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自治体IT革命の今日、明日
第209回 「地方行政におけるナレッジマネージメント(KM)、その2『行政組織改革とナレッジマネージメント(KM)』」

2018/02/13

 2月4日は「立春」でした。”冬が極まり春の気配が立ち始める日”といわれ、この日から立夏の前日までが春。まだ寒さの厳しい時期ではあるが日脚は徐々に伸び、九州や太平洋側の暖かい地方では梅が咲き始める頃である。

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・ナレッジマネージメント(KM)の歴史
 1970年代の組織論の研究に遡り、組織の意思決定・グループダイナミックスをテーマにした議論が起こる。その後、80年代の情報技術の進歩、特にコミュニケーションツール、コラボレーションツール及びインターネット・イントラネットの進展に伴い急速に組織に導入され始めた。メーカー・ソフトベンダーは「グループウェア」を開発発表し、更なる拍車がかかる。
 1990年代、更なるITの進歩が推進力となる。SFA・モバイル、DWH・DM(データマイニング)、コールセンター・コンタクトセンター、FAQ等などのITツールが世の中に出現する。
 1990年米国学会にて、野中郁次郎理論(SECIプロセス)が米国企業に受け入れられ、理論的にも「ナレッジマネージメント」が確立する。
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○ナレッジ(知的資産)とは
 第4、第5の経営資源としての「『情報』そして『ナレッジ』」と言われる。
ナレッジは、以下のように分類される。
1.データ
 素材。事実の統計数字、定量的な数字情報。
2.情報
 データをもとに目的をもって整理加工され、意図を伝えるもの。
3.知識
 作成された情報を分析し、洞察を加えたもの。価値を生み出す材料となる。
4.知恵(ノウハウ)
 知識をもとに、個人の応用力・適応力を用いて価値を創造する源泉となる。

 140余年にわたる官僚組織・行政組織が、以下の代表的な組織でもある。
○組織の非効率原理
・組織の階層化が進み、組織内の情報伝達コストが上昇する
・中間管理層で、情報操作が加わり、多くの障壁を造り上げる
・報酬は成果と結びつかず、組織の都合に調整される
・起業精神は起こりづらく、横並び主義が主流となる
等、「組織の非効率原理」が組織活動を支配するようになる。

 上位下達という一方通行の情報のみしか存在し得なかった・・・官僚的組織
○官僚的組織の過去の栄光は?
・階層的組織(中央集権制)
・稟議制(起案・決裁制度)
・保護政策・規制政策
・横並び主義
等といわれている。併せて、官尊民卑を受け入れた一般的日本人と彼等への支配感を持った“お上”“お役人様”が存在した。ここには、上位下達という一方通行の情報のみしか存在し得なかった。
 この組織風土には、知的生産性向上に対してブレーキが働く。上位下達には、「問題解決・意思決定の有効手段となる『情報共有』システム」を是認する行動が伴わない。
 組織の現状機能を改革せずに、情報化・システム化は投資効果が期待できないことは、多くの人間が認識はしている。
 これら長期にわたる組織的課題の解決策の一歩としてKMの検討が始まる。

○自治体でKMが求められる背景とは
・個人主義・縦割り組織の打破
・世代間断絶の緩和
・自律型・創造的職員の形成
・住民サービスの改革
・行政風土の改革
等と言われる。

○組織改革の第一歩は知識情報の共有
 新たな地方行政が求められている現在、地域住民への行政サービス向上(サービスイノベーション)、業務効率の向上(プロセスイノベーション)そして何よりも重要な“人を活かす自治体経営”として「組織の知恵・ナレッジを行政経営に活用」というテーマが浮上している。『ナレッジイノベーション』である。
1.人を活かす自治体経営(ナレッジイノベーション)
 組織改革を前提とした、組織の知恵・ナレッジを行政経営に活用することである。
2.地域住民への行政サービス向上(サービスイノベーション)
3.業務効率の向上(プロセスイノベーション)
4.人材開発(パーソナルイノベーション)

 今回は、2002年12月から2003年にかけての記事から抜粋しました。15年前のテーマは現在のテーマでもあります。

平成30年02月08日

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