HOME > U+(ユープラス) > 奇論・暴論 > 第260回 データセンターの国際戦略
2011/10/31
ASP・SaaSデータセンター促進協議会(村井純会長)は09年に発足、2年間の予定で、データセンターをめぐる諸問題についての検討を行い、国際競争力強化の政策提言やガイドラインを作成するなどの活動を目標に掲げてきた。
しかし、2年たってみると、データセンターについては課題が増大し、期限が来たので解散というわけにはいかなくなって、10月下旬の総会で、今後、継続していくことが決まった。とりわけ、3.11大震災の後の計画停電、電力不足をきっかけに、より広範な視野からのデータセンターの在り方の検討が必要になった。
同協議会の発足とともに、筆者は副会長を委嘱されて、2年近く「情報開示ガイドライン」の作成の委員長を務めてきた。これまで想定していなかった津波や長期的な停電対策を講ずるなど、データセンターが開示することが必須の情報が増えて来ているので、これも引き続き重要なテーマである。この委員会は阪田史郎千葉大学大学院教授が委員長として引き継ぐ。
一方、筆者はもう一つの「クラウドコンピューティング・国際戦略委員会」の委員長を引きうけることになった。大震災以後、日本全体の「安全性」が問われているので、日本のデータセンターが国際競争力を持つには、いろいろな施策を打たねばならない。加えて史上最高の強烈な円高である。価格的にも、競争力は著しく低下している。それでもなお、日本のデータセンターが国際的に優位なポイントを作るべきだろう。災害対策には、地方分散と地方の既存データセンターの連携で、安全性が確保できる。同時に連携によってコストダウンも可能かもしれない。
海外のデータセンターとの連携も模索しなければならない。すでに特色あるクラウドサービスが海外には育っている。その補完的な機能を日本のデータセンターが果たすことは可能ではないか。
そうした諸々の状況を検討して、データセンターサービスを「輸出産業」に育成できないか。これが最終目標である。