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自治体IT革命の今日、明日
第208回 「地方行政におけるナレッジマネージメント(KM)、その1『情報共有とKM』」

2018/01/15

 明けましておめでとうございます。
  本年も変わらぬご愛読のほどお願い申し上げます。

 1月5日は24節気の「小寒」です。この日から節分までを「寒(かん。)」と言い、この日を「寒の入り」とも言う。暦の上では冬の寒さが一番厳しい時期となる。

 今回は、2002年12月から2003年にかけての記事から抜粋しました。15年前のテーマは現在のテーマでもあります。LGWAN、番号制度における情報提供ネットワーク(情報連携)&マイナポータルへとつながってきました。

1.IT活用による戦略的行政経営
 日本経済のこの11年間は、経済構造の変革の期間であった。この間、経営者は、“改革なき情報化投資はたんなる経費増”であることを学んだ。
 IT革命の意味するところは、構造改革(機構改革と制度改革を含む)を前提とした情報化投資の結果としての成功イメージを示しているわけである。
 一般的にシステム化・情報化という時には、二つの軸(ここではX軸、Y軸という)からのアプローチが考えられる。X軸には、プロセスの自動化を、Y軸には、情報の共有化を定義する。行政の情報化という世界に置き換えると、プロセスの自動化は、行政サービスの高度化と言い換えることが出来る。情報の共有化は、“革命的な”行政事務の効率化と言い換えることが出来る。過去、国・地方自治体という行政間においては、『情報の共有』というシステム化アプローチはとられなかった。組織内の効率化という目標を掲げても、この情報の共有化というアプローチにメスを入れないことには、現状の機構・制度を前提での、単なる内なる事務改善だけとなる。改革という発想が欠如している訳である。

 行政の情報化を考えるにあたり、情報の共有化軸を整理してみる。
最近、構造・機構改革と一体化した戦略的IT活用によってのみ、情報化投資の効果が享受できることが理解されてきている。すなわち、改革無き情報化投資は単なるコスト増であることが実証されてきたのである。
 行政改革、行政内部の改革(改善ではない。)のIT活用の一手段が情報の共有化である。

2.行政における情報共有とは
1.情報共有
 一般的に情報という言葉には、経営活動にまつわる数字としての「データ」、(更には、メッセージを付加した「情報」と細分類する考えもある。)データを組織として解釈した「知識」、データに対する組織としての反応の仕方である「ノウハウ」という3つのレベルが存在する。情報の共有化には、データレベルでの共有、知識レベルでの共有そしてノウハウレベルでの共有が考えられる。
 ナレッジの共有とは、「知識」「ノウハウ」のレベルでの共有をいう。そこには、「データ」に対する組織としての共通認識と共通反応が存在する。
2.ナレッジマネージメント
 個人所有のデータ・情報を、組織の活用までに昇華させることがKMである。
 情報共有化の高度化に伴い「ナレッジマネージメント」が実現できる、と一般に言われる。システム化においては、次のようなアプローチを取るべきである。
 a データの共有とアクセス手段EIP(Enterprise Information Portal)の提供
 b BBS(掲示板)など解釈を共有する場の設定
 ここでは、データ、知識レベルは統一的な形式化を、しかしノウハウは暗黙知として自由形式(ビジュアル化など)とすることが重要である。
 c M/L(メーリングリスト)・会議室など同一価値を持つ個人間ネットワークの推進によるネットワークコミュニティ創り
 d 組織・企業間ネットワークの推進によるバーチャルコーポレーション(広域行政体)の創造
3.情報共有のパートナー
 一方、共有化のパートナーにはどういう層が考えられるか。
 a 国民・地域住民との情報共有
 b 国・政府及び他団体との情報共有
 c 庁内の情報共有
 d 職員間の情報共有
が考えられる。ここでもシステム化のアプローチの順序がある。
 庁内職員間での情報共有(d)が実現できた暁に、庁内全体での共有化環境(c)が出来上がる。その上で、他団体との情報共有(b)が可能であり、霞ヶ関WANとの共有環境整備が可能となる。行政における“一つ”の行政情報の共有化が完成するわけである。ここに、総合行政ネットワーク(LGWAN)の世界が存在してくる。
 国民・地域住民との情報共有化は、別の課題として検討する必要がある。地方分権の推進、住民自治の実現などは、地方自治体における行政サービスの高度化の課題に譲る。が電子自治体の究極には、この国民・住民との情報共有環境整備が大きな課題であることは認識する必要があろう。

 番号制度における、情報提供ネットワークとマイナポータルが実現する社会が、やっとそこまで来ているようです。
 b国・政府及び他団体との情報共有は「情報提供ネットワーク」にて、そしてa国民・地域住民との情報共有は「マイナポータル」で実現です。15年という長い時間がかかりました。

平成30年01月11日

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