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自治体IT革命の今日、明日
第224回 「IoT、ビッグデータ&AI、その4『Society5.0と公共IoT』」

2019/05/13

 令和元年最初のマガジンです。
 5月6日は24節気の「立夏」でした。“この日から立秋の前日までが暦の上では夏となります。新緑に彩られ、さわやかな晴天が続く頃です。”

 今回のテーマは、『Society5.0と公共IoT』です。

(前回より)
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〇自治体戦略2040構想研究会の報告書
◎IoT、ビッグデータ&AI、その1『IoTとは!?』」
〇技術分野のトレンドマップ
 縦軸「将来性」が高い技術
  =AI、IoT、ブロックチェーンなど
 横軸「現時点での経済インパクト」が高い技術
=スマートフォン、クラウド、AI

 出典
“日経クロストレンド「トレンドマップ 2018夏」を発表 AI、デザイン思考、シェアリングサービスなどの将来性を評価”
日経BP社 https://www.nikkeibp.co.jp/atcl/newsrelease/corp/20180808/(参照 2019-02-07)

 一番上にあるのは「AI」。将来性スコアは4.70となった。研究開発はディープラーニングの登場で一気に進み、ビジネス面でも画像認識技術を用いた分類や異常検知などが実用段階に入ったため、経済インパクトスコアも4.40と高く評価されている。
 「IoT・AIの活用が進展することによる市場規模(実質GDP)の押し上げ効果は2030年で132兆円」との予測もある。
〇2019年のIoT分野の予測
〇IoTとは? IoTの本質を15の図で学ぶ!
 https://xera.jp/entry/iot
1.IoTとは?
  読み方は「アイ・オー・ティー」、意味は「IoT = PtoP × M2M」
2.2020年のIoT市場を読み解く3つの数字
 1.市場成長率:年率30%
 2.市場規模:3兆ドル
 3.デバイス数:208億個
3.IoTが注目されている3つの背景
 背景1.【技術】アイテムが小さく・安くなった
 背景2.【市場】既存のICT市場が成熟し飽和状態
 背景3.【社会】設備も人も老朽化・高齢化
4.IoTを構成する4要素
 1.デバイス
 2.各種モジュール(センサー、メーター、ビーコン)
 3.アプリケーション
 4.ネットワーク
5.IoT発展の鍵を握る2つの無線技術
 無線技術1. 無限にIoT化されるモノを同時接続できる「5G」
 無線技術2. バッテリー寿命を長く保ち、遠くまでデータが届く「LPWA」
6.IoTの二類型「クローズIoT」と「オープンIoT」
 企業内で完結する「クローズIoT」
 近年のIoT「スマートハウス」はまだまだ序章
 全てのモノが繋がり、誰でも自由に利用できる「オープンIoT」
7.「IoT」と「AI」「ビッグデータ」の関係性
8.IoTが抱える主要3課題
 課題1.【プライバシーの課題】データの所有権は誰のもの?
 課題2.【法律の課題】データの使用権は誰のもの?
 課題3.【責任所在の課題】3Dプリンタ製品で怪我したら?
9.IoT活用事例10選
10.IoT社会の未来の1日
11.まとめ:IoTが実現してくれる未来は明るいか?
〇IoT活用事例
【ウェアラブル】服につけるだけで心拍数・筋肉・体温がわかる −> Apple
 http://www.hitoe-toray.com/
【ウェアラブル】血糖値を管理できるコンタクトレンズ −> Google
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO09596110W6A111C1000000/
【スポーツ】加速度センサー付きのサッカーボールで「キックスピード」「回
転数」「飛行軌道データ」等を可視化
【ライフスタイル】加速度センサー付きのベッドでパートナーの浮気を検知し
スマホで通知
【スマートシティ】自動販売機を監視カメラ化 地域の防犯・防災強化
 http://jaoc.jp/examples/
【スマートシティ】駐車場の空き情報を教えてくれてる「Streetline」
【介護】加速度センサーでドアの開閉を検知 高齢者の安否確認も可能
 https://iotnews.jp/archives/50982
【医療】遠隔地とつながる医療現場
 http://sk-kumamoto.jp/expert_blog/2012/12/-3d-3d-10-3.html
【農業】レーダー付きドローンで農薬が必要な箇所を自動認識&散布
 https://www.dji.com/jp/mg-1s
【自動運転車】ドライバーレスな社会
 https://iotnews.jp/archives/53200
◎IoT、ビッグデータ&AI、その2『IoT、4つのキーワード』」
〇IoT、4つのキーワード
(「IoTビジネス入門」 20p〜)
1.センサー:モノから情報を収集する
*IoT無線タグ:センサーの無線化
*IoTの実現に適した無線方式
 長距離ナローバンドのLPWA(Low Power, Wide Area)は通信速度を極限まで落として長距離通信を実現したものでNB-IoT、LoRaWAN、SIGFOX等の通信規格がある。
 −> 10年、10km
2.クラウド:インターネットを経由してデータを蓄積する
3.人工知能(AI):クラウドに蓄積されたデータを分析する
4.アクチュエーション:モノがヒトにフィードバックする
*IoTにおける3種類のアクチュエーション
(「IoTビジネス入門」 31p)

