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自治体IT革命の今日、明日
第226回 「デジタル手続法、その2『住民基本台帳法、公的個人認証法、マイナンバー法の一部改正等』」

2019/07/08

 7月7日は24節気の「小暑}です。“だんだん暑さが増していくという意味で、梅雨明けも近くなり、湿っぽさの中にも夏の熱気が感じられるようになります。海や山に出かけるのにもいい時期です。また、小暑と大暑を合わせたおよそ1か月を「暑中」といい、「暑中見舞い」を出す期間とされています。”

(前回より)
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◎「デジタル手続法、
 その1『行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正』」
〇デジタル手続法
 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(内閣官房 2019年03月15日)
1.行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正
2.住民基本台帳法の一部改正
3.電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律の一部改正
4.行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正
5.中小企業退職金共済法の一部改正
6.母子保健法の一部改正
7.液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部改正
8.附則
〇行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正
1.題名
 「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」(題名関係)
目次
第一章 総則(第1条〜第3条)
第二章 情報通信技術を活用した行政の推進
 第一節 情報システム整備計画等(第4条・第5条)
 第二節 手続等における情報通信技術の利用(第6条〜第10条)
 第三節 添付書面等の省略(第11条)
 第四節 その他の施策(第12条・第13条)
第三章 民間手続における情報通信技術の活用の促進に関する施策(第14条・第15条)
第四章 雑則(第16条〜第19条)
附則
2.目的
 この法律は、国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術を活用した行政の推進に関する基本原則及び情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定めるとともに、民間手続における情報通信技術の活用の促進に関する施策について定めることにより、手続等に係る関係者の利便性の向上等を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とすること。(第1条関係)
3.基本原則
 情報通信技術を活用した行政の推進に関する基本原則を定めるものとすること。(第2条関係)
4.情報システム整備計画等
 第4条 政府は、情報通信技術を利用して行われる手続等に係る国の行政機関等の情報システムの整備を総合的かつ計画的に実施するため、情報システムの整備に関する計画を作成しなければならないものとすること。
 第5条 国の行政機関等は、情報システム整備計画に従って情報システムを整備しなければならないものとすること。
5.手続き等における情報通信技術の利用
 第6条5項 申請等に係る手数料の納付について、情報通信技術を利用する方法であって主務省令で定めるものをもってすることができるものとすること。
6.添付書面等の省略
 他の法令において申請等に際して添付することが規定されている政令で定める書面等について、行政機関等が、政令で定める措置により当該書面等により確認すべき事項に係る情報を入手し、又は参照することができる場合には、添付することを要しないものとすること。(第11条関係)
7.情報通信技術の利用のための能力等における格差の是正
 情報通信技術の利用のための能力又は知識経験が十分でない者が身近に相談、助言その他の援助を求めることができるようにするための施策その他の情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正を図るために必要な施策を講じるものとすること。(第12条関係)
8.民間手続における情報通信技術の活用の促進のための環境整備等
 手続等密接関連業務を行う民間事業者は、民間手続を情報通信技術を利用する方法により行うとともに、行政機関等との連携を確保するよう努めなければならないものとすること。(第14条関係)
 国は、民間取引における情報通信技術の安全かつ適正な利用を図るために必要な施策を講ずるものとし、当該施策の実施状況を踏まえ、支障がないと認めるときは、民間手続が情報通信技術を利用する方法により行われることが可能となるよう、法制上の措置その他の必要な施策を講ずるものとすること。(第15条関係)
9.その他
 第19条 政令への委任
〇行政手続オンライン化法
 2002年(平成14年)12月13日公布、2003年(平成15年) 2月3日施行
第1条(目的)
第2条(定義)
第3条(電子情報処理組織による申請等)
第4条(電子情報処理組織による処分通知等)
第5条(電磁的記録による縦覧等)
第6条(電磁的記録による作成等)
第7条(適用除外)
第8条(国の手続等に係る情報システムの整備等)
第9条(地方公共団体の手続に係る情報通信の技術の利用の推進等)
第10条(手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況の公表)
第11条(地方自治体などの公表)
第12条(主務省令)
〇関連三法
1.行政手続オンライン化法
2.整備法
3.公的個人認証法
〇行政手続オンライン化法との比較
 2002年(平成14年)12月13日公布、2003年(平成15年) 2月3日施行
                              デジタル手続法案
第1条 目的                       −> 第1条
    基本原則                        第2条(新設)
第2条 定義                          第3条
第3条 電子情報処理組織による申請等(オンライン申請)     第6条
第4条 電子情報処理組織による処分通知等(オンライン通知)   第7条
第5条 電磁的記録による縦覧等(オンライン縦覧)        第8条
第6条 電磁的記録による作成等(オンライン作成)        第9条
第7条 適用除外                        第10条
    添付書面等の省略                    第11条(新設)
    格差の是正                       第12条(新設)
第8条 国の手続等に係る情報システムの整備等          第04条、第05条
第9条 地方公共団体の手続に係る情報通信の技術の利用の推進等  第13条
    民間事業者との連携連携                 第14条(新設)
    民間手続のデジタル化対応                第15条(新設)
第10条 手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況の公表  第16条
第11条 地方自治体などの公表                  第17条
第12条 主務省令                        第18条
    政令への委任                      第19条(新設)
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(以上)

