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第258回 スマートフォンの行方

2011/10/03

iPhoneが切り拓き、アンドロイドが追随する「スマートフォン」の市場はすでに情報端末市場の本流の位置を獲得した。日本ではソフトバンクがこの市場を独占し、ソフトバンク躍進の原動力になっていたが、独占はいつの時代にも長くは続かない。近いうちにKDDIがauの端末の一つとして売り出すそうだが、競争状況が生まれるのは、ユーザーには大歓迎である。auはアンドロイド端末に加えてiPhone端末を扱うことになるが、販売リソースの分散とならないのか、少し心配ではある。

スマートフォンはアップルが目指した「マルチメディア」を体現した機械である。マルチメディアは、あえて極端に縮めていえば、パソコンと電話とテレビが一つの端末に融合したものである。スマートフォンは、もちろん、電話であって、インターネットにつないでさまざまな情報処理を実施するコンピューター機能をもち、Uストリーム、ニコニコ動画やニコニコ生放送によってテレビと同等の機能を楽しめる情報端末である。ワンセグ放送を見る機能を付ければテレビ受像機そのものにもなる。

かつてマルチメディアをイメージした時の最低条件を具備しているだけでなく、最近のSaaS形式でのWeb会議システムのサービスを利用すれば、テレビ会議の道具になるし、ゲーム機、辞書その他もろもろの端末を一つの装置でやってのける。画面が小さいと文句を付ければ、プロジェクター機能を備えて、拡大投射して見られるようになりそうだ。

当初は想定しなかったアプリケーションが次々に登場して、無線LANでインターネットにつなげば、そのまま無料の電話を利用できるし、単に受信するだけでなく、カメラで静止画、動画を撮影して情報発信できるので、小さな放送局を個人個人が持ったのと同じである。インターネットが出現するや、パソコンを情報発信の装置として「たった一人だけのテレビ放送局」が登場したが、スマートフォンは、もっと簡単に個人のテレビ放送局を開設するのを可能にした。

現在、日本の携帯電話がもっている電子乗車券、電子財布などのさまざまな機能も当然、スマートフォンに吸収されてゆくだろう。

iPhoneに対してアンドロイドが登場しただけでも、競争が起きて新しい機能を取り込むスピードが加速する、と喜んだものだが、今度はiPhoneの中でも激しい競争が繰り広げられることになる。すでに業務用のアプリが多数、登場して、パソコンを業務用コンピューターの主役の座から引きずり下ろしそうな気配だが、企業、個人、さまざまな分野で画期的なアプリが生み出されてくるだろう。変化のめまぐるしい激動の時代は続く。

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