・モノへのアクチュエーションやヒトへのフィードバックまでを考え、どういう社会問題を解決するか、誰の課題を解決するかを考える必要がある。
〇IoTと生活の4大変化
 インターネット社会では、Googleの検索窓が入り口となる。が、IoT社会では、モノが入り口となる。
*モノが「つながる」メリット
 −> IoT社会の入り口は、Googleから「モノ」へ  ・・・  <参考>
1.IoTで変わる家ナカ
 −> インテリジェントホーム
2.IoTで変わるクルマと社会
 −> 自動運転、どこにでも配送が可能
3.IoTで変わる医療とヘルスケア
 −> 遠隔地とつながる医療現場
4.高齢化社会とIoT
 −> 介護・見守り
◎IoT、ビッグデータ&AI、
     その3『IoT、生活の4大変化と変わる産業構造』」
(参照 「IoTビジネス入門」小泉耕二著、「世界をつなぐ100の技術」日経BP)
◎IoTと生活の4大変化
1.IoTで変わる家ナカ
〇ペット用の自動給餌器
〇カメラがインターネットと繋がっており、部屋の中の様子をスマホやタブレットに通知。
〇IoTで離れたモノを操作
<参考>

・アドレス空間
Ipv4:32ビット、43億個アドレス
Ipv6:128ビット、340澗(かん)約340兆×1兆×1兆個
・日本の標準世帯では、家庭内のモノの数は、1600個と言われている。全てのモノを識別するには、
 1600個/世帯 * 4900万世帯 = 784億個!
784億個のセンサーが必要である。
 Ipv4での43億個アドレス空間では不足する。自ずと、Ipv6の世界が必要とされる。
2.IoTで変わるクルマと社会
〇自動車のIoT化
〇車×IoT 自動運転システム
〇バス・地下鉄×運行状況
〇農業×自動システム
〇除雪車の自動運転(衛星測位システム「みちびき」利用)

3.IoTで変わる医療とヘルスケア
〇Apple×IoT 体調管理
〇Google×IoT 血糖値の管理
〇初期診断の「Clinic Cloud」

 体温計、聴診器、発心の撮影など様々な情報をセンシングし、初期診断を実施する。必要に応じて医師がインターネット診断。
4.高齢化社会とIoT
〇高齢者×IoT 安否確認
〇IoTで介護、見守り
「ココファン藤沢SST」(サービス付き高齢者向け住宅)

