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自治体IT革命の今日、明日
第205回 「21世紀の電子自治体、その1『分権とIT革命』」

2017/10/02

 24節気の「秋分の日」も過ぎました。夜の時間が少しづつ長くなります。
 今回からは、「21世紀の電子自治体」と題して2001年01月時の話題を振り返ってみます。今から17年も前の話題です。
 電子自治体という言葉が出てきたのが2000年で、以来17年が経過しました。

 地方自治体にとって21世紀のキーワードは、「分権」と「IT革命」です。横須賀市の沢田秀男市長(当時)の言葉です。
 機会の平等としての分権は、地域格差が拡大する可能性を残すということです。インターネットが生活革命をもたらし、住民の知的ニーズという欲求に応える行政サービスが求められるということです。

○2000年の行政・IT関連ニュース
 2000年は様々なニュースがありました。行政関連、IT関連の事件等を月別に追ってみました。
1.Y2K問題大きな問題起きず
2.霞ヶ関Webサイト改ざんされる、セキュリティの甘さ露呈する
3.ウイルス(アイ・ラブ・ユウ)等セキュリティ対策浮上する
4.電子署名法成立、2001年4月施行へ
 −> マイナンバーカードに実装されている「公的個人認証サービス」の根拠法令です。
5.IT沖縄サミット開催
6.電子自治体実現へ自治省指針発表(8月28日)
 −> 電子自治体関連の最初の指針です。9つの指針で構成されていました。
7.個人情報保護法大綱案発表される、プライバシー保護対策へ前進
8.IT基本戦略策定、IT基本法成立
 −> 電子政府・電子自治体などITにまつわる基本法です。 −> 参照 <参考>
9.iモード等加入者2、400万人超える
10.ネット料金の低廉化進む、フレッツISDN運用開始。
  CATV・xDSL・FTTH等ブロードバンド化進む。

 2001年は、『電子政府』の滑走の時期と位置付けられる年であります。法基盤の整備が大半は終り、いよいよ離陸・施行の年となります。一方、『電子自治体』はこれからエンジンをかけなければならないでしょう。まずは基盤整備です。

○IT革命の主役は市民社会
 2000年は、IT基本法が成立し、IT基本戦略も策定されました。国を挙げてのITへの取り組みとも見えます。ITの基本になるパソコンやインターネットは、国の中央集権制からもっとも遠い分権・分散システムであり、IT革命の主役は市民社会であるはずです。
 地方分権一括法が2000年4月から施行されています。分権社会の推進をどう進めるかは、地方自治体のみならず、地域住民自身の課題でもあるはずです。

○下田博次(群馬大学社会情報学部大学院研究科教授)談話(2000年12月25日の毎日)
『IT革命の原動力はインターネットだ。そのインターネットが実現したのは、市民社会のネットワークだ。つまり、もっとも中央集権から遠く離れた、分権的、分散的ネットワークが構築されて、そのネットワークを活用してIT革命が進んでいる。
 それを日本では、通信インフラも国が作る、ベンチャービジネスも税金で育てる、デジタル・デバイド(情報格差)問題も税金で解決すると、行政が正面に出て、中央集権的に進めようとしている。IT革命の本質はソフトウエアだ。それをハードウェア時代の工業化の発想や産業政策でまかなおうとしている。
 インターネットと、その端末であるパソコンの思想とは何かといえば、個人のパワーアップであり、市民ネットワークだということになる。
 高額な大型コンピューターを購入できない個人向けのネットワークであるからこそ、多くの人々が参加し、より使いやすいものに育て、無料でソフトウェアをやりとりするようになった。その出自からいって、インターネットは金儲けの手段ではなかったのだ。
 しかし、貧しい個人ゆえに最小のコストで最大の効果を追求していくうちに、効率を求める経済社会にとってもインターネットは有用なものとなり、IT革命が叫ばれるようになった。とすれば、IT革命は同時に、インターネットが持つ思想や文化への適応を日本人に迫ることになる。この革命の最大の意味は実はそこにあるのかもしれない。』

 この後に、様々なIT関連の戦略が公表されます。次回以降のテーマです。

平成29年09月28日

<参考>
・IT基本法

1名称
 高度情報通信社会形成推進基本法
2目的
 情報通信通信技術の活用により世界規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の転換に対処することの緊要性にかんがみ、高度情報通信社会の形成に関し、基本理念、基本方針その他の施策の基本となる事項を定めるとともに、高度情報通信社会推進戦略本部を設置することにより、高度情報通信社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進すること
3基本理念
・高度情報通信社会形成の意義
 すべての国民が、高度情報通信ネットワークを容易に利用できるようになることにより、その創造的で自由かつ多様な活動、交流等の機会が拡大され、高度情報通信技術の恵沢があまねく享受され、活力ある成長発展が可能な社会を実現
4施策の基本方針
 1.世界最高水準の高度情報通信ネットワークの整備
 2.国民の教育・学習の振興及び専門的人材の育成
 3.規制の見直し、新たな準則の整備、消費者の保護を通じた電子商取引の促進
 4.行政の情報化の推進及び公共分野の情報化
 5.高度情報通信ネットワークの安全性の確保、個人情報の保護等
 6.研究開発の推進、成果の普及
5重点計画
 高度情報通信社会推進戦略本部による重点計画の策定
 1.高度情報通信ネットワークの整備に関し政府が講ずべき施策
 2.高度情報通信技術に関する教育及び学習の振興
 3.電子商取引の普及の促進
 4.行政その他の公共分野の情報化の推進
 5.安全性及び信頼性の確保
 6.その他
6高度情報通信社会推進戦略本部
7責務
 国の責務
 地方公共団体の責務
 国民の責務
8法制上の措置等
9統計資料等の公表
10附則
(以上)

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