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自治体IT革命の今日、明日
第214回 「電子自治体とAI、その3『RPA、働き方改革とデジタルレイバー』」

2018/07/09

7月7日は七夕であり24節気の「小暑」です。だんだん暑さが増していくという意味で、梅雨明けも近くなり、湿っぽさの中にも夏の熱気が感じられるようになります。小暑と大暑を合わせたおよそ1か月を「暑中」といい、「暑中見舞い」を出す期間とされています。

(前回より)
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◎RPAとAIの境界線を理解、自動化できる機能の限界を知って活用せよ
(日経BP 18/04/13)
 http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atclact/active/17/040900266/040900001/?act05

〇RPAとは
 「ユーザーインタフェース上の操作を認識する技術とワークフローの実行を組み合わせることで、人間が各種アプリケーション上で実行する『手作業』を模倣し、各種アプリケーションを介して、システム間で構造化データを自動的に移動・入力するよう設計されたソフトウエアの総称」と定義。
・RPAの対象業務
 「IT業務」が最も多く、「顧客管理」「生産管理」「財務・会計」「人事・給与・福利厚生」がそれに続く。
・RPAソリューションを提供するベンダー
 専業ベンダーと非専業ベンダー、IT/BPOサービスプロバイダーの三つに大別。
1.専業ベンダーにはAutomation AnywhereやBluePrism、UiPath、RPAテクノロジーズ(BizRobo!)などがある。
2.非専業ベンダーでは、コールセンターソリューションを提供してきたNiceやビジネスプロセスマネジメントソリューションを提供してきたPegasystems、NTTアドバンスドテクノロジ(WinActor)などがあり、
3.IT/BPOサービスプロバイダーでは、TechMahindraやWiproが挙げられる。

・RPAの基本機能

・ワークフローエンジン:
 あらかじめ定義したワークフローを解釈し、実行エージェントに指示するエンジン。
・実行エージェント:
 ワークフローエンジンから受けた指示を実行するエンジンで、狭義のソフトウェアロボットに該当する。
・レコーディング/デザインツール:
 手作業での操作を記録するレコーディングツール、あるいはスクラッチから自動化する操作を定義するためのデザインツール。
 カスタム開発を好む場合は自由度の高い後者、そうでない場合は前者を使う。
 この3機能を組み合わせて、企業は「完全自動化」か「部分自動化」のどちらかを実現している。完全自動化はプロセスの最初から最後までを一切の手作業を介さずに実行するもの。部分自動化はプロセスの途中に人間の介入を排除できないタスクで、人間が行う作業の品質や効率を高める支援機能を提供するもので、完全自動化との組み合わせも可能だ。
・「コネクティビティ」は、アプリケーション連携のためのAPI(Application Programming Interface)やコマンドなどが該当する。
将来、今以上に複雑なプロセスを自動化する際に、多種多様な業務アプリケーションを連携させることが不可欠になってくる。
 自動化の適用範囲を広げる際には、
・「監視と管理」による一元管理がITガバナンスの側面から見て望ましい。
各ベンダーのソリューションは、「コネクティビティ」「監視と管理」を製品アーキテクチャーに備えているかどうかで差がつく。

〇現時点のRPAはAIとは別物

 ルールに基づいて予測可能なルーティン業務を処理するのが「完全自動化」であり(図の上、(ア))、予測不可能な動的/アドホックな業務で判断を下し、処理をするのが「部分自動化」である(図の下、(イ))。
 RPAが処理できるのは現時点では構造化されたデータだけであるということ。音声や文書のような非構造化データを処理するAIとは別モノと考えるべき。
 ただし、RPAも将来は非構造化データも扱えるようになる可能性は高い。また、機械学習の実装を製品ロードマップに入れているRPAベンダーも存在する。
 いずれAIが新しいワークフローを自動生成できるようになれば、人間の判断が介在する複雑なプロセスでも自動化が可能になるだろう。現在は、このような実用に足るワークフローの自動生成機能を持つ製品の存在が確認できていないので、右側の2象限を空白としている。

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(以上)

◎RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

 テレワークの推進をはじめとするワークスタイルの柔軟化による人材の確保や、ICTの高度活用による業務効率改善といったものがあげられる。従来よりも少ない人数で生産力を高めるための手段として、現在、RPA(Robotics Process Automation)が注目を集めている。
 2017年の調査によると、国内では14.1%の企業が導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中でした。市場規模は2017年度が31億円、2021年度には100億円規模になると予測されている。

・具体的な適用業務
 帳簿入力や伝票作成、ダイレクトメールの発送業務、経費チェック、顧客データの管理、ERP、SFA(営業支援システム)へのデータ入力、定期的な情報収集など、主に事務職の人たちが携わる定型業務があげられる。

〇RPAの三段階の自動化レベル
 現在のRPAの多くは「クラス1」というレベルで定型業務に対応している。次期レベルの「クラス2」は、AIと連携して非定型業務でも一部は自動化される。「クラス3」は、より高度なAIと連携することで、業務プロセスの分析や改善だけでなく意思決定までを自動化できる。

・今後の展望
 RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代替して実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した業務を代行するツールになりつつある。人間の補完として業務を遂行することから、仮想知的労働者(Digital Labor)として、2025年までに事務的業務の1/3の仕事がRPAに置き換わるインパクトがあるともいわれている。

◎RPAで目指すデジタルレイバー(Digital Labor)戦略、ポイントは!?
(日経BP 18/05/26)
 http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/18/abeam0515/

 RPA導入の機運がますます高まっている。比較的短期間で高い成果を上げられるのがその理由だ。
 導入企業の64%が4週間以内での導入を実現し、導入企業の97%が5割以上の業務工数削減に成功している。当初は金融機関が強い導入意欲を見せていたが、現在はメーカー、サービス業、情報・通信、商社・小売など幅広い業種で導入が進んでいる。地方自治体も例外ではない。

〇RPA本格導入時のアプローチ手法
 直下型、現場型の2つのアプローチがある。
1.直下型アプローチ
 全社最適の観点からすべての業務を棚卸し、導入効果の大きい業務から順にRPAを導入する。各部門で利用するロボットはプロジェクト側で集中的に開発・管理する。
2.現場型アプローチ
 各業務部門の判断でRPA化を推進する。ロボットの開発・導入を担う人材を各部門で選出・育成し、RPA化したい業務も各部門で選定する。
ロボットの開発・導入・運用・保守も各部門で行い、必要に応じてIT部門などのサポートを受ける。
 直下型は対象業務の約20%が全体のRPA化効果の80%を創出するため、短期間で最大の効率化実現を達成したい場合に適している。現場型は文字通り現場が主導的な役割を果たすため、RPAの長期的な自走化を目指す場合に有効。

〇運用・統制ルールの整備
1.周辺システムに起因する誤動作
2.業務のブラックボックス化

〇デジタルレイバーへの進化
 現在はRPAの単体利用が主流だが、RPAはコグニティブ・コンピューティングやAIとの連携で進化を続けていく。
・RPAを単体利用する「ステージ1」
・コグニティブを活用する「ステージ2」
・AIを活用する「ステージ3」

 そして、ステージ4の汎用AIからステージ5の実空間作業での業務全般へと進化すると思われます。人々は、人間しかできない業務へ集中することとなるでしょう。

平成30年07月05日

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