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自治体IT革命の今日、明日
第213回 「電子自治体とAI、その2『RPAとAIの機能の差』」

2018/06/11

 6月6日は24節気の「芒種」です。「芒」とはイネ科植物の穂先にある毛のような部分のことで、稲などの穀物の種をまく時期という意味です。田植えの目安とされ、農家が忙しくなる時期。梅雨入りも間近で少し蒸し暑くなってくる頃です。関東地方も6日に梅雨入りしました。

 前々回(第 211回)に続き、「地方自治体とAI」をテーマにお話を進めようと考えております。

(以下の原稿は、下記記事を抜粋・編集しました。)
◎RPAとAIの境界線を理解、自動化できる機能の限界を知って活用せよ
(日経BP 18/04/13)
 http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atclact/active/17/040900266/040900001/?act05

〇RPAとは
 RPAについてガートナーは、
「ユーザーインタフェース上の操作を認識する技術とワークフローの実行を組み合わせることで、人間が各種アプリケーション上で実行する『手作業』を模倣し、各種アプリケーションを介して、システム間で構造化データを自動的に移動・入力するよう設計されたソフトウエアの総称」と定義している。

・RPAの対象業務
 「IT業務」が最も多く、「顧客管理」「生産管理」「財務・会計」「人事・給与・福利厚生」がそれに続く。

・RPAソリューションを提供するベンダー
 専業ベンダーと非専業ベンダー、IT/BPOサービスプロバイダーの三つに大別。
1.専業ベンダーにはAutomation AnywhereやBluePrism、UiPath、RPAテクノロジーズ(BizRobo!)などがある。
2.非専業ベンダーでは、コールセンターソリューションを提供してきたNiceやビジネスプロセスマネジメントソリューションを提供してきたPegasystems、NTTアドバンスドテクノロジ(WinActor)などがあり、
3.IT/BPOサービスプロバイダーでは、TechMahindraやWiproが挙げられる。

・RPAの基本機能

・ワークフローエンジン:
 あらかじめ定義したワークフローを解釈し、実行エージェントに指示するエンジン。
・実行エージェント:
 ワークフローエンジンから受けた指示を実行するエンジンで、狭義のソフトウェアロボットに該当する。
・レコーディング/デザインツール:
 手作業での操作を記録するレコーディングツール、あるいはスクラッチから自動化する操作を定義するためのデザインツール。
 カスタム開発を好む場合は自由度の高い後者、そうでない場合は前者を使う。

 この3機能を組み合わせて、企業は「完全自動化」か「部分自動化」のどちらかを実現している。完全自動化はプロセスの最初から最後までを一切の手作業を介さずに実行するもの。部分自動化はプロセスの途中に人間の介入を排除できないタスクで、人間が行う作業の品質や効率を高める支援機能を提供するもので、完全自動化との組み合わせも可能だ。

・「コネクティビティ」は、アプリケーション連携のためのAPI(Application Programming Interface)やコマンドなどが該当する。
将来、今以上に複雑なプロセスを自動化する際に、多種多様な業務アプリケーションを連携させることが不可欠になってくる。
 自動化の適用範囲を広げる際には、
・「監視と管理」による一元管理がITガバナンスの側面から見て望ましい。
各ベンダーのソリューションは、「コネクティビティ」「監視と管理」を製品アーキテクチャーに備えているかどうかで差がつく格好だ。

〇現時点のRPAはAIとは別物
 現在、数多くの分野でAIや機械学習が注目を集めているが、RPAとの関係を理解しておくべきだろう。

 ルールに基づいて予測可能なルーティン業務を処理するのが「完全自動化」であり(図の上)、予測不可能な動的/アドホックな業務で判断を下し、処理をするのが「部分自動化」である(同下)。
 RPAが処理できるのは現時点では構造化されたデータだけであるということ。音声や文書のような非構造化データを処理するAIとは別モノと考えるべき。
 ただし、RPAも将来は非構造化データも扱えるようになる可能性は高い。また、機械学習の実装を製品ロードマップに入れているRPAベンダーも存在する。
 いずれAIが新しいワークフローを自動生成できるようになれば、人間の判断が介在する複雑なプロセスでも自動化が可能になるだろう。現在は、このような実用に足るワークフローの自動生成機能を持つ製品の存在が確認できていないので、右側の2象限を空白としている。

平成30年06月07日

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