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自治体IT革命の今日、明日
第210回 「地方行政におけるナレッジマネージメント(KM)、その3『ナレッジの創造と共有の仕組みづくり』」

2018/03/12

 3月6日は「啓蟄」でした。”冬籠りの虫が這い出る”という意味です。“大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ”と言われます。

 今回は、岐阜県の「情場理論」について。
○岐阜県「情場理論」と「知識創造自治体」

(前回より)
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・ナレッジマネージメント(KM)の歴史
○ナレッジ(知的資産)とは
○組織の非効率原理
・組織の階層化が進み、組織内の情報伝達コストが上昇する
・中間管理層で、情報操作が加わり、多くの障壁を造り上げる
・報酬は成果と結びつかず、組織の都合に調整される
・起業精神は起こりづらく、横並び主義が主流となる
○官僚的組織の過去の栄光は?
・階層的組織(中央集権制)
・稟議制(起案・決裁制度)
・保護政策・規制政策
・横並び主義
 => 官尊民卑を受け入れた一般的日本人と彼等への支配感を持った“お上”“お役人様”が存在した。ここには、上位下達という一方通行の情報のみしか存在し得なかった。
 この組織風土には、知的生産性向上に対してブレーキが働く。上位下達には、「問題解決・意思決定の有効手段となる『情報共有』システム」を是認する行動が伴わない。
 組織の現状機能を改革せずに、情報化・システム化は投資効果が期待できないことは、多くの人間が認識はしている。
○自治体でKMが求められる背景とは
・個人主義・縦割り組織の打破
・世代間断絶の緩和
・自律型・創造的職員の形成
・住民サービスの改革
・行政風土の改革
○組織改革の第一歩は知識情報の共有
 新たな地方行政が求められている現在、地域住民への行政サービス向上(サービスイノベーション)、業務効率の向上(プロセスイノベーション)そして何よりも重要な“人を活かす自治体経営”として「組織の知恵・ナレッジを行政経営に活用」というテーマが浮上している。『ナレッジイノベーション』である。
1.人を活かす自治体経営(ナレッジイノベーション)
 組織改革を前提とした、組織の知恵・ナレッジを行政経営に活用することである。
2.地域住民への行政サービス向上(サービスイノベーション)
3.業務効率の向上(プロセスイノベーション)
4.人材開発(パーソナルイノベーション)

 今回は、2002年12月から2003年にかけての記事から抜粋しました。16年前のテーマは現在のテーマでもあります。
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(以上)

 1990年米国学会にて、野中郁次郎理論(SECIプロセス)が米国企業に受け入れられ、理論的にも「ナレッジマネージメント」が確立する。

○創造的組織の要件
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・野中郁次郎教授(当時一橋大学)は、創造的組織の要件を以下のように言われる。
(1)SECIプロセス(4つの知識変換スパイラル)が展開されている。
(2)「場(ば)」「SECIプロセス」「知識資産」の3層プロセスによる知識創造が回っている。
(3)それぞれの知識変換を引き起こす引き金(トリガー)を持っている。
(4)知識創造を促進する次の条件を、組織が備えている。
  1.組織の「意図」
  2.メンバーの自律性
  3.ゆらぎと創造的カオス(混沌)
  4.情報の冗長性
  5.外部環境の複雑性に応じた最小有効多様性
(5)ボトムの現場情報とトップのビジョンをミドルが統合する、『ミドル・アップダウンマネジメント』が展開されている。
(6)通常組織とプロジェクト・チーム
  ハイパーテキスト型組織が構築されている
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 なかなか困難な要件である。

(KMの環境整備(NRI「経営を可視可するナレッジマネージメント」)より抜粋編集)

〇「ナレッジの創造と共有の仕組みづくり」
 行政組織において、ナレッジの創造と共有の仕組みづくりには、以下の3つの環境整備が求められる。
 1.ナレッジマーケット整備
  「経営を可視化するナレッジマネージメント」実現には、
  ・組織知としての「ナレッジの保管庫」
  ・「市場の参加者」同士を結びつける「ナレッジガイダンス」・・・が必要。
 2.ナレッジマーケットを支える7つのマネージメント基盤
 3.ナレッジコミュニティの形成

