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第250回 再生エネルギーへの大きな流れ

2011/06/06

いつもの「思いつき」に過ぎないのか。サミットで菅首相がソーラーパネルを日本の一戸建ての家屋1000万戸に設置する構想を発表したそうな。本当に実現するなら、それだけで菅首相は退陣しても、その実績は歴史に名を残すだろう。一方で、ソフトバンクの孫正義社長が2万キロワット発電規模の太陽光発電所を全国に展開する事業計画を発表し、近畿など2府5県の広域行政組織である関西広域連合は孫社長が提唱する協議会に参加することを決めた。

3.11の不幸な大災害は、日本社会がエネルギー問題で大きく舵をとるきっかけを与えた。地球環境問題が深刻になって、炭酸ガスを放出しない再生エネルギーが注目され、日本にも自然エネルギーの時代がようやく市民権を得たかと思ったが、そこにいくつかの壁ができた。

まず、バイオエタノール。ガソリンに代わる燃料として注目されると、直ちに穀物相場が高騰して「人間の食物を奪って、何が地球環境か!」と冷水をかぶせられた。しかし、今、思い起こすと、この穀物相場の高騰はバイオエタノールを妨害しようという勢力が資金を投じて意図的に穀物相場を吊り上げたのではないか、との疑問を持たせる。そして太陽光や風力は不安定だというマイナスの評価。どれにも欠点があるが致命的ではないにも関わらず、原子力を推進する側から声高に叫ばれた。

自然エネルギーを押しのけて本命として登場したのが、事故を起こせば社会的ダメージは致命的な原子力発電だった。自民、民主とも政権を握った指導者は原子力発電を「安全」と強調して成長戦略の主軸に置いた。これで自然エネルギーへの流れは勢いを止めてしまった。今日、週刊誌の詳細な報道によれば、そこには大きな世論操作が行われて、原発反対の人の言論は封殺され、政府の委員会も研究者も、産業界も、原発推進派でなくては許されない状況になっていたとも疑える。週刊誌報道がそのまま事実かどうかは信頼はできないが、その中の幾分かの事実を信じても、原発推進のシナリオを俯瞰する推測は恐ろしいものがあった。

3.11は不幸な事故で、まだ落着点が見えないほどに致命的なものだが、その反省から自然エネルギーへと大きく舵を取る勢いが盛り返したことは一点の光明となった。原爆の被爆国である日本は、本来、原子力発電に頼るのが間違っていたのではないか。自然エネルギーの可能性があるなら、もっと早くそこに注力すべきだったのではないか。太陽光だけではなく、風力も、地熱も、潮力も、小電力を利用できる機械には小川の水も小型風力発電もある。ICTを基盤にして次に大きく発展する産業は自然エネルギー産業である。日本はその先進国になるべきではないか。

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