〇改正概要
1.除票及び戸籍の附票の除票の保存
2.戸籍の附票の記載事項
3.附票本人確認情報の処理及び利用等
4.本人確認情報の提供を受けることができる事務の追加
5.その他

〇住民基本台帳法の一部改正
1.背景・必要性
a 国外転出者に関する手続きのオンライン化
 マイナンバーカード・公的個人認証は、住民票を基礎とした制度。国外転出にて住民票は消除され利用不可。

b 情報システムを活用した行政事務拡大への対応
 住民票は、マイナンバーや住民票コードを記載した原本の長期かつ確実な保存が必要。
b 土地所有問題への対応
 過去の居住関係の公証が必要。

c オンライン本人確認手段の利便性向上
 オンライン手続・サービスの多様化
 マイナンバーカードの「健康保険証」としての活用が2020年度から運用開始予定

d マイナンバーカードの取得の促進
 通知カードからマイナンバーカードへの移行促進

2.本改正における対応
・国外転出者の本人確認情報の公証 (a 対応)
・国外転出者による公的個人認証(電子証明書)・個人番号カードの利用
 (国外転出後も利用可能な「戸籍の附票」を認証基盤に活用)
  −> 戸籍の附票の記載事項の追加
     「附票ネットワーク」の構築
  −> 国外転出者の個人番号カード・公的個人認証の発行等

 ・公的個人認証法の改正
  −> 国外転出者に対する電子証明書発行等
     国外転出者の電子証明書の失効事由の整備
     施行期日:公布の日から5年以内で政令で定める日
 ・マイナンバー法の改正
  −> 国外転出者に対するマイナンバーカード発行等
     施行期日:公布の日から5年以内で政令で定める日

・本人確認情報の長期かつ確実な保存及び公証 (b 対応)
 (除票の除票簿への保存等)
 保存期間延長を政令改正で措置
  −> 5年間 => 150年間
     施行期日:公布の日から20日が経過した日
     (5年超保存する除票の写しなどの交付については、交付の日から
     3年以内で政令で定める日)

・利用者証明用電子証明書の利用方法の拡大 (c 対応)
 ・公的個人認証法の改正
  −> (暗証番号入力を要しない方式)
     施行期日:公布の日から1年以内で政令で定める日

・個人番号カードへの移行拡大 (d 対応)
 ・マイナンバー法の改正
  −> 通知カードの廃止
     施行期日:公布の日から1年以内で政令で定める日

〇デジタル手続法案
 「行政手続オンライン化法」が施行されて16年が経ちます。この法を継承した法案がデジタル手続法案です。
 デジタル手続法案は、19条からなり、以下のような特徴があります。
 第2条で3つの基本原則謳われております。1つがデジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する。2つがワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする。3つ目がコネクテッド・ワンンストップ:民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する。
 第11条で添付書面等の省略を謳い、第13条では自治体でのデジタルファーストをそして第14条で民間事業者と行政機関との連携を第15条で民間手続のデジタル化対応を謳っています。
 国、地方自治体そして民間を含めすべての手続をデジタルファースト社会の実現を目指そうとしています。

 地方自治体にとって、“インターネットとの分離”という現在の自治体ネットワークは、デジタルファースト及びコネクテッド・ワンストップの実現というときには大きな壁となることに注意する必要がありそうです。

◎行政手続法とデジタル手続法案の比較(前回とは別形式で再掲)
〇デジタル手続法案
 「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」

                             行政手続オンライン化法
第1条 目的                       <− 第1条
第2条 基本原則                        (新設)
 1.デジタルファースト:
  個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
 2.ワンスオンリー:
  一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
 3.コネクテッド・ワンンストップ:
  民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する
第3条 定義                       <− 第2条
第4条 政府、情報システム整備計画               第8条
第5条 国の行政機関、情報システムの整備             〃
第6条 デジタル申請                      第3条
 手続き等における情報通信技術の利用
第7条 デジタル通知                      第4条
第8条 デジタル縦覧                      第5条
第9条 デジタル作成                      第6条
第10条 適用除外                        第7条
第11条 添付書面等の省略                    (新設)
第12条 情報通信技術の利用のための能力等における格差の是正   (新設)
第13条 自治体でのデジタルファースト              第9条
第14条 民間事業者と行政機関との連携              (新設)
 民間手続における情報通信技術の活用の促進のための環境整備等
第15条 民間手続のデジタル化対応                (新設)
 国は、民間取引における情報通信技術の安全かつ適正な利用を図るために必要な施策
第16条 国のデジタルファーストの状況公表            第10条
第17条 国以外のデジタルファーストの状況公表          第11条
第18条 主務省令                        第12条
第19条 政令への委任                      (新設)

平成31年07月04日

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