」と定義した。
 残るIoTの定義はかなり長い。「インターネット・オブ・シングス活用関連技術」として、「インターネットに多様かつ多数の物が接続されて、それらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の活用に関する技術であって、当該情報の活用による付加価値の創出によって、事業者の経営の能率及び生産性の向上、新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらし、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するもの」という定義である。

 都道府県に対しても、官民データ活用の推進施策に関する基本方針などを定めた「都道府県官民データ活用推進計画」の策定を義務付けた。
 負担軽減の観点から市町村は努力義務としたが、政令市には事実上の義務となりそうだ。自治体は施策の策定・実施に関して、官民データ活用推進戦略会議に対して情報提供などの協力を求めることができ

・基本的な施策
 1.行政手続きや民間取引でのオンライン利用の原則化(デジタルファースト)
 2.国・自治体のデータの容易な利用(オープンデータ化など)
 3.マイナンバーカードの普及・活用など
を掲げた。個人・法人の権利利益と国の安全の確保を前提に、データ活用のグレーゾーンをなくして無用な萎縮を排除し、企業や行政機関がデータを積極的に活用して効率・生産性を高められるようにしていく。

・データ活用の阻害要因を取り除けるか
 2017年春の施行が見込まれる改正個人情報保護法では、個人の権利利益を保護したままデータ活用を進めるために、「匿名加工情報(非識別加工情報)」を新規に定義したが、自治体の条例にはない概念である。
 現行の法制度では、各自治体が議会で条例改正を終えるまでは、自治体が保有する個人データを全国規模で活用することはままならない。

〇政策支援GISとオープンデータ化
・室蘭市、自治体全庁型統合GISの稼働からオープンデータ公開まで1年半で実現
 http://www.esrij.com/industries/case-studies/69539/

 「基本的に、市は情報の透明性を重視する方針であり、しかも税金で作ったデータですから、個人情報など公開すべきでないデータ以外は公開するのが当たり前なんです。」 ・・・

・浦安市、各課が集めた様々な地図データを統合。政策支援GIS活用の取組み
http://www.esrij.com/industries/case-studies/13821/

 政策支援GISに欠かせない3つの情報「基本情報・業務情報・市民の声」

 この政策支援GISの構築が東日本大震災の状況把握や分析で生かされた。
 平成12年度に地図の共有化の為「共用空間データベース」を整備し、庁内の統合型GIS利用を開始した。平成15年度には、統合型GISと住居表示台帳システムを連携させ、GIS上の家屋データと住居表示番号を対応させた「アドレスマッチング機能」を追加し、統合型GISと住民記録システムとの連携を可能とした。
 これにより、今まで利活用の主であった土木や建設、都市計画部門以外に教育や環境、福祉部門など全庁にGISが広がり、都市計画図整備時に毎年更新している道路や土地、建物の情報を利用することが可能となったため、大幅な経費を削減することができた。・・・

 皆様方にとりまして、本年がさらに素晴らしい年でありますことを祈念申し上げます。

平成29年01月12日

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