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自治体IT革命の今日、明日
第227回 「電子政府エストニア、その1『衝撃のエストニア』」

2019/08/05

 梅雨明けが遅く涼しい7月でした。7月23日の「大暑」も過ぎ、8月8日は「立秋」です。一般的に、“厳しい残暑は続きますが、この日から暦の上では秋となります。これからは少しずつ涼しくなり、秋の気配が漂いだす頃です。また、立秋を過ぎたら「暑中見舞い」は「残暑見舞い」に変わります。”と言われております。

 前回までのテーマ「デジタル手続法」の「おわりに」
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〇デジタル手続法案と地方自治体
 デジタル手続法案では、第2条で3つの基本原則謳われております。1つがデジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する。
2つがワンスオンリー:一度提出した情報は、二度提出することを不要とする。
3つ目がコネクテッド・ワンンストップ:民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する。
 第11条で添付書面等の省略を謳い、第13条では自治体でのデジタルファーストをそして第14条で民間手続における情報通信技術の活用の促進を謳っています。
 国、地方自治体そして民間を含めすべてをデジタルファースト社会の実現を目指しています。
 地方自治体にとって、“インターネットとの分離”という現在の自治体ネットワークは、デジタルファースト及びコネクテッド・ワンストップの実現というときには大きな壁となることに注意する必要がありそうです。
 さらには、地方自治体において全ての手続をデジタル化するためには、未システム化業務の対応そしてセキュリティ対応(機密性・完全性・可用性対策)から避けて通ることができなくなるようです。
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(完)

 今回からは、「電子政府エストニア」と「ブロックチェーン技術」について話を進めたいと考えております。

〇電子政府エストニアの成功要因
 以下より抜粋・編集
 https://forbesjapan.com/articles/detail/19386

・エストニアの「電子政府」の成功要因は大きく3つに分けられる。
 一つ目は歴史的背景
 二つ目は地理的要因
 三つ目は政府の推進方針

1.歴史的背景
・ソ連が残した唯一の遺産を活用
 中核をなす情報基盤連携システムの「X-ROAD」
 領土を必要としない国家の構想 ー> 「データ大使館」
 たとえ国が侵略されて物理的に「領土」がなくなったとしても、国民の「データ」さえあれば国家は再生できる
2.地理的要因
・隣国フィンランドからの教訓
 「IDカードの所持は義務とするべきだ」
3.政府の推進方針
・電子政府への信頼は透明性から
 「効率」と「透明性」であり、透明性以外に電子政府の信頼を構築していく術はない。
 データのマネジメントとガバナンスを、法制度として確立
 行政による徹底した情報開示の姿勢をとっており、透明性が担保されている
  公共情報法(Public Information Act)
  個人データ保護法(Personal Data Protection Act)
  電子署名法(Digital Signature Act)などが施行
・プライバシー保護「6つの原則」
 1.分散化
 2.透明性
 3.ワンスオンリー
 4.ノー・レガシー
   (公的部門は13年以上古いツールは使ってはならぬ。)
 5.ユーザーフレンドリー
 6.データの完全性(KSIブロックチェーン技術)

 同国の人々は政府の人間を信頼しているのではなく、政府の仕組みを信頼しているのだ。不正があったとしてもきちんと検知できる仕組みがあれば、国民が納得して電子政府を受け入れることができる。

 以下からはは、「つまらなくない未来(孫泰蔵監修、小島健志著)」より抜粋・編集

〇エストニアとは
・未来社会の道しるべ
  ヒューマン・オートノミー(自由)への社会
・行政サービスの99%が年中無休で利用できる国(e-Estonia)
  eIDカード ー> 本人確認と電子署名
  X-Road(情報交換基盤システム)ー> ブロックチェーン
  e-Residency(仮想居住者)
・国の提供する「OS」の上に様々な「アプリ」が誕生
  Jobbatical(グローバル人材サービス)
・仮想住民を巻き込んだ新たな社会が生まれる
  国全体が「グローバルバックオフィス機能」を提供
  「デジタルノマド」、「デジタルノマドビザ」の発行
  仮想通貨「エストコイン(ブロックチェーン技術)」
  、ICO(トークンを利用した資金調達)
  契約のあり方を変える「スマートコントラクト」

〇デジタル政策年表
 年   出来事         内容
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1991  独立回復        旧ソ連からの独立
1996  e-バンキング      キャッシュレス文化浸透
    タイガーリープ     全校へインターネットとコンピュータ設置
2000  e-タックス       電子税申告システム稼働
    e-キャビネット     閣議の電子化、電子署名法の制定
2001  X-Road         エックスロードの運用開始
2002  eIDカード        デジタルIDカードの配布開始
    e-スクール       学校の情報を共有できる仕組み
2005  アイボーティング    インターネット投票
2008  e-ヘルス        電子医療システム稼働
2012  プログラミングタイガー プログラミング授業開始
2014  e-レジデンシー     仮想居住制度の開始
2019  デジタルノマドビザ   仮想住民へ1年間滞在ビザ発給予定
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令和元年08月01日

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