 IoTで離床を確認する。
 IoTでドアの開閉を確認する。
 IoTで室内の温湿度を確認する。
 IoTで落下や転倒を確認する。
◎IoTで変わる産業構造
1.進むセンシング技術の向上
〇マルチコプターによる点検
〇壁面を移動する点検ロボット

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(以上)

◎IoT、ビッグデータ&AI、
     その4『Society5.0と公共IoT』

 以下「公共IoT−地域を創るIoT投資−(井熊均、井上岳一、木通秀樹著)」より抜粋編集

〇Society5.0とは
・内閣府 科学技術政策 より
 https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

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 サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

 1.狩猟社会   Society1.0
 2.農耕社会   Society2.0
 3.工業社会   Society3.0
 4.情報社会   Society4.0
 5.革新技術社会 Society5.0

・Society 5.0で実現する社会
 これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であったり、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。
 Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。
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・AI・IoTで先行する米国
  GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
・追随する中国
  BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)&ファーウェイ
・インダストリー4.0で存在感を示す独国
・日本 第4次産業革命技術がもたらす変化/新たな展開
 日本再興戦略(2015年)
  ー>「未来投資戦略2017」 = ここからSociety5.0 と呼ぶようになる
   −>「未来投資戦略2018」 5つの戦略分野

〇第4次産業革命技術がもたらす変化/新たな展開
 第四次産業革命はデジタル革命に基づいており、技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるようになる新たな道を表している。第四次産業革命はロボット工学、人工知能、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット(IoT)、3Dプリンター、自動運転車などの多岐に渡る分野においての新興の技術革新を特徴とする。

・第四次産業革命技術
 1.モノのインターネット(IoT)と全てのもののインターネット(IoE)
 2.分散型台帳技術(DLT) ブロックチェーン
 3.人工知能(AI)
 4.ビッグデータ分析
 5.付加製造(3Dプリンティング)
 6.ドローン技術

・5つの戦略分野
1.「生活」「産業」が変わる
  ・自動化
  ・遠隔・リアルタイム化
2.経済活動の「糧」が変わる
  ・エネルギー・ファイナンス 弱み克服
  ・良質な「リアルデータ」
3.「行政」「インフラ」が変わる
  ・アナログ行政から決別
  ・インフラ管理コストの劇的改善
4.「地域」「コミュニティ」「中小企業」が変わる
  ・地域の利便性向上
  ・町工場も世界とつながる
5.「人材」が変わる
  ・AI・ロボットが肩代わり
  ・働き方改革

〇公共IoTの投資モデル
1.教育
*義務教育コスト 約10兆円(内人件費 4.5兆円)
  −> IoT活用により30%の効率化
   −> 経済効果は、 1.2兆円
*1学校への投資額 2200万円
  −> 30000校への投資額は、7000億円
*投資効果 5000億円

2.介護サービス
*ケアマネージャー60万人の人件費  2.4兆円
  −> IoT活用により25%の効率化
   −> 経済効果は、 6000億円
*高齢者100万人への投資額 * 16万円、
 ケアマネージャー60万人への投資額 * 20万円
  −> 合計の投資額は、3000億円
*投資効果 3000億円

3.地域医療
*茨城県並みの医療費へ、30.7万円* 1.3億人 = 4.7兆円 の削減効果
 医療関係者の人件費20兆円
  −>20%の効率化 −>5兆円 の削減効果
   −> 合計の経済効果は、 約9.5兆円
*通院頻度の高い患者1000万人*22万円、
 健康意識のある人6000万人*9万円
  −> 合計の投資額は、 2.1兆円
*投資効果  7.4兆円

4.防災     略
5.上水道    〃
6.廃棄物    〃
7.インフラ管理 〃
8.施設運営   〃
9.農業     〃
10.観光サービス 〃

*IoT投資の効果とコスト(単位 億円)

 地域医療分野に大きなIoT投資効果がみられる。さらには、教育分野そして福祉介護分野のIoT投資も期待が持てる。

平成31年05月09日

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