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第244回 たった2か月で今年は大激変の予感

2011/02/28

2011年に入ったばかりと思っていたが、大きな産業再編成のうねりを感じるこの2か月だった。このままで行けば、今年も大変動の年になりそうだ。

1月に米国ラスベガスで開催された恒例の世界最大のコンシューマーエレクトロニクスの展示会「ウィンターCES」の基調講演者として、フォードモーターのアラン・ムラリーCEOとアウディのルパート・シュタートラー会長が登壇した。自動車は「走るコンピューター」と呼んで久しいが、いよいよ電気業界と自動車業界が融合する時代に入ったのである。それを象徴する基調講演者だった。

次いで、日本のパソコン業界を長い間リードしてきたNECが、パソコン事業で中国のレノボと合弁会社設立を発表した。国際的な事業体制へと移ったといえばそうだが、NEC主導ではなく、対等、もしくはレノボ主導のグローバル化に見えるのは、現今の日中の経済力の力関係を露骨にみる思いがしてさびしい。

そして、住商情報システムがCSKを吸収合併する、という発表である。CSKが本業以外の証券ビジネスに手を広げて多大な損失を負ったことが、ここまで響いた。利益率が小さい情報サービスビジネスに比べれば、うまく転がせば「マネーがマネー」を生む循環に入る金融商品の魅力(魔力でもある)は大きい。儲ければ巨利を稼ぐ体質の証券業界出身者がCSKの経営陣を占めるようになって久しく、地道だが堅実な情報サービスの収益力の低さに我慢できなくなったのか。

情報産業界には、特有の技術者の需要・供給の波のずれがあるが、このギャップを調整する緩衝機能が必要だとして「技術者派遣サービス」をビジネスとして確立した立役者の一人がCSKの大川功創業者だった。事業が大きく育った後は、子供たちに情報技術の恩恵を受けさせようと、さまざまな支援活動をして私財を費消したが、残った最後の遺産のCSKも昔の姿を失ったように思う。構造が大きく変わるクラウド時代に突入して、情報サービス産業の変質も始まっているので、「大川ビジネスモデル」がどこまで通用したかは分からないが、この2か月の締めくくりとしては、何ともインパクトのあるニュースだった。この後にどんな変化があるのか。

今年は地方選挙の年。巨大な産業激変の上に、地方政界の激変が加わるのか。想像するのも難しい変化の年になりそうだ。