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自治体IT革命の今日、明日
第252回 「デジタルトランスフォーメーション、その2『DXガイドライン』」

2021/09/06

 9月「長月」、7日は24節季の「白露」です。秋が深まり、草花に朝露がつきはじめる頃という意味です。空は高くなり、秋雲がたなびくようになり、本格的な秋の到来です。また、実りの秋を前に台風が心配な時期でもあります。
 ・・・ 暮らし歳時記 ・・・

(前回より)
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◎第251回 「デジタルトランスフォーメーション、その1『DXとは』」
「デジタルトランスフォーメーション、その1『DXとは』」 | U+(ユープラス) 電子自治体の行政情報化ニュース | 内田洋行 (uchida.co.jp)

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(以上)

 DXを実現していく上では、デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠である。
 また、DXを本格的に展開していく上では、そもそも、既存のITシステムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、データを十分に活用しきれず、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうという問題が指摘されている。
 既存のITシステムの問題を解消しようとすると、ビジネスプロセスそのものの刷新が必要となり、これに対する現場サイドの抵抗が大きいため、いかにこれを実行するかが課題となっているとの指摘もなされている。

 本ガイドラインは、
「(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み」
「(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」
の2つから構成されている。

(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み

《経営戦略・ビジョンの提示》
1.想定されるディスラプション(「非連続的(破壊的)イノベーション」)を念頭にデータとデジタル技術の活用によって、どの事業分野でどのような新たな価値(新ビジネス創出、即時性、コスト削減等)を生み出すことを目指すか、そのためにどのようなビジネスモデルを構築すべきかについての経営戦略やビジョンが提示できているか。

《経営トップのコミットメント》
2.DXを推進するに当たっては、ビジネスや仕事の仕方、組織・人事の仕組み、企業文化・風土そのものの変革が不可欠となる中、経営トップ白らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組んでいるか。
 −仮に、必要な変革に対する社内での抵抗が大きい場合には、トップがリーダーシップを発揮し、意思決定することができているか

《DX推進のための体制整備》
3.経営戦略やビジョンの実現と紐づけられた形で、経営層が各事業部門に対して、データやデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを構築する取組について、新しい挑戦を促し、かつ挑戦を継続できる環境を整えているか。
 1.マインドセット: 各事業部門において新たな挑戦を積極的に行っていくマインドセットが醸成されるよう、例えば、以下のような仕組みができているか。
   −仮説検証の繰返しプロセスが確立できている
    仮説を設定し、実行し、その結果に基づいて仮説を検証し、それに基づき新たに仮説を得る一連の繰返しプロセスが確立できていること
   −仮説検証の繰返しプロセスをスピーディーに実行できる
   −実行して目的を満たすかどうか評価する仕組みとなっている
 2.推進・サポート体制:経営戦略やビジョンの実現を念頭にそれを具現化する各事業部門におけるデータやデジタル技術の活用の取組を推進・サポートするDX推進部門の設置等、必要な体制が整えられているか。
 3.人材:DXの実行のために必要な人材の育成・確保列こ向けた取組が行われているか。
   −DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材の育成・確保
   −各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材の育成・確保等

《投資等の意思決定のあり方》
4.DX推進のための投資等の意思決定において、
 1.コストのみでなくビジネスに与えるプラスのインパクトを勘案して判断しているか。
 2.他方、定量的なリターンやその確度を求めすぎて挑戦を阻害していないか。
 3.投資をせず、DXが実現できないことにより、デジタル化するマーケットから排除されるリスクを勘案しているか。

《DXにより実現すべきもの:スピーディな変化への対応力》
5.ビジネスモデルの変革が、経営方針転換やグローバル展開等へのスピーディな対応を可能とするものになっているか。

