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第259回 アンドロイドは日本の出番か?

2011/10/17

電力網と情報通信網(インターネット)が融合する「スマートグリッド」の考え方を突き詰めると「IOT」の世界になるそうだ。「IOT」はInternet Of Thingsの頭文字をとった略称である。モノとモノがインターネットでデータを交換して機能し始めることのようだ。インターネットは人と機械、人と企業、企業と企業、人と人などを次々とネットワーキングしてきたが、最後はモノとモノとをネットワークでつなぐ。インターネットの強力なリーダーであるグーグルの説明を聞いていると、そういう結果になる。アンドロイドOSも最終的にはこの「IOT」を実現する道具の一つである。

ところでこの「IOT」の説明には既視感がある。どこかで聞いたことがある。そう、坂村健氏が提唱していた「TRON」のコンセプトに共通するものがあるのではないか。もちろん、根本になる前提条件は、少し違う。IOTではネットワークが強調されて、「ネットワーク」という「全体」と「モノ」という「個」が新しい関係を創りだしているのに対して、TRONではモノに埋め込まれた微小なコンピューター同士が相互に働きかけながら最適解を見出してゆく。「個」と「個」の相互作用の関係が新しい世界を創りだしている。しかし、コンピューター機能をもつモノとモノ同士の相互作用という部分だけをとらえると共通部分も多いように思える。

やや難しい理屈をこねたが、言いたいことは、アンドロイドからさまざまなアプリケーションを考える際に、日本には、TRONで一度、深いところまで考え抜いている、というアドバンテージがある、ということだ。

スマートフォンでは、圧倒的に米国や韓国に差を付けられてしまった感があるが、悲観することはない。技術の中身は違うが、結果においてモノとモノが作用しあう、という未来社会のさまざまな製品の在り方を、TRONの技術の商品化の過程で十分に研究した。社会がどうなるかも、イメージを描いてきた。究極の行く先はIOTもTRONとそう変わらないところにあるのではないか。だとすれば、もう一度、TRONの資産に光を当てれば、たくさんのヒントが出てくるのではないか。

そのイマジネーションにおいて、日本社会には一日の長があるのではないか。IOTの時代になるということは即アンドロイドの時代が来る、ということだが、もしかすると、日本産業界の巻き返しのチャンス到来かもしれない。

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