「ナレッジコミュニティ」とは

(平成14年(2002年)12月の原稿です。)
 コンピュータネットワーク関連技術は、16年前と比べ大きく変化し進歩しています。特に「AI(AI技術)」の進歩には目を見張るものがあります。

 梶原知事(当時)の「情場理論」には、学ぶべき事が多いですね!
◎岐阜県「情場理論」と「知識創造自治体」
 1.情場理論
 2.創造的組織
 3.創造的組織となる為の方策
 4.KM導入の提言

 梶原岐阜県知事(当時)の「情場理論」について。今回は 1.情場理論とは 2.創造的組織 について。

○岐阜県「情場理論」と「知識創造自治体」
・情場(じょうじょう)とは
 岐阜県(梶原知事)は、97年から「ナマレッジマネージメント」について研究を重ねてきた。野中一橋大教授の「SECIモデル」を参考としながら、自治体版KMの必要性を説く『情場理論』として纏め上げた。
 農業革命・農業社会における“農場”という生産の場、産業革命・工業社会における“工場”という生産の場が存在した。
 IT革命・情報化社会という現在は、「知恵」という知識創造の場が求められるのは過去の知恵が教えてくれる。これこそが、“情場”という生産の場である。
 すなわち、「知恵」を生み出す「場」を意味し、情報社会における情報生産の重要性を強く認識した概念(情報価値の生産現場)で梶原拓岐阜県知事(当時)が提唱しているものである。

1.情場理論とは
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 平成13年度に、「個人の知識を組織の知識として活用する」ナレッジマネージメントの理論と導入事例について1年間学んだ18人の職員を行政ナレッジ・マネジメントマイスター(以下「行政KMマイスター」という。)として認定しました。
 また、これまでも平成9年度から「情場理論」を研究してきており、本県の地域戦略の基本であるこの情場理論の目指す「知恵の創造」を実践できる人材として「行政KMマイスター」を、毎年、養成することとしています。

 行政KMマイスターは、それぞれが決めたテーマに沿って各職場でこれを実践することにより、内からの改革を進めます。そして、地域の個性や実状を踏まえ、住民のニーズと時代にあった政策を住民とともに創造していく知識創造自治体へと岐阜県を変革していきます。これは、全国的にも先進的な取組で、注目を集めているものです。
(当時の岐阜県Webサイトより抜粋編集。)
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・組織における“情場”には何が求められるのか?
 情場理論の「交流」「連帯」「創造」は、地域(組織)の創造性を高める基本であり、次の3点が“情場”そのものであり、地域(組織)の創造性を高める基本となる。
 1.交流(情報収集、人脈形成)、
 2.連帯(情報の共有、共通の目的)、
 3.創造(前向きの姿勢、柔軟な発想)、

2.創造的組織
・情場理論における「創造的組織の10の要件」とは
 1.異質な情報を広く取り入れている。
 2.ホット情報(スキンシップ情報)とクール情報(メディア情報)の双方を取り入れている。
 3.「人脈」「地脈」「電脈」のネットワークを十分に活用している。
 4.上下や横の垣根を作らない「ボーダーレス」「水平ネットワーク」「カジュアル」な組織である。
 5.自由に意見を交換できる交流拠点としての「溜まり場」がある。
 6.目的、情報、行動、感動が「共有」されている。
 7.「協働」と「競争」の双方の原理が働いている。
 8.知識の組織化が図られている(イントラネット等)。
 9.「ペアシステム」が導入されている。
 10.減点主義よりプラス評価主義が採用されている(失敗の許容、実験主義)。

 皆様方の市町村においては、いくつの項目に自信を持って発言できるでしょうか。
 勿論、岐阜県においても、4.、5.、10.の項目については、多くの職員が未達成であることを認識している。
(職員アンケートによると、4.は59.4%、10.は51.2%、5.は46.5% の職員が否定的な回答をしている。)
 今後の解決すべき課題として「行政KMマイスター」の重要なテーマである16年前のことです。現在とは大分様相が変わっています。facebookなどSNSの活用により広域的組織の「情場」が形成されつつある。

平成30年03月08日

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