<参考1>
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「市川市DX憲章」より
 デジタル技術を積極的に活用して経営資源を無駄なく効率よく使い、その資源を有効活用してサービスを飛躍的に高めるなど、顧客目線で新たな価値を創造
・目的
 DX憲章は内部向けのみならず外部のステークホルダーにDXについて説明する際のガイドライン
 「価値創造」と「投資対効果の向上」

・基本方針
 1.マインド、2.マネジメント、3.デジタル技術
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1.マインド
 顧客ファースト
 現場主義
 失敗を糧とする風土
 全職員が主体的に行動する組織
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(2)DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築

(2)−1 体制・仕組み

《全社的なITシステムの構築のための体制》
6.DXの実行に際し、各事業部門におけるデータやデジタル技術の戦略的な活用を可能とする基盤と、それらを相互に連携できる全社的なITシステムを構築するための体制(組織や役割分担)が整つているか。
  −経営戦略を実現するために必要なデータとその活用、それに適したITシステムの全体設計(アーキテクチヤ)を描ける体制・人材を確保できているか

《全社的なITシステムの構築に向けたガバナンス》
7.全社的なITシステムを構築するに当たっては、各事業部門が新たに導入するITシステムと既存のITシステムとの円滑な連携を確保しつつ、ITシステムが事業部門ごとに個別最適となることを回避し、全社最適となるよう、複雑化・ブラックボックス化しないための必要なガバナンスを確立しているか。

8.全社的なITシステムの構築に向けた刷新に当たっては、ベンダー企業に丸投げせず、ユーザ企業自らがシステム連携基盤の企画・要件定義を行っているか。

《事業部門のオーナーシップと要件定義能力》
9.各事業部門がオーナーシップを持ってDXで実現したい事業企画・業務企画を白ら明確にしているか。さらに、ベンダー企業から白社のDXに適した技術面を含めた提案を集め、そうした提案を白ら取捨選択し、それらを踏まえて各事業部門白らが要件定義を行い、完成貴任までを担えているか。
  −要件の詳細はベンダー企業と組んで一緒に作っていくとしても、要件はユーザ企業が確定することになっているか(要件定義の丸投げはしない)

<参考2>
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「市川市DX憲章」より
・基本方針
 1.マインド、2.マネジメント、3.デジタル技術
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2.マネジメント
 部門を超えて協調する組織
 データマネジメント
 アジャイル事業開発
 DXのための体制
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(2)−2 実行プロセス

《IT資産の分析・評価》
10.1T資産の現状を分析・評価できているか。

《IT資産の仕分けとプランニング》
11.以下のような諸点を勘案し、IT資産の仕分けやどのようなITシステムに移行するかのプランニングができているか。
  −バリューチェーンにおける強みや弱みを踏まえつつ、データやデジタル技術の活用によってビジネス瑕境の変化に対応して、迅速にビジネスモデルを変革できるようにすべき領域を定め、それに適したシステム瑕境を構築できるか
  −事業部門ごとにバラバラではなく、全社横断的なデータ活用を可能とする等、システム間連携のあり方を含め、全社最適となるようなシステム構成になっているか
  −競争領域とせざるを得ないものを精査した上で特定し、それ以外のものについては、協調領域(非競争領域)として、標準パッケージや業種ごとの共通プラットフォームを利用する等、競争領域へのリソースの重点配分を図っているか
  −経営環境の変化に対応して、ITシステムについても、廃棄すべきものはサンクコストとしてこれ以上コストをかけず、廃棄できているか

《刷新後のITシステム:変化への追従力》
12.刷新後のITシステムには、新たなデジタル技術が導入され、ビジネスモデルの変化に迅速に追従できるようになっているか。また、ITシステムができたかどうかではなく、ビジネスがうまくいったかどうかで評価する仕組みとなっているか。

<参考3>
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「市川市DX憲章」より
・基本方針
 1.マインド、2.マネジメント、3.デジタル技術
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
3.デジタル技術
 デジタルを活用した業務改革
 新しいテクノロジーの積極活用
 クラウドの活用
 業務のペーパーレス化
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2021年09月02日

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