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自治体IT革命の今日、明日
第206回 「21世紀の電子自治体、その2『自立と分権』、現在の情報産業と今後の地方行政を考える」

2017/11/13

 今年も残すところ2カ月を切りました。七日は24節気の「立冬」です、この日から立春の前日までが冬。日は短くなり時雨が降る季節。北国や高山からは初雪の知らせも届き、関東では空っ風が吹く頃。
 今回は、「21世紀の電子自治体」と題して、2001年02月時の話題を振り返ってみました。

(前回より)
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 機会の平等としての分権は、地域格差が拡大する可能性を残すということです。インターネットが生活革命をもたらし、住民の知的ニーズという欲求に応える行政サービスが求められるということです。
○2000年の行政・IT関連ニュース
 2000年は様々なニュースがありました。行政関連、IT関連の事件等を月別に追ってみました。
1.Y2K問題大きな問題起きず
2.霞ヶ関Webサイト改ざんされる、セキュリティの甘さ露呈する
3.ウイルス(アイ・ラブ・ユウ)等セキュリティ対策浮上する
4.電子署名法成立、2001年4月施行へ
 −> マイナンバーカードに実装されている「公的個人認証サービス」の根拠法令です。
5.IT沖縄サミット開催
6.電子自治体実現へ自治省指針発表(8月28日)
 −> 電子自治体関連の最初の指針です。9つの指針で構成されていました。
7.個人情報保護法大綱案発表される、プライバシー保護対策へ前進
8.IT基本戦略策定、IT基本法成立
 −> 電子政府・電子自治体などITにまつわる基本法です。 −> 参照 <参考>
9.iモード等加入者2,400万人超える
10.ネット料金の低廉化進む、フレッツISDN運用開始。
  CATV・xDSL・FTTH等ブロードバンド化進む。
○IT革命の主役は市民社会
 2000年は、IT基本法が成立し、IT基本戦略も策定されました。国を挙げてのITへの取り組みとも見えます。ITの基本になるパソコンやインターネットは、国の中央集権制からもっとも遠い分権・分散システムであり、IT革命の主役は市民社会であるはずです。
 地方分権一括法が2000年4月から施行されています。分権社会の推進をどう進めるかは、地方自治体のみならず、地域住民自身の課題でもあるはずです。
○下田博次(群馬大学社会情報学部大学院研究科教授)談話(2000年12月25日の毎日)
『IT革命の原動力はインターネットだ。そのインターネットが実現したのは、市民社会のネットワークだ。つまり、もっとも中央集権から遠く離れた、分権的、分散的ネットワークが構築されて、そのネットワークを活用してIT革命が進んでいる。
 それを日本では、通信インフラも国が作る、ベンチャービジネスも税金で育てる、デジタル・デバイド(情報格差)問題も税金で解決すると、行政が正面に出て、中央集権的に進めようとしている。IT革命の本質はソフトウエアだ。それをハードウェア時代の工業化の発想や産業政策でまかなおうとしている。
 インターネットと、その端末であるパソコンの思想とは何かといえば、個人のパワーアップであり、市民ネットワークだということになる。
 高額な大型コンピューターを購入できない個人向けのネットワークであるからこそ、多くの人々が参加し、より使いやすいものに育て、無料でソフトウェアをやりとりするようになった。その出自からいって、インターネットは金儲けの手段ではなかったのだ。
 しかし、貧しい個人ゆえに最小のコストで最大の効果を追求していくうちに、効率を求める経済社会にとってもインターネットは有用なものとなり、IT革命が叫ばれるようになった。とすれば、IT革命は同時に、インターネットが持つ思想や文化への適応を日本人に迫ることになる。この革命の最大の意味は実はそこにあるのかもしれない。』
<参考>
・IT基本法
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(以上)

