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第267回 内閣府「共通番号制度」アンケート

2012/02/06

昨年11月に内閣府が実施した「共通番号制」についての国民意識のアンケート結果が1月末に発表された。日本経済新聞の記事の見出しによると「共通番号制『必要』57%、悪用の不安も 内閣府調査」という結果だった。もう少し詳しく本文を見ると「国民の社会保障や税務に関する情報をひとまとめに把握するための共通番号制度について、『必要だと思う』との回答が57.4%と過半数を占めた。『必要だと思わない』は27.3%だった」というものである。

以前は、「共通番号」と聞けば、圧倒的な多数が「必要がない」というものだったが、国民の社会保障や税務を一括して管理することを前提にすると半数以上は必要性を理解しているということになる。状況は様変わりである。

一方、このアンケート結果を伝えるNHKの報道の見出しは「共通番号制度 86%が懸念」となっていた。国民の大半は共通番号制度に不安を感じているとして、否定的な感じであった。報道機関によってアンケート結果について受ける印象が正反対である。日経新聞では共通番号制について国民の理解が深まったというものだし、NHKでは、依然として共通番号制への拒否反応が強いと錯覚させられる。

よく読むと、日本経済新聞でも、「必要性の有無」の集計結果の後に、「番号制度の個人情報に関して、最も不安に思うことを聞いたところ、『特にない』と答えた人は11%だったのに対し、『個人情報の漏えいによる、プライバシー侵害のおそれがある』が41%、『情報の不正利用により被害に遭うおそれがある』が32%、『国により個人情報が一元管理され、監視されるおそれがある』が13%で、何らかの懸念を感じていると答えた人は、86%に上りました」と報じている。

これを読むと状況がよく分かる。質問が「最も不安があるものは?」と誘導的に質問している。回答者はテスト問題に答えるように何か懸念を挙げなければいけない思いに駆られて、用意された懸念の項目に回答していることが想像できる。「懸念」についての質問は、「あえて不安があるとすれば」のニュアンスだが、結果を集計するときには「86%が何らかの不安を感じている」という報道になってしまう。

不安はいつでもあるので、あまり重要ではないが、理解が広がっていることに、ほっとした。遅れている日本の電子行政について、前進するきっかけになりそうだ。

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