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第257回 副首都建設の大構想〜〜被災地復興だけではない

2011/09/20

伊丹空港を廃港にして「副首都」の核施設を建設する、という大きな構想が打ち出されて、今後、議論が沸騰して行きそうだ。東京の一極集中の首都では、有事の際に日本全体が生き延びられない。首都機能を代替できる副首都の建設が急務である。もちろん、以前から議論され、具体体な構想が走っていたのだが、3月の東日本大震災に直面して、一段と副首都の重要性が実感された。

東京にある機能の代替として、各種行政機関、各国領事館、国際交流施設、物流拠点などを置いて、平常時から運用して2つ目玉の仕組みにする。非常時には直ちに代替機能を発揮して、日本全体のシステムを円滑に引き継ぐ。さらに、この際、カジノを誘致するなど、東京を上回る国際観光都市機能を備えさせる、という構想である。

石原慎太郎東京都知事、橋下徹大阪府知事も推進役として強力にこの構想をバックアップしている。早ければ2011年度をスタート年として5か年を第一期に、全体構想を一気に立ち上げて、10年間で完成させる計画だ。スピード感もある。それだけ首都機能の複眼化が急務だということだ。

もちろん、東京一極集中で関西地域の空洞化が深刻になっている、という事情もあって、この構想が関西の復権を目指すという意味もある。しかし、関西にだけ福音をもたらす構想でないのは言を俟たないだろう。日本全体のBCP(存続計画)である。

東日本大震災と福島原発事故によって、東京一極集中がいかに日本社会全体の存続に危険が多いかを実感させられた。データセンターの74%が首都圏に集中している事実を知って、東京電力の電力供給不足に際しては冷や汗を流した。その他、集中の弊害を思い知らされた。今後の対策としては、全国に散在して危険を回避できるものもあれば、ある程度の集中が必要な機能もある。そのある程度集中が必要なものでも、一極集中は危険である。少なくとも2つに分散させる必要がある。

システム構築には、バックアップが重要である。それも同一ビルの中でバックアップするという愚を犯す企業は、今はないだろう。遠隔地にDR(ディザスター・リカバリー)やBCP拠点を準備するのは常識である。それなのに、首都機能はこれまでバックアップを準備してこなかった。副首都構想が発表されて、はたとそのことに気が付いた。関西に福音をもたらすだけでなく、日本全体に新しい発想法を持ち込むことでも十分に意義がある。新しい日本改革の予兆が聞こえる。

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