○ECビジネス、IT化の領域と支える技術
 民間企業におけるECビジネスとは、一般的に以下の事業領域のIT化が考えられています。
 1.カストマーとの接点 「顧客満足度の向上策」
 2.サプライヤー、パートナーとの接点 「ビジネスの協業策」
 3.社員との接点 「情報共有による生産性向上策」
 4.販売活動全般
 5.データ・情報
 6.商品・サービス
 今風に言えば、CRM、SCM、KM・EIP、ERP・One2One、DSS・DWH・DM、VA等などの情報戦略的ツールが活用されます。全ての領域において、Web活用のビジネスプロセスを革新することでもあるのです。これらを”現実の形”にすることがECビジネスに生き残る道でもあるのです。カストマー、サプライヤー・パートナーそして販売活動全般のIT化は、情報環境の全く異なった者とのネットワーク化が必要なのです。
 過去の”社内またはグループ内の情報化”は、同一技術基盤の上に成立っておりました。ハードウェアメーカー、ソフトウェアメーカーが統一されていることが条件でもあったのです。
 現在はどうなのでしょう。異なる情報環境企業同士が、提携・パートナー化され、更に相互にネットワーク化されることが必要になりました。そこには、下記の条件の技術の導入が必要になってきました。
 1.ハードウェアに非依存
 2.ソフトウェアに非依存
 3、オペレーティングシステム(OS)に非依存
 4.データベース(DB)に非依存
 5.言語に非依存
 6.アプリケーションに非依存
 7.Web対応

 これらの条件を満たした技術が、『XML』であり『Java』なのです。
 ECビジネス実現の情報技術は、行き着くところ『Web』と『XML』と『Java』であり、これらをどう活用するかにたどり着くということです。

・XMLとJava言語
 XMLは1998年、W3Cによって標準化されたデータ形式です。Javaは、1995年5月にサン・マイクロシステムズ社(当時。現オラクル社)が発表、その後98年にJava2(JDK1.2)が正式公開され現在の地位に至っています。

○市町村行政の電子化へ向けて
 電子自治体とは、『インターネットを利用した自治体の手続の電子化』を言います。民間企業間におけるECビジネスは「B2B」形態ですが、行政の電子化形態は「G2B」、「G2C」そして「G2G」の形態ビジネスと考えられます。「G2B」、「G2C」の形態は、まさしく民間のビジネス形態そのものであります。利用される、活用される技術は、『Web』と『XML』と『Java』であることは当然の理であります。

・電子自治体におけるIT化の事業領域とは
 1.カストマーとの接点、
 2.サプライヤー、パートナーとの接点、
 3.社員との接点、
 4.販売活動全般、
 5.データ・情報、
 6.商品・サービス
は、次のように言い換えることが出来るでしょう。
 1.地域住民との接点のIT化
 2.地域企業・NPO・SOHOなど調達先企業、NPO・オンブズマンなど行政参加型住民などとの接点のIT化そして行政間の情報共有環境のIT化
 3.職員間庁内情報共有環境のIT化
 4.行政サービス全般のIT化
 5.行政文書管理など行政情報のIT化
 6.行政サービスのマーケティング戦略のIT化

○分権とは、非依存の意識革命『自立』!
 分権社会における地方分権、住民分権とは、国・政府から自立した市町村、市町村・行政から自立した地域住民を言うのでしょう。過去を捨て今後の非依存の自立が求められます。その為には、組織効率・経営効率の追求が必要であります。その手段としての情報化・IT化は避けて通れないようです。

 情報産業・コンピュータ産業における『Web』『XML』『Java』等技術は、既存大企業(ホスト企業)から自立し、クライアントへの奉仕者(サーバー企業)としての地位についています。ボランティア産業・企業そのものであります。技術はオープンであり、誰もが使用可能な技術に成長してきたのであります。21世紀を支えるIT文化にもなりえるでしょう。

 これからの地方自治体のサービス提供手段としての情報化・IT革命は、まさしくすぐ其処に来ているようです。自立した『個民』への選択肢を増やすサービスが求められているのです。レガシーシステムを大切にした上で、新たな技術活用に躊躇してはならないのです。IT技術を通じ、行政経営の戦略化が、今求められているのです。CIOの存在が行政にも必要な理由がそこにあるのです。
(2001年02月のメルマガより)

 分権は自立を促します、そこには地域格差が拡大する可能性が残ります。また市町村・行政から自立した地域住民のこととも言えます。過去を捨て今後の非依存の自立が求められます。その為には、組織効率・経営効率の追求が必要であります。その手段としての情報化・IT化は避けて通れないようです。

 16〜17年前の話題です。電子自治体におけるIT化の事業領域は現在と大きな差異はないようです。

平成29年11月08日

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