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自治体IT革命の今日、明日
第239回 「地方自治体のキャッシュレス決済、その1『行政キャッシュレス決済』」

2020/08/17

 関東地方も梅雨が明けしました。夏本番です。が、七日は暦の上ではすでに秋、「立秋」です。厳しい残暑は続きますが、この日から暦の上では秋となります。これからは少しずつ涼しくなり、秋の気配が漂いだす頃です。また、立秋を過ぎたら「暑中見舞い」は「残暑見舞い」に変わります。
 ・・・ 暮らし歳時記 ・・・

 政府は、令和元年10月からの消費税率引き上げ後に懸念される消費の落ち込みへの対策として、消費喚起を行うとともに、キャッシュレス化推進に取り組んでいます。その一環として、各自治体では中小・小規模事業者を対象とするキャッシュレス・消費者還元事業が実施されることとなりました。

(参照 行政におけるキャッシュレス決済入門 デジタル・ガバメント技術検討会議 2019/09/30)
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/cashless_introduction.pdf

 行政サービス(使用料、手数料等)や税に関する少額決済へのキャッシュレスサービスの導入を検討するために、行政職員向けに基本情報を整理した参考資料。現金や印紙ではなく、決済データを交換することで、正確かつ迅速な決済を実現するための基本情報や事例を整理したもの。
1.背景
 行政機関でもペイジーによるインターネット支払いや、クレジットカードでの支払いが可能なサービスを行う等、支払い方法の多様化を進めており、キャッシュレス化に取り組んでいます。また、2019年(令和元年)05月に成立、公布された「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(デジタル手続法。令和元年法律第16号)で印紙以外の支払い方法を認める等、法的な環境整備が進んでいることや、指定金融機関の収納手数料(口座振替手数料)や振込手数料の有償化等もあり、今後、キャッシュレスサービスの利活用が増えていくと考えられます。更に、同年10月の消費税率の引き上げに伴う還元措置{キャッシュレス・消費者還元事業 https://cashless.go.jp/}に合わせ、民間におけるキャッシュレス化の動きが活発になっており、社会全体でキャッシュレス化が進む中で、行政機関での支払いも同様にキャッシュレス化に対応していく必要があります。

2.目指すべき姿
 様々な行政サービスに対し、時と場所を選ばずに簡単に決済できる仕組みが求められているといえます。また、かかる仕組みの整備により、利用者の利便性の向上を実現するだけではなく、行政内部の効率化を同時に実現できるメリットも期待されます。

〇概要
1.概況
・現金以外の決済手段の利用状況

・行政機関の少額決済
 現金書留、収入印紙・収入証紙、郵便為替、切手、振込・引落、コンビニ決済、ペイジー、公金決済収納サービス、クレジットカード等が使われてきました。国の機関でも電子マネーによる決済が始まっており、博物館・美術館等の施設利用料や国立国会図書館でのコピー料等が電子マネーで払えるようになってきています。
また、市区町村のコンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)では、一部のコンビニエンスストアで電子マネーによる支払も可能になっています。
・電子マネー、キャッシュレス決裁、クレジット(以下「電子マネー等」という。)で支払いが行われている税やサービスのうち主なもの
[税・社会保障系]
・市区町村民税、都道府県民税
・固定資産税、都市計画税、不動産取得税
・個人事業税
・自動車税、軽自動車税
・国民健康保険税(料)
・介護保険料、後期高齢者医療保険料
・市たばこ税
・入湯税
[手数料系]
・住民票の写し等の交付手数料
・課税証明、納税証明等の交付手数料
[教育系]
・幼稚園、保育園、保育所保育料
・学童クラブ利用手数料、放課後保育クラブ保育料、放課後学級負担金、
 放課後児童健全育成事業利用者負担金、児童センター使用料
・学校給食費
・入学準備金貸付金償還金
[施設利用系]
・公営住宅使用料
・駐車場使用料、自転車等駐輪場使用料
・総合情報施設使用料(施設維持手数料を含む)
・施設使用料(宿泊、体育館、体育館、テニスコート等)
・普通財産貸付料(土地・建物)、行政財産貸付料(土地・建物)
・墓園管理料、霊園管理料
・法定外公共物使用料
・動物園入園料、科学館入館料
[上下水道系]
・上水道使用料
・開栓手数料
・公共下水道使用料、公共下水道施設使用料
・簡易水道使用料
・農業集落排水施設使用料、小規模集合排水施設使用料、
 特定環境保全公共下水道施設使用料、浄化槽使用料
[その他]
・くらしの資金償還金
・一般廃棄物(し尿)処理手数料
・売店、食堂、土産物、物産の購入代金

