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第245回 超巨大地震の痛い教訓〜〜エネルギー多様化を加速せよ

2011/03/15

「マグニチュード9.0」〜〜これまでの地震の常識を覆す超巨大地震の発生である。被災された皆さんには心からお見舞い申しあげます。ケータイなど、日常的に撮影道具を身に着けるようになった今回の災害では、大量の映像が記録を残している。恐ろしい疑似体験である。実際に目の前に起きた液状化現象やマンションのひび割れなどに直面すると、映像は自分の体験として肝にしみる。さらに社会の在り方に与えたショックも大きい。

2004年にインドネシア・スマトラ沖地震並みの想像を絶する大地震(マグニチュード9.1とも9.3とも言われる)だ。それを連想するとさらに怖いのは、翌年3月にはその延長線上にある震域でマグニチュード8.5の大地震が連続し、2年後には三度、マグニチュード8.5の巨大地震が続いたことだ。今回の東日本大震災は、震域を移動させて巨大地震を再発させないのか? 近未来の東海、西日本の大地震への備えも急がなくてはならない。

確かに、津波の恐怖に身を縮ませている場合ではない。被災地のみならず、日本経済は大混乱である。当日の首都圏地域で発生した「帰宅難民騒ぎ」や一時の停電などは苦難の始まりに過ぎない。福島原発の被災、火力発電所の被災によって、深刻な電力供給不足に突如、見舞われた。東京電力の計画停電の発表は、直ちに私鉄各線の「運休」や「間引き運転」の発表につながった。身動きが取れない。通勤、通学ができない。自動車に殺到されれば、交通大渋滞を招き、輸送・配送に大混乱を来す。

現代の経済・社会システムは電力エネルギーに依拠してきた。そのエネルギーも電力中心で、電力会社に集中して実質的独占を許してきた。その代わりに電力会社は厳しい「供給責任」を課されてきた。大震災の影響ではあるが、なぜ、多くの建造物は、津波の被害を除けば倒壊を免れてきたのに、発電所はなぜこんなに脆弱だったのか。想定を超える大地震だったから、というのは、プロフェッショナルとしては言ってはいけない言い訳である。それならば電力の地域独占の特権は返上すべきである。

スマートグリッドは、環境問題から大きく注目されることになったが、いろいろな側面をもっている。その含意の一つは、在来のエネルギー源に頼らず、自然エネルギーを幅広く利用して新しいエネルギー体系を構築する、ということである。資源の多様化はリスク管理の「いろは」である。新潟の地震で柏崎原発がトラブルを起こした際に、原発依存の日本の電力体制に強い疑問の声が起こったが、それは低炭素社会建設のためには原発を利用すべきだという声に掻き消えてしまった。いままた、地震によるエネルギー危機である。今度こそ本気でエネルギー多様化へと突き進むべきではないか。それが今回の悲惨な天災からの教訓ではないか。

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