2.支払方法のメリット・デメリット
・オンラインでの決済方法

・表 2-1 決済方法の整理(1)
     現金         現金書留       収入印紙・収入証紙
概要   紙幣、硬貨の支払い  紙幣、硬貨の郵送   印紙を購入し貼付け

事務効率 ×現金管理が大変   ×悪い        ×著しく悪い
コスト  従来の仕組みで対応可 従来の仕組みで対応可 人的コストがかかる
注1)窓口等まで行けることが必要

・表 2-2 決済方法の整理(2)
     郵便為替       切手         振込・引落
概要   為替を使用      切手での支払い    銀行等での処理

事務効率 ×発行も換金も大変  ×計算や換金が大変  ○自動処理可
コスト  人的コスト      人的コスト      手数料

・表 2-3 決済方法の整理(3)
     ペイジー       コンビニ支払い    公金決済収納サービス
概要   インターネット    レジでの支払い    クレジットカード支払い
     バンキング
事務効率 ○          ○          ○
コスト  手数料        手数料        手数料

・表 2-4 決済方法の整理(4)
     クレジットカード   デビットカード    電子マネー
概要   カード会社が立替   銀行口座から直接支払う電子マネーで支払う

事務効率 ○          ○          ○
コスト  初期コスト運用コスト 初期コスト運用コスト 手数料
                           カード式の場合は、端末
                           導入等の初期コスト

3.キャッシュレス導入に対する不安の声への対応
「よくわからない」
「前例がない」
「安全面で不安がある」
「債権移行のタイミング・責任分界点がわからない」

4.電子マネーや収納代行サービスの活用についての考え方
 決済を必要とするサービスを作るには、安全性を担保するために多大な投資と運用コストがかかります。
 決済手数料を払う仕組みがない等の課題を指摘されることがありますが、決済システムを作る内部構築コストとして行政サービスそのものの対価に含め処理するのか、日常的運用の経費(手数料)と考えるかの差でしかありません。
また、決済処理を外部サービス化することで、内部の事務処理の軽減ができるとともに、集金時の紛失や合計金額の不一致といった事故が減るというメリットもあります。

〇場面別導入イメージ
1.印紙の場合

(「行政におけるキャッスレス決済入門」より)

2.税や料金等の請求書による支払いの場合

(「行政におけるキャッスレス決済入門」より)

3.証明、施設利用等の小口現金の場合
 証明書発行手数料や入場料等では、無記名による決済が行われています。このような決済には、民間の無記名の電子マネー決済と同じ仕組みが導入可能です。
 利用者は小銭を用意する必要がなくなり、証明発行者や施設管理者は、手数料の管理、つり銭の管理などの事務作業が軽減されます。さらに、観光施設においては、入場券を時間帯別に発行したりすることも可能です。
海外では、時間帯チケットの導入で混雑の緩和に取り組んだり、事前入場見込みによるスタッフ配置の変更を行ったりしているところもあります。
単に電子マネーを導入するだけではなく、チケット発行サービスに付帯したキャッシュレスサービスを使用する方法もあります。

4.給食費等の場合
 給食費等においては、支払い側が現金を用意し、中間収集者(教員、学校事務職員等)が集計する仕組みで小口の決済を行っていました。
この方式では、収集時や集計時の金銭紛失といった事故が起こることもあります。
電子マネーを導入することにより、簡易に決済を行うことや履歴管理が可能で、支払者や支払額の管理等も容易になります。

 次回は以下について。
〇事例
〇解説
<参考>
・北本市総合収納
 11年も前からキャッシュレス決済(収納)を実現!

2020年08月06日

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